ダンジョン創世記0054
息子の惨状に悲鳴を上げる母親達、里長の女将も息子の下へと走り寄り倒れている息子へと縋り付く。
まぁ、どのような悪人であろうと息子は息子だからなぁ~
そんな女将の近くで里長は切り捨てられた息子の腕と足を取り斬られた断面をシゲシゲと見ている。
そんな里長へ女将が泣きながら問う。
「アンタぁっ!何してんのさっ!自分の息子がこんな目にあってんだよっ!」っと、ヒステリックにな。
息子の惨状に目も向けず、斬り落とされた腕や足に気を取られている夫に苛立っているようだな。
「五月蝿い!ちと、黙っておれっ!
ふむ、綺麗な断面じゃて、これならば上手くいくかものぅ」
などと、ほざいているが、まさかなぁ…
立会いを任されていたドラゴンも、それに気付き里長を問い質す。
『待て、それをどうするつもりじゃ?』っと。
「ふむ、決闘を終えたでな、息子達を癒してやろうかと思っておるが?
この斬り口ならば繋げることも可能だろうてのぅ」っと、シレッと告げる里長。
「アンタァ!そりぁ本当さねぇっ!」っと女将は、それを聞き歓喜するが…巫山戯ちゃなんねぇなぁ。
これは決闘の結果であり、ヤツらは敗者である。
不問にされるのは勝った場合であり、敗者であるヤツらは罪人。
命まで取らぬとも、その罪に対する対価は支払って貰わねばならないだろう。
それは最低でも、その腕と足となる。
命との引き換えならば安い物だが、その対価も支払わないでは話にもならないだろうさ。
それについては立会いとして赴いていたドラゴンも同様だったとみえる。
『ならぬ!それは決闘の結果にて負ったこと!
それを離し立ち去れ!』
「何を仰るやら?決闘は済みましたぞ。
なれば治療しても構わぬのでは?」
いやいや、良くもシレッと、そんなことを吐けるな、コイツはさぁ…
『詭弁を弄するでない、決闘は罪科の是非を問うものであり、勝者としてならば罪も許されよう。
じゃが結果は敗者となっておるではないか。
ダンジョンの計らいで命までは取らぬ代わりの腕と足じゃぞ。
それを繋げるはならぬ!』
憤り告げるドラゴンへ里長は平然と…
「所詮はダンジョンの者が告げたことでありましょうぞ。
エルフの上役たる我らとは格が違うのが道理と言うもの。
その点をなんと致しますのやら」っと、呆れたように。
『ほぅ、立会いの我の判を無視し押し通すか…ならば、里を滅ぼすまで!』
激怒したドラゴンが激発し暴走し掛けるが…
『待て、里を滅ぼすのは我が許さぬ!』っと神龍様からの御神託が。
『ですが!』
『今は、待て。
里長を勤めし者よ、我が使わした立会い龍の裁定に従わぬのかや?』
神龍様の問い掛けへ里長が、一見は恭しく…
「いえいえ、滅相もないことで。
裁定に従いダンジョンから来た下賤の輩との決闘っと言う茶番を演じさせ申した。
故に、本件は終わったと思った次第で」
平然と告げているが、事態を把握しているのか?こやつ?
『ほぅ、我の下知をのぅ…』
イカン!神龍様まで激発しかねんぞ、これはっ!
『決闘の結果が不満ならば、もう一度チャンスを与えよう。
だが、それに負ければ里の上役に属する者達の親類縁者に全てに対して咎を問うこととなろう。
それで如何?』
俺は咄嗟に介入して告げると…
『ううむ…今の里の状態に対する害悪は里を支配する者達かえ?
なれば、もう一度だけチャンスを与えようわえ。
但し、その4人のみとダンジョンよりの使者が先程の条件にて決闘を行い、里の者が負けたら里の上役に付く者と、その親類縁者は巨人国の荘園農奴となす!
これは決定事項じゃ!
なお、従わぬ場合はドラゴンにて里を滅ぼさん!
良いなっ!』
良いも悪いも神命にて逆らえるレベルじゃないだろう。
余りの事態に神龍様が激怒しているので、神龍様の元へと赴き必死で宥めている現状を察して貰いたいものだよ、本当にさぁ、ふぅ。
「助っ人は?」っと。
いや、里長さぁ、現実ってヤツを見ようよ、本当にさぁ。
『ううむっ、上役に属する者ならば許可しようぞ。
但し!強制的に加わらせることは禁ずる!破りし時は、即座に里を滅ぼすものとする!
なお、決闘に加わりし者も同罪となす故に心するようになっ!』
里長は当てが外れたような顔に…どうせ上役の権利とか称して命じて強者を参加させるつもりだったんだろうさ。
「ですがのぅ、先程の者では此方に勝ち目もありますまい。
此方で対戦相手を選ばせて頂きますぞ。
先程の御神託では『ダンジョンよりの使者』っと申されておられ申したでなぁ」
いやいや、どんだけ図々しいんだ、この里長…
思わず呆れて開いた口が塞がらなかったぜっ!
それは神龍様も同様…いや、里の者達も同様だったが、確かに神龍様が告げていたなぁ。
一度告げたことを反故にするには神という座が邪魔をするみたいでな。
『うぬぅぅぅぅ、よ、よかろう…』っと、腹立たしそうに告げておられる。
いやぁ、神を謀って平然としているとは、意外と、この里長は大物なのか?
神龍様が認めたと言う事で、ダンジョンから派遣した使節団を護衛する護衛部隊が里長達の前へと並ぶが…里長はニヤリっとして告げる。
「何故、彼方の者達は並ばないのですかのぅ」っと。
いや、待てっ!コヤツ本気かぁっ?
里長が告げたのは使節団の者達で中には文官っと言って良い者達も混ざっている。
明らかに戦いに縁がない素人達だな。
彼らから選ぼうと?
「彼らも『ダンジョンよりの使者』で御座いましょ?」っとな。
神龍様が激発しかけ宥める此方のことも考えて行動しやがれっ!
結局は認めざるを得ず、その中から決闘へと赴く者が選ばれることになってしまった。
流石に里の者達も里長へ対する視線が厳しくなっているのだが…里長はシレッとな。
挙句に「決闘を行うで、4人を治療しますじゃ」っと。
もう勝手にしな、だが、負けた場合は悲惨だろうさ。
覚悟しておけよっ!




