◎不夜城 早朝 誰がために鐘は鳴るのか ①
お読み頂きありがとうございます
本編復活!
あの、ちっさいディーオイレ坊ちゃん、デッカくなりました。
現在23才、彼女いない歴、前世含めると、賢者の域(笑)
お笑いイケメン枠なのに…
…苦悩しても脳筋ディーオイレ君、お楽しみ頂ければ幸いです
◎バグは今、伝説へ……とは、いかなかった。①
未だ地平に紅く夜の気配を引き摺る早朝。
教会の鐘が長く尾を引く様に低く長く3回鳴る。
第32代 ノイエクラッセ王国国王
ゼクス ゲルト ノイエクラッセ 崩御
喪主は前国王陛下。
王位継承権第一位の殿下が即位するまで摂政として立たれる。
尚、前国王陛下は病身のため、王弟ヌルク バイン オペル殿下が補佐に立たれる。
以後、殿下が成人となる16歳成人後、王国法に従い王位継承権第一位の殿下に王権が移る。
以後この体制での国政が敷かれる。
国葬日程
王国歴256年オルバ月28日より10日間
葬送の儀
3日目各王族方によるお見送り
4,5日各国大使館より弔問
6日教会への移動
7日教会での葬送の儀
8日納棺
9日埋葬
10日国葬終了、式次第、新国王擁立を国民に報告。
そして今日から国葬が始まる。
ぎもぢわるい……。
頭がグラグラする。
焦げ臭い匂いが取れない。
バリエは別室、ミネルバ家の息のかかった者、使用人の使用する棟の一室で寝込んでいる。
本来ミネルバ家に下賜されていた部屋は使えないので、空いている離宮を整理清掃させて使えるようにしたようだ。
ニコライ陛下が……。
今、王宮内ではゼクス陛下が戴冠したと同時期に退官した文官や騎士、使用人達が戻って来てアイン殿下が国葬に手を取られていた間に滞った王宮、王国の仕事をしている。
ゼクス陛下が戴冠した後、本来陛下が行うべき仕事をアイン殿下と宰相と図書館棟執務室のメンバーで賄っていたのに、今になって宰相と執務室のメンバー丸ごとニコライ陛下の部下として引き抜いた。
まるで最初からいなかったように殿下だけが省かれて。
「…戻って来るなら最初から仕事してくれよ……」
愚痴も出る。
ゼクス国王陛下が即位と同時にニコライ陛下の下で仕事をしていた文官が大挙して退職(多分ゼクス国王陛下への抗議もあったのだろうが)、その後の荒れた政治経済を立て直したのはアイン殿下と宰相だ。
子供に面倒事を押し付けて退職しながらニコライ陛下が戻られた途端、息を吹き返すように退職した文官達が戻り、殿下が育てた文官達の席に座った。
アイン殿下と宰相の部下達の多くが席次を下げられ降格。
あの図書館棟の殿下専用執務室も引継ぎ用文官数名を残し、閑散とした読書室に戻されている。
なんだかなぁ…。
また、アイン殿下は図書館棟の空室を改造して(東域辺境伯家プロデュース&スポンサー)居住していたが王子の身分に相応しくないと追い出され、今はミネルバ辺境伯家預かりになっている。
ずっと図書館棟に居住していたのに今更何?
追われた…とは語弊がある、とニコライ陛下の部下達は騒ぐだろうが、マジ追い出されたのに語弊とか外聞とか何?
図書館棟のアイン殿下の部屋は閉鎖され、ミネルバ辺境伯家の離宮(元の下賜された部屋が改装中で仮にと破格の待遇で下賜された元後宮)嫌味だろうか、分かってやっているのか?
そこはアイン殿下の母上に与えられた離宮だった。
後宮、王子宮の管理はあの側妃の仕事だったのだが…嫌がらせか?
ため息しか出ない。
いいんじゃね? アイン殿下もう自由にしてあげて、俺が冒険者として鍛えるから(笑)。
殿下方、ミネルバのフクロウの子になろう! 殿下方が加わると丁度10人兄弟だ、ビッグファミリーの楽しさ、見せつけてやろーぜ。
因みにツヴァイ殿下は元々南域シュヴェールトヴァール辺境伯家預かりなので、同じように空き離宮を整備された元南域シュヴェールトヴァール辺境伯家専用棟に。
今は何故かミネルバ辺境伯家の長兄にだっこされている。
一兄…ツヴァイ殿下はぬいぐるみではないのですよ? 凄くほっこり顔の一兄に驚愕。
アイン殿下も可愛いですよ、ホラ?
