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第一王子のロイヤルサバイブ 乙女ゲーは情報過多  作者: まるいのあっと


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◎不夜城 早朝 誰がために鐘は鳴るのか③

お読み頂きありがとうございます

イイねもありがとうございます

最近、召喚呪文のネタが尽きてきました(笑)

召喚呪文のネタ考えながらイイねありがとうの踊りを研究してます

ナニカンガエテンダ…ワシ

お楽しみ頂ければ幸いです。

 ◎バグの食べた悪夢②。


 アイン殿下達に挨拶の後(のち)、各自割り振られたお仕事の為に使用人ズは散っていきます。

 

 やれやれ。

 

 やっと人心地ついたかと、ちょんとソファに座る殿下方の為に部屋付きの侍従にお茶の用意をしてもらう、侍従が子供相手と気を利かせたのか領地で人気のアップルティーソーダを作ってくれたようで…。

 けど殿下方にはソレ受けるかな?


 王都ではフレーバーティーやハーブティーは馴染みがない。

 炭酸水もない。

 

 炭酸は馴染みがないせいかアイン殿下やツヴァイ殿下の微妙な表情の変化が面白いなあ。


 麦わらのストロー(エコです(笑))が刺さった細長い円筒形のグラスにぷちぷちする琥珀の液体。


 ストローでガシガシ氷突いているツヴァイ殿下。

 と、ジッとグラスを観察するアイン殿下の対比が笑えて可愛い。


 一句。

 それぞれ違ってまた可愛い

    byバグのココロの俳句。


 いや、俳句になってねー!


 透明なグラスの表面、冷たい汗をかいてます。

 お茶が冷たくてぷちぷちするのがわからないという顔をするアイン殿下。


 普段無表情なのに僅かに眼が好奇心にあふれている。


 普段無表情な殿下が子供らしい表情をしていると安心できる。

 情緒が育ってきているのだと嬉しいが…。


 コーディアルのシロップの炭酸炭酸割りも美味しいですよ、王都のカフェでは夏場にシロップの冷水割りは見た事ありますが王宮で出されたことはないな。

 今度差し入れに持ってこようか。

 炭酸水と共に。


 うん、馴染みのない炭酸ですが子供らしく美味しそうに飲んでいただけるとほっこりします。

 提供しながら緊張していた侍従も〈やったぜ!〉な感じで嬉しそうです。

 わかるわ、可愛いでしょう殿下方。

 俺が護衛騎士してます(笑)

 

 子供が美味しいもの飲んで喜んでくれるのいいよな。

 


 なのに

 そんなささやかな風景に、つくんと胸が痛む。


 顔も覚えていない子供。

 俺の子供ではないけれど二人で会う時位は美味しいモノを食べさせてあげようと思って。

 

 思っている内に。

 本当の親に道具のように捨てられた子供。

 

 抱きしめた 血の臭いが…。

 


 いやいや? そんな子供は俺の回りにはいない。

 覚えのない記憶の断面。


 何この記憶? 前世の記憶?

 現世でそんなコトする大人いたら俺ぶっ飛ばす自信あるな。


 耳の奥で電子音がする。

 〈盾〉の力を使うと前世に引っ張って行かれる気がする。

 おかしな所に思考が沈ずむ気がする。

 しっかりしろ俺。


 今はアイン殿下達に美味しいものを食べさせてあげるコトを考えよう。


 そうだよ、離宮まるっと一棟、東域辺境伯家管理なんだから、厨房でお茶もおやつも作り放題。

 だからこんな手の込んだお茶も出せる。

 お食事もミネルバ家の料理人を連れて来ているので温かいものでも、冷たい物でも、もちろんご要望があれば丼物でもラーメンでもご用意出来ますよ。

 

 じゅるり。

 

 豚骨処理するところから始めなきゃならないからラーメンは時間がかかるんだよな。

 差し入れにワイルドボア一頭いれてみるか。

 

 解体面倒だから迷惑がられそうだが。

 やっぱ解体からだよな、豚骨ラーメン。

 かんすい使った麺はアンテナショップに売っている。

 

 じゅるり。

 

