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ダンジョン創世記0035

俺が懸念した通り、ダンジョンの噂はカルデラ地帯へ存在する知的生命体の集落に瞬く間に広がってしまっていた。

だが同時にドラゴンがダンジョンのバックに付いたと言う噂も広まっているようだ。


ダンジョンの噂を信じてドラゴンの噂を信じない者達も現れている。

いや、ドラゴンの噂を聞いていないフリをしていると言った方が正しいか?

それはそうだろう、直接ドラゴンから聞いた訳ではなく、あくまでも噂に過ぎないのだ。

そんな噂で万能ツールとでも言えるダンジョンコアの奪取を諦めろと?


欲に駆られた者達の内で何人かはダンジョンを探しに動き出してもいた。

中には漁具を消滅させられたとしてダンジョンを悪し様に言い触らす者達の存在も…

確かに漁具に対しては、此方の落ち度だと言えよう。


だが…

「うんはぁ?おめ達ゃ漁具さ戻んなかったんべぇ?」っと、漁具消滅を言い触らしていた輩へと尋ねる者が…

「はぁっ?あにいっでっだぁ、おめ。

 おめも一緒さ確認(がぐんにん)さしたべさ、()んねどは言わさねーど!」


憤って言い返していると溜息を吐いて返される。

「はぁぁぁっ…おめ、アレから魚場さ行っでねな?

 まずば行っでみ、漁具さ(もど)に戻っでがらよぉ。

 しかも大漁だっだべ、ありゃお詫びなんがねぇ…」


そんな馬鹿なっ!っと言うことで大挙して魚場へと向かうドワーフご一行様。

そして魚場へと着くと、そこには無くなった筈の(やな)などの漁施設などが鎮座しているではないか!


目立つ梁を確認した漁師ドワーフは血相を変えて己の仕掛けへと急ぐ。

そして仕掛けた場所を確認し…「有だ、有っだどぉぉぉっ!おらの、おらの漁具さ有だだっ、そんで大漁だべさっ!」っと嬉しい悲鳴を。


そんな噂も瞬く間に広がる訳で…被害にあった漁師達は何時の間にか被害が補填されていることに気付いたようだ。

中には漁具の質が以前よりも良くなり数も増えていることに気付いた者達も。

そのことについても噂が広がり、ダンジョンについて悪し様に告げる者達が減っていっている。


ふぅ、ダンジョン機能で態々被害を補填した甲斐があったと言うものだ。


元々カルデラ地帯に住む者達は気の良い、のんびりとした性質の者達が多いようだな。

大らかな気質である彼らの中にはダンジョンを許容し始める者達の姿も現れ始めていたよ。


そんな彼等の中にも破落戸(ごろつき)、チンピラっと言う感じの輩も存在する。

血気に逸った若者が一攫千金を夢見たりも…

単純に欲に駆られる者もな。


そんな輩は目の色を変え、いや、血走らせつつダンジョンを探していたりするのだが…なにせカルデラ地帯は北海道よりも広大な敷地面積を誇る。

そんな中で特定ダンジョンを探し出すのは中々に困難な訳で…

ってさぁ、君達は既にダンジョンの0層に暮らしていたりするんですけどね。


このダンジョンの噂は巨人達の国にも伝わってはいたのだけれど、彼方は直接ドラゴンから話が付けられている状態だ。

まぁ、巨人では大き過ぎてダンジョンへ入ることもできない。

攻略を行う場合はドラゴンに依頼せねばならず、当然ドラゴンは神龍様の件もだが、何より【ツィーイック・ツィーツェ】消滅の危惧が関わる案件に手を出す筈もない。


剣もホロロに拒絶され絶句した巨人王はドラゴンより詳細を聞き、噂を持って来た家臣へドラゴンが関わっていた件を告げなかったことについて問い詰めたそうな。

その家臣もドラゴンが関わっていたことについては知っておらず、小銭欲しさに噂を流したケンダー種の者がドラゴンのことを言い忘れただけと発覚。

噂に振り回されるとは、このことである。


蛮族たる巨人達の方なのだが…彼方はダンジョン攻略などということを考えるほどに頭が良くないようで、脅威として認識する必要もあるまい。


このような現状で気を付けるのは、今でもダンジョン探索を諦めていない輩達だと言える。

なにせ正式にダンジョンへ関わってはならないっと言う御触れなどは成されていないのが現状だ。

故にダンジョン探索を行い攻略へ乗り出しても、基本集落からは罰せられるものではないのだが…


その事実が覆される事態が起こるとは、誰も思いはしなかっただろう。


ぶっちゃけ、事態が面倒になった俺が神龍様に泣き付いたって言うのが本当のところだったりする。

いや、元々の原因は神龍様なんだから責任を取って頂いたんだよ、うん。

ま、そう言うことで…


各里々へと神龍様の御声と共にドラゴンが訪れる。

『聞け!皆の者!此度、この地へと現れしダンジョンは神龍たる我が認めし存在ぞっ!

 故に、このダンジョンへ手を出してはならぬ!

 しかと厳命した故、手を出した場合は我直々に成敗いたす!良いなっ!』


いや、良いも悪いも、言うことをきくしかないと思われるのですが…


神龍様の御声を賜り騒然となる里々であったが…そこへ俺の声が被さることに。

『神龍様より認められしダンジョンのマスターです。

 初めに告げておきますが、私に敵対の意思はありません。

 ダンジョンマスターとは他の世界より拉致され無理やりダンジョンを造らされている無辜(むこ)の民なのです。

 我らは死にたくないためにダンジョンにて防衛しているだけなのですが…その防衛には生き物を屠って得た力が必要なのです。

 私は特殊な遣り方を見付け、ダンジョン内で力を賄う術を得ております。

 故に生き物を無理に此方から殺しに掛かる必要も御座いません。

 無為に争いたくはありませんので、お願いできませんでしょうか?

 また、できましたら、此方との交流なども行わせて頂けたらと思います』


神龍様の厳命に乗じて告げてみた。

うん、どさくさに紛れて告げたとも言うかもしれないけれど、ま、良いじゃないか。

平和に交流できるならば、それに越したことはないからさ。

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