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ダンジョン創世記0030

自分達の置かれた状況については神龍様の御話にて把握はできた訳だけど…さて、これからどうするのか、それが問題だ。


俺は既に外輪山を越えた先を確認するのを諦めていた。

それと言うのもだ、越えた先が隔離された空間の狭間らしく、そこから通常空間へ到ることは到底不可能に思えたからなんだけどな。


確かに神龍様が偽りを故意に伝えている場合もあるだろうさ。

けど…


「若いって…愚かであり、無謀でもあるんだなぁ…」っと、つい呟いてしまう。

この極寒の地では巨人やドラゴンでも活動は不可能だと思われたのだけれども…最上位クラスのドラゴンならば来る事も可能みたいだ。

っと言うのは、時々若いドラゴンらしき飛行体が飛来しては外輪山を越えて行くんだが…途中に壁でもあるのか弾かれている。

いや、弾かれるだけではなく、勢いにて境界を越えた部分が切り取られたように欠落しつつ落下をな。


あの強靭な肉体を誇るドラゴンの肉体を一瞬で消滅させるなんて…うん、無理。


これもスパイ・ダーの探査能力が高いために発覚したが、普通は視認できない高さと距離に速さだったからな。

まぁ…俺達のダンジョンから神龍様が座す場所まで到ることができる存在はスパイ・ダーしかいないからスパイ・ダー頼りになるしかないかんなっ。


俺の呟きが聞えたのか神龍様が落ち逝くドラゴンを見遣り告げられる。


『愚かな…まぁ本来ドラゴンは広き世界を飛翔し過す生き物故に、閉ざされた世界より出でたかったのやもな』

困ったように告げられ、続けて仰る。


『隔離した此処は現世とは別空間ゆえに、境界を越えた先は神界ぞ。

 とても現世の生き物が存在できる場では無いでな。

 時々、我が同胞が覗きに来ておるようだが…この場は一応、我が管理しておる故に立ち入ることはあるまいて。

 我も神界へと戻りたいが…始祖神様よりの下知では、そうも行かぬ故にのぅ…』って告げて溜息を。


『この場を離れて下界へと到るのも可能ではあるが、所詮下界である。

 この身を癒す物などある筈もないでな。

 せめて【ツィーイック・ツィーツェ】でも現れぬかやぁ…』


そんな風に仰る訳で…うん、下界のことを全て把握されている訳ではないようですね。

そして此処に縛られておられる訳でもないと…うん、把握した際にギョッっとしましたよ、はい。

いや、まさかね…神龍様がカルデラ地帯へと、おみ足を運んで頂くなどと言うことは…うん、物騒だから止めて頂きたい。


だが…


『主様…神龍様は【ツィーイック・ツィーツェ】の存在を御存知ないのでしょうか?』っとペシュエが…

何故ぇっ!このタイミングで聞いちゃったのぉ、君ぃぃぃっ!

ほらぁっ、神龍様が反応されておられるじゃないですかぁぁぁっ!


『い、今…なんと申した?』っとさぁ…

『い、い、い、いやややや…ななな、なんの?』

『惚けるでないわっ!

 確かに【ツィーイック・ツィーツェ】っと聞えたぞぇっ!

 我には千里眼などという力は与えられてはおらぬが…もしや下界に【ツィーイック・ツィーツェ】が?

 しかし、あのような存在は自然発生…はっ!』


そう思案されておられた神龍様が、マジマジとスパイ・ダーをジィィィッっと凝視されている。

俺の顳顬(こめかみ)からは冷や汗がタラリと垂れている。

ペシュエは失言に気付き蒼ざめている。


うん、困ったね、こりぁっ。


『そうか…おぬし達の仕業…いや仕事であるなっ!

 でかしたであるぅぅぅっ!』


そう告げられた神龍様が玉体を座より離され神殿より出ようと…


『し、神龍様っ!何処へっ!』

『決まっておろうやっ!

 【ツィーイック・ツィーツェ】であるぞっ!

 楽しみであるやっ♪』


い、いや…どんだけやねんやぁっ!

猫に鰹節、ドラゴンに【ツィーイック・ツィーツェ】っとの記載があったが…まさか此処までとは…

神殿から出でて飛び去る神龍様を見送るしかない俺達…いや、スパイ・ダー達だった。


ってぇ!言っている場合かぁぁぁっ!

この隔離空間の管理者にて主的な立ち位置である神龍様がカルデラ地帯へと、つまりは我がダンジョンへ飛来されるってことだぞっ、これぇぇぇっ!


「ど、どうしょぉ~」って頭を抱えるが…

「もう、どうしょうもありませんわ」っと言うペシュエからの応えがな。

って、どう言う意味だ?


「既に来られてましてよ」


え゛っ?


俺はペシュエの言葉に抱えていた頭を上げてメインモニターを見ると…うん、楽しそうに湖にて沐浴中の神龍様の御姿が…

【ツィーイック・ツィーツェ】を楽しんでいたドラゴン達は驚いて飛び立つ鳥のような有様になっている。


いや、あのドラゴン達が…形無しである、いや、ある意味台無しか?


神龍様は周りの迷惑などは省みず【ツィーイック・ツィーツェ】をジックリと堪能されているのだが…オペレーターから切羽詰ったような報告が!

「マスター!正体不明の力が湖と【ツィーイック・ツィーツェ】に蔓延しております!

 その影響がダンジョンへも及び始めている模様!

 繰り返します!

 マスター!正体不明の力が湖と【ツィーイック・ツィーツェ】に蔓延しております!

 その影響がダンジョンへも及び始めている模様!

 どの様に対処すべきでしょうか!?

 ご指示のほどをぉぉぉっ!」


いやっ、俺にどうしろとぉぉぉっ!


『ピッ!力ノ正体ニ付イテ報告!

 分析ノ結果、神龍ヨリ出デシ力ト判明、神ノ力デアル神力ト暫定。

 ナオ影響ニ付イテハ不明』


力の正体は分かったか…良かったぁ良かった、じゃぁねぇぇぇっ!

影響不明って、ダメじゃん!

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