 前の図書館棟に作った厨房では匂いが本に付くからと簡単な食事しか作れない上、食材納品で必ず毒物入りが納品されるという地味? な嫌がらせを受けていた…。


 なのでこの離宮は食品の納品も東域辺境伯家の息がかかった食料品店に注文、管理に鑑定が出来る料理人を入れました。


 母上が。

 テヘペロ。

 

 臭いキツイニンニク料理も作り放題だぜぃ。

 ガッツリニンニク入りは男飯の基本だよな。

 

 ふふん! 此処(東域辺境伯家)は怪しい奴の付け入る隙がないからな。

 もう昔(・)の(・)よ(・)う(・)に(・)北の国や敵対貴族家の手が入る隙は許さない。

 

 ため息。

 

 クラクラする。

 ちょっと休みたいと思っても状況が許さない。


 事件は片付いていない。

 

 俺に対する事情聴取という名の取り調べも超厳しかった。


 なんで?


 お前ら(東域辺境伯家)のマッチポンプじゃねーかとも言われた。


 取り調べ担当の第一騎士団に。

 ニコライ陛下の奉信者だな、コイツら?

 

 そこは二兄と父上がが権力使ってでも厳重抗議。

 

 が、未だ誰も謝罪しない!


 犯人は全員焼死。

 黒幕は捕まっていない。


 王宮警備の責任者出てこい!


 俺らをあそこに呼び出した元老院、ニコライ殿下出てこい!

 謝罪記者会見だ謝罪!

 職員食堂のパーテーション借りて来るからそこにずらりと並んで謝罪だ。

 

 と、お茶しながら妄想逞しくしていたら二兄と目が合った。

 兄貴、王宮警備の一角を担う騎士団統括局副長だったわ(笑)

 

 二兄は微妙な顔で俺を見ていた。

 

 なんで? 

 たまにそんな顔してるよな二兄。

 

 風がふわりと髪をなぶる。

 風が来た方向にはベランダがある。

  

 ああ…開け放ったベランダから入ってくる柔らかい風が心地いい。

 窓から光が注ぎ、空は蒼く天高く馬肥えそう(笑)

 

 平和だ、国葬の一日目で皆黒の喪服なのに。

 美味しいお茶と美味しいお茶請け…。

 

 このまま平和な時間が続けばいいのに……。

 

 シャクシャク。

 

 話し合いに残った騎士連中、トビアス君と猫侍女にもお茶…。

 

 シャクシャク。

 

 ……。

 

 底の浅いバスケットに上品に積まれたそれは東域辺境の領都の駄菓子屋や屋台で売られる人気の駄菓子…。

 アイン殿下やツヴァイ殿下が美味しそうにシャクシャクしてるソレは領都の子供、大人関係なく人気の…。

 

   〈う●い棒…〉

  

 何故 〈う●い棒…〉? ここは定番のマドレーヌやら殿下の大好きなスコーンにクロテッドクリームとか蜂蜜かけたパンケーキとかあるだろ!

 

 シャクシャク。

 

 アイン殿下、いつのまにかリスが頬袋に詰め込むが如くシャクシャク食べてます。

 

 具合大丈夫ですか?

 美味しいですか? ソレ。

 眼がキラキラしてます。

 

 「……」


 無言でシャクシャクしながら上目遣いで俺を見るアイン殿下。

 

 美味しいんですね?

 ほっこり、頭撫でていいですか。


 アイン殿下のアッシュグレイに銀の混じった髪は細くサラサラです。


 食べ物食べてる時に頭撫でるのはどうだろうと、自分でも思うけど可愛いから仕方ないじゃないすか!

 

 …美味しいならいいんです。

 頭なでられて食べにくそうですが拒否はされていません。

 

 子供は好きだよな、こういうの。

 俺も子供の頃よく買い食いしたわ。

 

 …でも俺は何故か敗北感一杯です。

 ツヴァイ殿下は死んだ眼をして食べてます。

 

 シャクシャク。

 

 多分コレは、庶民の駄菓子屋や屋台で売ってる菓子だと知っている顔ですね。

 

 シャクシャク。

 

 兄上が美味しく頂いてるならいいんだと、ツヴァイ殿下の死んだような眼が語っています。

 

 シャクシャク。

 

 誰だ! 殿下方に〈う●い棒〉出した奴は!

