ダンジョン創世記0036
この交流話だけどさ、実は俺達から言い始めた話ではなかったりする。
既にダンジョン内は広大な空間となっており、人間以外の様々な種族が平和に暮らしていたりするんだ。
各々の文化も進んで、特色の有る町や村が彼方此方の層へとできつつある現状では0層と交流する必要性も見当たらないしな。
そんな俺達へ交流の話を持ち込んだのは神龍様だったりする。
神龍様は隔離層でのご入浴を堪能された後でダンジョン見学を所望なされたりしてなぁ。
なにせ相手は神族の1柱たる龍種、下手に拒んで機嫌を損ねる訳にもいかないではないか。
なのでダンジョン見学を許可したところ…はい、人間へと変化なさいました。
マジでぇ?
その巨体から人って無理じゃね?質量保存の法則はどうなったの?ああ、此処はファンタジーでしたね…納得できっかぁぁぁっ!
それでも事実は事実な訳で…理論は何時も現実の前には脆くも崩れ去るってか?
納得いかずに困っている俺へ隔離層より神龍様からの御声を賜る。
『ふむ、取り合えずは、そなたの元へ向かうわえ』っと。
へっ?っと思っている間に…
『ほぉぅ…此処は、また面妖な場よのぅ』っと御声を漏らされる人化した神龍様が俺の傍らへと玉体を運ばれていた。
って…
「ペシュエ、神龍様の御神力なのだが…」
「いえ、大丈夫かと。此方へ影響するような神力は検知されておりませんわ」
行き成り玉体を運ばれた神龍様により、再び神力ハザードが発生しては堪らない。
思わず小声でペシュエに現状の確認をしたのだが、シッカリと神龍様へは聞えていたようで。
『心配せずとも良いわえ、これでも神の1柱ゆえにのぅ。
あれは想像だにせぬ事態で、しかも【ツィーイック・ツィーツェ】では致し方あるまいて。
あの快楽に我を忘れぬ龍種など存在はせぬ故に。
故に【ツィーイック・ツィーツェ】が関わらねば斯様な事態が起こる筈もあるまいてのぅ』
そう苦笑いしながら告げておられるが…どんだけ【ツィーイック・ツィーツェ】に振り回されてるんですか貴方わぁっ!
ま、神力ハザードが発生しないことだけは明確になったと言う事でダンジョン内を見学されるのは良いかな?
そう思ってダンジョン内を案内したのだが…
『なんぞぇ、この町は…』っと案内した町にビックリされて固まる神龍様。
いやねぇ…案内した町はダンジョン1の繁華街だったりするんだが、造りは現在日本の繁華街を思い描いて頂かれば良いだろうか?
電化製品が溢れる町っといった感じの町なのだが、当然電化製品ではなく魔気力超純水より生み出される魔気結晶が使用されて動いている。
だが全てと言う訳ではなくダンジョン自体が魔力を帯びているのを利用した送魔システムを構築して魔気力超純水より直接魔力を送魔していたりする。
だからコンセントみたいに魔力が送られれば半永久的に稼動する魔導具も存在する訳だ。
そんなシステムを使用しているためか、既に魔導具量販店なんて店まで現れている始末。
スマホ紛いやガラケー紛いの品々も店頭へ並び、人々が活用していたりもな。
スーツ来たサラリーマンなども普通に歩いていますよ、ええ。
エルフとかドワーフなどのファンタジー溢れる方達だったりしますけどね。
スーパーや百貨店にモールなんてのも存在するけど、個人店も様々だね。
八百屋に魚屋に肉屋などもだけど、町の魔導具屋なんてのも存在している。
無論、携帯ショップなんぞも存在し、複数のメーカーから委託販売している量販店が凌ぎを削っている状態だ。
喫茶店やファーストフードにレストランなどの飲食店も乱立して賑やかしているな。
工事現場では工業用魔導スーツや魔導アーマーと重機を活用して作業が進められていたりする。
そんなシーン、シーンに度肝を抜かれたように固まる神龍様。
失礼ではあるが、流石に笑ってしまったよ。
なにせミニスカートなどを履いた女性が普通に歩いているし、キャミソールなんかも当たり前だからねぇ。
祭りでもあったのか、ミニ浴衣や普通の浴衣を纏った女の子グループと擦れ違った際には、顎が外れんばかりに驚いていたなぁ。
そんな神龍様を伴ってレストランの個室へと。
少し休憩して落ち着いて頂こうっと思って入ったんだが…出された料理に仰天され感動され…参ったねぇ、こりゃ。
『ふぃぃぃっ、驚いたわぇ…
ようも、こんな町を創りよったものじゃてのぅ。
しかし、これだけの品を揃えるのは大変ではないのかえ?』
人心地付いたと思われる神龍様から尋ねられたので返答を。
「いえ、他の層にて農業や牧畜、魚介養殖などを行っております。
金属類はメタルスライムより得る事ができるので枯渇する心配もございません。
魔力は魔気力超純水と、それより生み出される魔気結晶などを使用しております。
この魔気力超純水も異常増殖したクリーンスライムの影響で水質が魔気力超純水化し続けておりますので枯渇の心配は御座いません。
魔導具はドワーフを筆頭にした技術者が製造や開発研究を進めていますから補充されますからね」
俺が説明すると、神龍様は呆れたように頭を左右に軽く振らわれる。
『巨人達の王国が一番優れた文明じゃと思っておったが…いや、外の世界には巨人国よりも優れた国々は在るか…
じゃが、彼方の国々も此処よりは遥かに劣るわえ。
特に民が斯様に伸び伸びと暮らす町など皆無と言って良いじゃろうてのう。
威張り散らした権力者や破落戸などが全く見当たらぬのも良い。
面白い、実に面白い町じゃて…
のうドラクルよ、そなた、地上の民と交流してみぬかえ?』
そんなことを告げる神龍様の目はマジだった。
いや、お願いっと言う強制なんですね、分かりたくないけど分ってしまいました。
っと言うごとで、お願いと言う強制にて地上との交流を強いられることに…
神龍様としては平和だが文明が全く進まないカルデラ地帯にイラついていたらしい。
良い機会だと…此方は迷惑ですって言えたらなぁ…ふぅ。




