ダンジョン創世記0046
使節団の構成はフィレーユが召集し整って行った。
意外と使節団への志願者が多く選出に手間取ったらしいのだが、早々に選外としたのは人化したドラゴン達とミニマム化した巨人達であった。
当然のように異議申し立てが彼らから殺到することとなるのだが…
「あのですね、ドラゴンは人化してもドラゴンで御座います。
流石にドラゴンとの付き合いのある里人との交渉の場へ同行させれば悟られて騒ぎになるは必須で御座いましょう。
次に巨人ですが、ミニマム化してしまえば人族ですわ。
人族が住まわない地へ同行させれば目立つのが分り切っております。
ペシュエが選ばれなかった理由の1つでもありますのに、選ばれる道理も御座いませんわね」
俺が彼らの代わりにフィレーユに尋ねた回答だったのだが、それは即座にドラゴン達と巨人達へと伝えられ納得させることができたようである。
またカルデラ地帯に暮していない種族の者達は悉く選に漏れていることから理由を知った者達も納得したそうな。
使節団は交渉する者達の集まりであるため、カルデラ地帯に住まう人種にて選出された訳で、大半をエルフとドワーフが占めている。
獣人の姿も居るが、獣人との交易は基本行わない方向で考えているので人数が絞られたと言う。
何故、獣人との交易を行わないのか?それは彼らが狩猟民族であり、狩った獲物を売ることを交易とししているためなんだ。
今更カルデラ地帯にて狩られた獲物などを此方への交易品として出されても困ってしまう。
そんな物は此方では普通に飼育している生き物で加工品が当然のように流通しているのだからな。
そう言う意味ではエルフ達やドワーフ達との交易品も同様だが、彼方は加工品であるため多少はマシだと言えよう。
それに交易の眼目は文化交流にて彼らの文明を促進することにあるんだよ。
なのに原始的な暮らしを貫く獣人との交流は、彼らが今の暮らしを改めない限りは無意味だろう。
故に当分は獣人達との交易は考えていないのである。
この使節団の中には各村落へと赴き店を構える予定となっている者達も含まれているそうな。
店舗を任す予定の者達のみで、店員や家族などは含まれてはいない。
だが店を出すことに決まれば暫くは単独で店を切り盛りすることになるが、落ち着けば家族を呼び寄せたり店員を増やしたりも有り得るだろうさ。
そのような形で使節団のメンバーは着々と構成されて行った訳だが…護衛の方はと言えばなぁ、ふぅ。
此方は交渉を行う訳ではなく、あくまでも護衛と言う立場であるため種族の制限を設けなかったのだとか。
いやな、そのことでフィレーユとティアが何度も揉めてなぁ、その度に仲裁したりもしたのだが…
「某らがダンジョンの者達だとは端から知れておることぞっ!
護衛なる者共は警戒され恐れられて何ぼで御座ろうがっ!
なればドラゴン、結構で御座らぬではないか、そちらとは扱いが違って当然であろう?」
「ですからぁっ!何度も申しておりますけれど、無闇な軋轢を生むような選抜は止めて頂きたいのですよ。
彼方側を無意味に警戒させて、どうなさるのですかっ!
ただでさえ此方は相手にとっては正体不明の警戒すべき者なのですよっ!そこへ見知らぬ人種やドラゴンが同行すれば警戒させるだけではありませんかっ!」
などと、今日も同じ内容でぶつかっているみたいだな。
立場が違うから考えも違うのは仕方ないとしてもいい加減にして貰いたいものだ。
「その話だがな、彼方に住まわない人種から選ばれた護衛には魔導スーツ着用を義務付けたらどうだ?
魔導スーツは彼方には無い代物ではあるが、此方の文明度の高さを知らしめることにもなるだろう。
そのことは彼方側には刺激になるだろうし、そうすれば文明促進という目的にも合致しないかな?」
そう口を出したら2人は暫し思案して合意してくれたよ、やれやれ。
まぁ、使節団の選に漏れた者達が護衛の方へ殺到したりしていたからなぁ。
その中から狭き門を潜り抜けて護衛へと抜擢された者達に今更種族理由でダメとは言えんだろうさ。
しかし護衛達の顔振りは千差万別って言う程に多様性に富んでいるからなぁ。
人化ドラゴンやミニマム化巨人は当然として、エンシェント種やエルダー種は居ないが高位の者達も参加している。
例えば陽光や流水なども克服した神祖たるバンパイアなどもだな。
ペシュエめ、送り込んだな?
ただエルフやドワーフもだが、グラスランナーなどの小人族などは選ばれていない。
これは肉体的スペックが基本的に劣るためであり、選ばれた者達のスペックが高過ぎるのが原因だったりする。
下手に加えて模擬戦などを行えば、下手をしたら軽くミンチになってしまうだろうからな。
ミニマム化した巨人達は一見は一般人に見えるが…実は能力的には人型に巨人が収まったに過ぎないと言う。
つまりは人の姿で能力は巨人時と同様なのだから性質が悪い悪夢とも言える存在だったりする。
故に彼らがミニマム化して社会へ出た場合は力を抑制する抑制魔導具の着用が義務付けられている訳だな、うん。
当然、護衛任務を行う際には抑制魔導具の着用は行わない。
まぁ基本的に抑制魔導具が無くとも力の制御などは当然彼らは行えるのだが、激昂して喧嘩などした日には相手はミンチだからなぁ。
当然の処置だと言えるだろう。
獣人達からも選ばれているが、ドラゴニュート種やリザード種からの選出が多いようだ。
後、翼人種や鳥人種などからの選抜とドラゴウィートと言う翼を持つドラゴニュート亜種からも選抜されているようだな。
彼らは上空からの偵察と奇襲を受け持つ部隊であり、ドラゴウィートの女性仕官が部隊を率いることと決まったそうな。
選出された護衛部隊は部隊内での実戦的な模擬戦を行ったり、ダイブ型VR機を使用した仮想空間にて演習を行っている。
更には俺が創った演習用の階層にて仮想敵として創生したクリチャー討伐などを行い鍛練を短期間にて重ねている。
まぁ、護衛の大半は元々ティア率いる部隊の隊員から選出されており、日常的に行っている訓練に過ぎないのだがな。
この度は使節団に漏れた輩のガス抜きをティアへ押し付けた形であり、それがフィレーユに知れると揉めるためティアが泥を被った形だ。
まぁ当然、フィレーユには内緒だけどな。
この仮想空間の鍛練と演習層での鍛練によりティア部隊の階級が決められていたりする。
無論のことエースはティアであり、今の階級へと収まることとなったのだが、それ以外にも様々な勲章を授けている。
この度の使節団護衛時には階級証と共に勲章を付けて参加するそうな。
困った姫騎士様だよ、全く。