 う 美味いからいいんだよう●い棒だけに…。

 

 く…苦しい。


 周りを見回す、部屋にいるのはお茶とお菓子を用意してくれた侍従とアイン殿下、ツヴァイ殿下、俺、一兄、二兄、其々の護衛騎士(一兄の護衛騎士は父上の護衛任務についているそうだ)アイン殿下の護衛のバリエとバルト、そしてトビアス君…と、猫侍女。

 

 トビアス君、デカイ袋持ってなかった?

 

 バリエは王城内医務室で目覚めのタイミングを捜査班に襲撃され、事情を聴くからと連れて来られたらしい。


 …すまんのう…魔力枯渇は少しはよくなったか?

 

 トビアス君は使用人達が捌けるときに出遅れて留め置かれたようだ。

 葬儀の準備で忙しいのかと確認したら仕事は終わって後は臨時に調整が必要になった時用に待機するだけとのこと。

 

 国王陛下の裸踊り待機か…(笑)。

 

 俺の中では陛下の裸踊りは決定事項になっている。

 

 しかし、トビアス君、その時持ってたデッカい袋どうした?

 もしやさっき持っていた袋の中は…。


 犯人はお前か!

 

 アイン殿下達には、お高い東域辺境伯領都で人気のお菓子食べさせてあげたかったのに!


 いや、うま●棒美味しいけと。

 他意の無い差し入れありがとうトビアス君。


 ガッグリ。


 生クリームに果物たっぷりのケーキとか。

 チョコレートをこれでもかと使ったケーキとか

 プリンにアイスにゼリーにムース……。

 果物をテリ照りに甘く煮詰めたジャムの付いたスコーンとか皮が極薄のシュークリームとか。

 …毒入りの心配ない美味しいお菓子を食べさせてあげたい。

 

 非常食扱いのナッツだのシリアルバーだの日持ちするよう固めに焼き上げた戦闘食(レーション)じゃないお菓子を食べさせてあげたい…。

 

 …砂糖でコーティングした砂糖の塊のようなお高いだけの王都の貴族用菓子な奴じゃなくてな!


 騎士団統括局副長で襲撃された当事者の一人、ホーク ゲイガン ミネルバ氏もお茶を飲みながら シャクシャク、と うま●棒を食べ、ひと段落してから襲撃事件の全容を話し始めた。

 

 「〈隠し部屋から突撃して色持ちの継承権を持つ者達を一網打尽で始末する〉

 と、暗殺者たちは、火薬をしこたまもち込んで俺らを焼き殺そうとしていたらしい」

 

 いきなりディープな内容!

 

 デリカシーって知ってる? 兄ちゃん…。

 

 なのに皆一様にうま●棒を齧りながら聞いている……のか?

 室内がちょっと笑える様子になっている。

 みんなでリスのようにシャクシャク。

 

 「ダイナマイト…名称まんまだな」

 護衛2微妙な顔でシャクシャク…。

 「火薬を棒状に固めて導火線で着火するアレですか」

 護衛4、上品に口元をハンカチで拭いながらも次をシャクシャク…。

 

 ウチの(東域辺境伯家)護衛騎士、極秘だがほとんどが転生者なのでこういうときは話が速い。

 

 ダイナマイトの名称はアイン殿下が爆発前の現物を透視して表示を読み取っていた。

 魔眼便利! そして情報共有大事。

 

 「しかしダイナマイトで王宮大爆破作戦とは」

 「古(いにしえ)の戦争映画みたいっすね?」

 古と言われ固まる護衛2。

 護衛4には悪気はなかった、ただ脳筋で発言の意味を深くは考えてはいない。

 前世若くして転生した護衛4と108まで生きたという護衛2の間には昭●と●成という深くて昏い闇があるのか…。

 

 「しかしそれで自分らが自爆したとか…取り扱いに気を付けろや! 」

 って思うよな。

 ちゃんと防火管理者の資格試験に通った管理者を……ないな、そんな資格。

 

 異世界の足りない知識で作った爆弾を、扱い方がよくわからない素人に使わせたのが敗因だろうな。

 誰だ、迂闊に異世界にダイナマイト持ってきた奴(転生者)は。

 アルフレッド=ノーベルに謝れ! 土下座しろ!! ノーベル賞作って金吐き出せ!

