ダンジョン創世記0040
神龍様が里々へ俺達のことについて警告を発し俺達との交流を行うと決まったのだが、その当時に里々へと居なかった者達は直接話を聞いてはいなかった。
無論、里へ帰った時に里の者達や長達指導者より内容を告げられ警告されていたのだが…
「ラウガ達は、まんだ帰ぇらねんずらか?」
「まんだだぁ~」
「あんずらぁダンジョンばぁ討伐づるでぇ息巻いでだがよぉ」
「うだなぁ、どうずんべなさぁ」
などと言うような話が幾つかの里で起こっているようだ。
俺にとって探し出して告げるのは容易いのだけれども…
『こちらが相手に合わせて動いてどうするのじゃ!
格と言う物を貶める行為ぞえ』って神龍様に止められてしまったよ。
まぁ、大半の者達はダンジョンの入口にまで達することもなく里へと戻り里人や長などから叱責されて終わったようなのだ。
理由はダンジョンが開放された場所にある。
此処の【悪竜の密林】とか【恐竜の密林】と呼ばれ恐れられている地だったらしい。
そう、今もダンジョンへと入り込んで来る恐竜のような竜種が住まう密林へダンジョンは開放されたのだった。
この地に住まう恐竜達は滅多に密林の外へは赴かないみたいだ。
草食の竜種でも脅威度は高く、エルフ達やドワーフ達には手におえない生き物である。
獣人達も危険な森とし【禁忌の森】と称し近付くことはなかったのだとか。
そんな密林であるにも関わらず、エルフの若者が2人ほど此処の密林へと足を踏み入れていた。
「此処が【恐竜の密林】…変な木だ」
「ああ、知らぬ生き物が徘徊しているのが伺える。
警戒を怠るな!
しかし…本当に此処へダンジョンが現れてるのか?」
そんな風に話つつ若者達は森の下生えを掻き分けつつ歩みを進めている。
「ああ、俺の家系は没落したとは言え族長筋だったからな。
大昔にダンジョンコアを扱う栄誉を賜っていた時代もある訳だ。
その当時の当主がダンジョンを探す秘石をコアより得て秘匿したのだ。
これが、その家宝たる秘石っと言う訳だな」
そう告げて、懐に布へと包まれた石を取り出し見せる。
「ああ凄いな、それ。
何度みても飽きないが…前より石から発する光が強くなってないか?」
「これはダンジョンが近付いた証らしいぞ。
まぁ俺が生まれる前に現れたダンジョンが最後らしいから、俺は見るのは始めてなのだがな。
言い伝えを聞く限りでは間違えあるまいよ。
しかし…オヤジ達やジイ様達は得たコアを馬鹿正直に里へと齎していたらしいが…阿呆なのか?」
「そうだな、コアさえ有れば遊んで暮せるだろうによ」
そんなことを告げている2人の実力は高いとみえる。
なるべく気配を消しつつ辺りを警戒、逸早く生き物の気配を捉えては避けつつ進んでいるようだ。
そんな2人が辿り着いた丘の上から見たのは…
「な、なんだ、これ…森全体が落ち窪むように凹んでんぞっ!」
「崩落か何かがあったのか?だが、規模がおかしくないか、これ?」
「そうだな、前を見渡す限り辺り一帯が落ち窪んでいるな。
彼方此方で水が滝のように落ち込んでいるから、どうも下に洞窟か何かが存在するようだな」
「もしかして…それがダンジョンか?」
「阿呆、そんな巨大なダンジョンなんてぇのは聞いたことも無ぇよっ!
さて、何時までもこうしていても始まらねぇ、行くぞ!」
丘を上がった先に現れた絶景に暫し見惚れていた2人は、漸く歩み始める。
そんな丘近くへと穿たれた洞窟への入口を見付けた2人はニンマリと互いの顔を見た後で頷く。
「さて、行くか」
「おう!」
そして踏み込んだ洞窟なのだが、思った以上に広大な洞窟であった。
エルフの若者が持参した秘石たる秘宝はダンジョンの入口を指し示す代物でしかない。
つまりはダンジョン内へと入った場合は意味を成さないと言えよう。
いや入口を指し示すと言う力ゆえに出口を指し示すことは可能らしく、全く無意味ではないが…
「くそっ!まるで迷路じゃねえか!ダンジョンって単純な造りじゃ無かったのかよっ!」
「俺に言うなっ!っか、もっと声を抑えろ、見付かんだろーがっ!」
「ったく、何がお手軽に儲かるだ!
あんなに恐ろしい生き物がウヨウヨ居るって聞いて無いぞっ!」
小声で罵りつつも探索を止めない2人は数日掛けて最深部へと…
「な、なぁ…」
「お、おぅ」
「本当に此処はダンジョンなのか?」
「家の家宝に間違えが無けりゃそうだ、そうだが…流石に俺も自信は…」
2人の眼前へと現れたのは巨大な地底湖であり、その地底湖へは番のドラゴンが巣を造り居座っているのが伺える。
いや、広大な地底湖と湖畔には様々な生き物が根付いており、竜種までも闊歩していた。
「流石に、あそこへ踏み込むのは御免だぜ」
「全くだ。
だが…途中で拾った植物系素材は素晴らしい品ばかりだったからなぁ。
あれだけでも儲け物だろうさ」
「そうだな、拾った珍しい石などはドワーフ達なら正体が知れるか?
まぁ無価値では無いだろうが…未熟者が足を踏み入れたたら戻れないだろうな、此処」
「ああ、俺達でも結構危ないからなぁ。
っか、無事に出れるか不安なんだが?」
「それは頑張るしか無いだろうさ。
ダンジョン探索は諦めて逃げ帰るのも命懸けって…どうなってんだ、全く」
互いに愚痴りながらも引き返す2人のエルフ。
だが2人は知らない、分っていない。
確かにある程度の力量を有している2人だが、とてもでは無いが此処のダンジョン奥深くへ潜り込む実力では無いのだ。
当然、俺が彼らを殺さないように手心を加えているよ。
いや、人殺しはしたくないのでね、まっ、そう言うことさ。
そして里へと辿り着いた2人は当然の如く叱責される訳だが、ダンジョンについて得た情報を里へと齎すことに。
最深部らしき場所にドラゴン夫婦が住まうドラゴンのダンジョンっとしてカルデラ地帯へと噂が広まるのだった。