火事現場で魔力を使い果たしたバリエは平均より少し多めの魔力のせいで魔力回復薬では回復できない分を寝て増やさないと起き上れない、寝たきり状態なので辺境伯家で保護 預かりで療養…。
すまん、俺が無理させたからな 手厚く看護してもらえ 飢えた腐侍女達にイケメン投入。
でもエセエリクサーを二兄に3本まとめて飲まされた俺も全身倦怠感で倒れそうです。
体力回復と
傷回復(内臓損傷)と
魔力回復薬。
三本合わせて別名〈セミファイナル〉
何故セミファイナルか 副作用のあばれっぷりがセミの断末魔のようだから…。
思い出すと涙目になります。
どうも盾の使いすぎで内臓痛めて鼻血に吐血と流血大サービスをしたらしい。
覚えてないけど。
慌てた親父が、親父と兄貴と二人がかりで押さえつけて飲せたようだ。
大ノ大人ガフタリガカリで…酷い。
火災現場を氷魔法で凍結させたのは東域辺境伯の父上らしい。
火事の後始末とニコライ陛下への謁見で今は留守。
白に金の唐草模様で装飾されたい天井が眩しい。
ソファの背もたれに乗せた頭を、顔を両手で覆う。
スキルということで申告した能力。
尊称の力を使った。
非常事態だった。
スキルとして申告した以上の力を使ったせいで魔術師団から目をつけられ、確認と物言いが来たらしい。
チッ 魔術オタク共が。
国葬が終ったら魔力とスキルの再検査をするよう厳命された。
どう使用したか何が出来るのか調べ直すそうだ。
余計なお世話だ。
行きたくねぇ……。
頭がクラクラする 能力を底上げして無理をした反動が酷い。
天井の白が眩しくて手のひらで隠した。
出来ることをした。
そこは後悔していない。
やりすぎて色々な所から目を付けられたらしいが。
何の為の力か解析不能の尊称の力 〈護国の盾〉
世界を動かす力と言われている。
いらんがな、そんなもん。
世界を動かす力のベクトルをその一点で変える能力とも。
神々に返品したい。
それを通常で使うと反動が凄い、と学習した。
今度会ったらトビアス君に教えてあげよう。
何処で使うか分からないが本番の時、俺は力を使ってどうなるか?
多分死ぬ。
と。
使い勝手が悪い、効率が悪い、燃費が悪い。
力が大きすぎて身体が持たない。
頭をソファの背もたれに乗せていたが肩凝り軽減はしないかぁ。
手の甲を見たくて目の前に掲げてみた。
お約束の目印か何かが付いてるわけではない。
いや、中二病拗らせているわけでもないか。
にぎにぎ…俺、女の子の手握ったことない…。
女の子、柔らかいってどんな感じなんだろう。
「俺、嫁いないんだよなぁ」
トビアス君家の嫁を思い出した。
前世もいなかった。
結婚したくないわけではない。
彼女欲しい。
女の子を好きになって。
結婚して
子供作って……
でも、時が来たら全部残して死ぬんだ。
その刻は。
10年後かもしれない。
明日かもしれない。
この後、扉をあけたらその刻かもしれない。
人に見せられない酷い顔をしている気がして、掲げていた掌で隠す。
顔を覆う手が小刻みに震えている。
護衛騎士だって、いつか肉壁になると解っているのに。
その覚悟はしていた はず なのに。
片方の口角が痙攣したように上がる。
いっかい死んでるのに。
心の何処かで軽く考えてみれば楽になるかというと、そんなことはなかった。
ヒトはいつか必ず死ぬ。
それがいつかなんて死亡宣告された病人だって大雑把にしかわからない。
ふと ああ、これ 死亡宣告なんだと腑に落ちる。
多分俺は……。
もそりと俺の太ももの上のアイン殿下が身じろぎした。
うっかり現実に戻される。
寒いのかな…と首を傾けると壁際で俺を見ていた一兄、二兄と目が合う。