 

 え? 俺が考えた最強の武器? いやぁ あれはいつか出る魔道具だよ。

 錬金術師に制作アイディアを丸投げして作って貰ったから異世界(こちら)産の魔道具ということで。


 てへ(笑)。

 

 トビアス君、現在東域辺境伯家の極秘情報を聞かないよう、耳を塞いでいる

 が、無駄な努力だと愚考します。

 

 後ろで二兄の護衛2が脇をくすぐって耳を塞いだ手をのけさせている。

 おもちゃだ、トビアス君、護衛騎士共のおもちゃになっている…!!

 中身、前世合わせると60過ぎぐらいなのに…。

 猫侍女、こう言う時こそ助けてやれよ。

 

 てか、護衛騎士共、真面目に聞けよ。

 

 「よんの相方なら話聞いとけ」

 

 無慈悲な二兄がトビアス君に最後通告を出した。

 

 酷いな、巻き込みが。

 

 相方ではないよ、ズッ友だよ。

 

 「トモダチですが赤の他人です」


 酷い! トビアス君!!

 

 はっきり否定されてしまった。

 ショボーン…。

 

 まあ、俺は冒険者になるけどな。

 アイン殿下達と冒険者 〈王様パーティ〉だ 我ながらヒドイネーミングセンスだな。

 

 「僕らの冒険者のパーティーに変な名前つけないでください」

 横にいたツヴァイ殿下がギッと睨む。

 俺のココロを読みおったか!

 

 「じゃ、チーム 〈イヌのキモチ〉? 」

 たたみかける俺。

 

 ツヴァイ殿下がウワーっという顔をしている。

 アイン殿下まで微妙な顔をしている。

 酷い。

 可愛いを強調してみました(笑)

 

 「前はアイルと〈猫のきもち〉ってパーティ名だった」からいいじゃねぇか?

 アイルが猫だからというだけで命名しました。

 

 二人共凄いしょっぱい顔している…。

 

 「そこ、うるさい」

 二兄がひょいとう●い棒を飛ばして来た。

 うま●棒ミサイル、俺に直撃。

 ちゃんと先頭からぶつけてきたよ、昔からこういうモノの飛ばし方上手いよな二兄。

 

 なんだか自慢げな二兄、人にう●い棒ぶつけてきおって…シャクシャク。

 ※ぶつけてきたう●棒はスタッフ(俺)で美味しくいただきました。

 

 そんな聴衆にあきれながらも二兄の爆弾発言は続いていた。

 「別の部屋にもあちこち、山のように火薬や爆弾らしきものが仕掛けられていたぞ」

 別の部屋って何処?

 

 「騎士団統括局の局長室と図書館、ニコラス閣下の居室のまわり」

 指折り数える二兄、この人騎士団統括局副長。

 

 「ホーク ゲイガン ミネルバ卿の回りにも爆弾?! 」

 アイン殿下が聞き返した。

 名前、長くて面倒だな。

 「兄貴はホーク(名前)呼びでいいですよ」俺もミネルバ卿でややこしい。

 そしてこの離宮は今やミネルバ辺境伯家に占拠されている。

 一兄も父上も母上も二兄も俺も皆ミネルバ…。

 うはははは。

 

 また、●まい棒ミサイルが飛んできた。

 痛くもないが食べ物投げるのやめようよ 二兄ぃ!

 

 「勝手に名前を省略させるな! 」

 怒ったか? とも思ったが、そうではないらしい。

 

 「私の事はホークでもお兄ちゃんでも如何様(いかよう)にもお呼びください」

 おもむろに立ち上がると右手を胸に置き、にっこり貴公子スマイルでアイン殿下に話しかける。


 お おう…二兄よ、おにいちゃんは違うと四男は愚考します。

 俺がぶしぶしぶーたれようとしたら横から疑問形で子供の声が…。

 

 「…おにいちゃん…?」

 

 ぐはぁああ!


 胸を押さえてしまった!

 アイン殿下の破壊力がぁ! …高い!

 何人か護衛騎士共も悶絶している。

 バルトもバリエも悶絶。

 何故か護衛2だけ呆然と「…孫? 」と呟く。

 お前の娘、5歳だろ!

 

 おずおずしながら呟くアイン殿下がまた破壊力を強めている。

 これはアレ、アレですよ不意打ちからのデレ!

 殿下もツンデレ属性だったか!

 なんだろう? 兄弟には〈よん〉だの〈四兄〉だのとしか呼ばれたことがないので新鮮というか…。

 

 やばい扉を開いてしまった?

 

 そしておにいちゃんと呼んでいいといいながら二兄は…?

 殿下のおにいちゃん呼びに俯いてしまった。

 

 いや、自分で言ったんだよな 如何様(いかよう)にも呼んでいいと?

 

 アイン殿下、悪い事をしたようにちょっと俯いてからの二兄を見上げて。

 「では、ホーク殿と…」

 アイン殿下のその角度はヤバイ!

 アイン殿下を止めようとした先、二兄がガシッと殿下の肩を掴んだ??

 

 「おにいちゃんと呼んでください」

 

 二兄、不敬!

 すっげえキラキラした顔が不敬!

 ムカつくほど不敬!


 「だめー! 」

 アイン殿下の横、ツヴァイ殿下の珍しい子供叫びが。

 ツヴァイ殿下が顔の前で両手で×を作っている。

 必死だ。

 

 「兄上は僕の兄上ーーー!」

 ごもっともです。

 でも!

 

 俺もメッチャ必死で両手で×を作った。

 「狡いぞ二兄ばっか! 」

 一兄参戦!

 「私もおにいちゃん呼びしてください! お兄様でも可!!」

 八人兄弟の真ん中の四番目、お兄ちゃん呼びは初体験。

 皆一様に兄弟数字呼びたからな。

 

 つまりコロっと転がされた。

 アイン殿下の手練手管(無自覚)に!

 ミネルバ兄弟、このメンバー全員が転がされた。

 

 ツヴァイ殿下がアイン殿下を横からかっさらうように抱きついて叫ぶ。

 「お前らもか! 全員不敬、王都追放! 」

 

 抱き着いて嫌嫌(イヤイヤ)するツヴァイ殿下の回りがピリッとする。

 

 あれ?

 

 キラキラがざわりと吹いてくる。

 不穏!

 

 さっきのピりは魔力?

 

 ぶわりと金色の粒子が部屋全体に広がる。

 アイン殿下と殿下を抱えるツヴァイ殿下を中心に。

 

 「兄上取っちゃ嫌だーー」

 

 ツヴァイ殿下、魔力暴走ですか? ソレ。

 噴水のように吹きだす金色のもや。

 呆然とするアイン殿下にしがみついて大泣きするツヴァイ殿下。

 アイン殿下の肩に両手を置いたまま固まっている二兄。

 流石の二兄も対処不能。

 

 部屋に充満する金色。

 害はなさそう、侍従がベランダの窓を閉める。

 こんな金色、王城内にばら撒いたら大騒ぎになる。

 

 「これ…魔力暴走? 」

 「魔力可愛い…」

 侍女の誰かが悶絶して鼻血ふいてる?

 しっかりしろ腐侍女!

 

 部屋にいた護衛騎士はもちろん、普段空気に徹している侍従や侍女、衛兵もトビアス君まで魂ぬけて清められた顔しています。

 鼻血吹いて倒れた腐侍女以外。

 

 トビアス君と猫侍女、殿下方を膝まづいて拝んでいます。

 それ、仏様に祈る形じゃね?

 

 ヤバイ。

 このままではこの離宮が聖人君主の巣窟になってしまう。

 

 「ツヴァイ殿下も聖女ですか? 」

 とんでもないこと聞いてくる護衛4。

 ちげーよ!

 

 俺がフレーメン反応の猫みたいな顔をしたのを受けて護衛4が飛び出す。

 

 お前どうにか出来るのかよ?