「あー二兄ぃ…何かかけるものないかなぁ」
へらりと嗤って手をふると近くの椅子の背に乗せていた膝掛けをアイン殿下にかけてくれる。
ミネルバ家家訓、女性と子供には優しく。
よく見ると斜め後ろの壁際のソファに座った一兄はツヴァイ殿下を子供を寝かしつける母親のように抱いている。
うわぁ宗教画だ(笑)
拝んでおいたほうがいいのだろうか…なむなむ。
「お前は大丈夫か? 」
二兄はアイン殿下に膝掛けをかけた後の手を、そのまま俺の額に置いた。
…熱はないと思うけど。
「俺、子供の頃から病気した記憶ないけど」
なんか、懐かしい。
二兄はそのまま俺の額に手をあてている。
「そうやってもらうと気持ちいいなぁ」
なんだかわからないが落ち着く。
「…そうか」
手で眼を覆われているので二兄の表情はわからない。
声の抑揚もない、疲れているのか? かわいい弟で癒されるなら気のすむまで手置いてください。
自分の手もアイン殿下の頭上に置く。
もう手は震えていない。
俺はまだ大丈夫。
気が済んだか二兄がまた壁際に引っ込む。
座ったらいいのに。
俺の膝の上に突っ伏した猫のようにアイン殿下が休憩している。
頭を撫でても「不敬」という元気もない。
だからこの機会に撫でる! 心赴くまま撫でる!! なーでなで…とも思ったが殿下、さっき火事現場を視たせいで、しこたま吐いて起き上がる気力もなくなっているんだよな。
だから、そっとなでなで。
今、母の気分(笑)
大丈夫だから、と 心の中で語りかける。
貴方は死なせない。
その為にこの力を使おう、貴方を守る事こそ本懐だと思うことにした。
重いな。
アイン殿下を撫でているとツヴァイ殿下が一兄の腕からもそもそと降りて俺の空いてい片方の太ももに乗って来た。
残念そうな一兄。
あーにーうーえ? 子供は可愛い教徒か。
ツヴァイ殿下と二人でアイン殿下を撫でている。
サルのグルーミングか?
ボスのサルに部下が服従の意味をこめてやる奴……。
ナニコレ? 可愛い 至福!
いや、アイン殿下、撫でられすぎてうなされないか?
起き上がるとか手を振りほどくとか、されなかったので気が付かなかったが。
アイン殿下の眉間に渓谷が出来かけている…。
うん、程ほどにしような。
ツヴァイ殿下も気付いたか、撫でるのを止めて俺の空いているもう片方の膝の上に仰向けに頭をのせる。
膝枕、いいんすけど。
天井を見上げて「兄上の敵はもげればいい…」とか呪詛をつぶやくのはやめてください。
俺の膝の上が恐い…。
そして三人、そこはかとなく焦げ臭い…。
せめて殿下方は焦げ臭い喪服から着替えさせてあげたい…。
だってその焦げ臭いにおいは……。
うわぁあああ…。
「し、消臭剤をくれぇ! 」
ミネルバ家の紋章、初代当主(転移者)作。
円形の枠に真ん中にまるっとフクロウ、その頭上に星三つ、足元に開かれた本と羽ペン。
可愛らしい紋章ですが騎士団のマントの背中にデカデカ刺繍されてます。
王都民:可愛い! アレ何のキャラクター? グッズ出てるの?
東域辺境伯家の騎士の紋章を見た王都の腐女子の反応
商会関係者:キラーん 商機の予感
王都民:さっきすれ違ったイケメン達がお揃いのマントだった、可愛い、推せる!
何処ぞの商会関係者:南のシャチ、北の白熊、東のフクロウ…アイドル騎士団立ち上げてグッズ作ったら…売れる? キラーん 商機!
幼い殿下達を守るアイドル騎士団…白米丼三杯イケる!
国王陛下の国葬より盛り上がるイケメン騎士団。
乙女ゲームと関係ない謎の企画が立ち上がる…予感!
ステージに飛び散るイケメンオーラ、筋肉マシマシでサービス、サービスぅ? 乙女ゲームは?