 

 そして大泣きするツヴァイ殿下と呆然とするアイン殿下を纏めて抱きすくめた。

 「アイン殿下はずっとツヴァイ殿下のお兄ちゃんですよ」

 言い聞かる。

 「ツヴァイ殿下はずっとずっとアイン殿下の弟ちゃんですよ」

 「ほら、ぎゅうっぎゅっ! 」と抱きしめ落とす勢いで抱きしめ、変な歌を歌いだす。

 

 「餡子でぎゅっ! 餃子の具もぎゅっ!」

 

 はい?

 

 「こねこねこねこね あんこをこねこね」

 

 ツヴァイ殿下は泣きじゃくって気にしないが二兄とアイン殿下にチベットスナギツネが降臨していた。

 

 するわな、訳わからん歌に合わせてこねくりまわされれば。

 

 混乱する二人に構わず殿下方二人を合わせてぎゅっぎゅっとこねくり回す護衛4。

 

 「アイン殿下も、はい! アンマン 肉まん、餡子をぎゅっぎゅ!」

 とうたいながらツヴァイ殿下をぎゅっぎゅっさせている。

 

 「幼稚園のお遊戯にありそうな歌だな」

 顎に手を当てて四人を眺めてる護衛騎士2復活! ありのままの感想をどうも。

 「なつかしいなあ」

 

 ……。

 

 護衛4の変な歌は続いている。

 「大福の餡子は粒あんぎゅっ! 」

 ぎゅっぎゅされる殿下方。

 

 「あ、殿下泣き止みましたね」

 護衛1も復活。

 

 「護衛4、粒あん派か」

 

 此処でまんじゅうの餡子はこしあんかつぶあんかの派閥争いの予感が…。

 「てか、殿下方 意味わかってないんじゃないですかねぇ」

 

 餡子も餃子も肉まんも前世、日本の食べ物。

 

 「この間アイン殿下に大福食べさせてみたら〈太ったましゅまろ〉って言ってた」

 俺情報。

 

 「太ったマシュマロ……」

 

 トビアス君の職員宿舎に大福を差し入れに行ったとき、一緒に食べたんですがね。

 太ったマシュマロと大変気に入られてました。

 塩大福なんですが。

 

 「東域辺境伯領で食べられる異世界産の食べ物は王都でも〈踊る焼肉亭〉とか東域領アンテナショップ併設の食堂で食べられますよ」

 

 ギン! と護衛騎士共に注視された、怖いよ。

 食の情報共有は騎士団内最高ランクで重要情報らしい。

 

 因みに〈踊る焼肉亭〉は俺の冒険者時代の稼ぎをブッコンで出来た焼肉屋です。

 娼館街の入口にある元娼館の瀟洒な建物でデートにも最適。

 焼肉だけど。

 ニンニク臭い場合は消臭用の飴玉用意しています。

 どうぞ御贔屓に!

 

 東域辺境伯領都名物〈温泉まんじゅう〉もアンテナショップで売ってます。

 アンテナショップという概念も異世界産。

 

 「異世界(この世界)、仕事してねぇ! 」

 頭抱える護衛1。

 

 「あんまり異世界言ってると坊ちゃんの主治医がケッとか言いながらヒザカックンしてくるぞ? 」

 護衛2情報。

 

 ナニソレという顔の護衛1。

 

 「東域辺境教会の教会付属の医師(せんせい)ですよ」

 東域辺境伯家の子供達の専属医。

 護衛2とかけざんされて薄い本のネタにされているのに未だに気づかないクオーターエルフらしい先生。

 

 わかんないって最強かもしれない…。

 

 もう東域辺境伯領自体が異世界だと思えば大丈夫!

 転生者も転移者も頑張って住みよい世界を考えているんですよ。

 

 てか、護衛4、その変なぎゅっとぎゅっの歌、何処まで続くの?



護衛4:召喚呪文のネタください!

護衛2:……ジャガイモゴロゴロお家カレー?

護衛4:インパクトある奴ないすか?

護衛2:前世女子のお前ならスイーツとか無いか?

護衛4:…原稿のお供に防災●うかん!

護衛2:お前本当に前世女子か?

護衛4:次回は防災食品をサービス サービスぅ?

なんのサービスだよ!?

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