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第一王子のロイヤルサバイブ 乙女ゲーは情報過多  作者: まるいのあっと


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◎閑話休題 梟の野望は東の辺境から10

お読み頂きありがとうございます

イイネやスタンプを貰うと喜びで小躍りしたくなります

感謝の祈りを! (グ●コのポーズ!)シュタッ!おそまつさまです。

梅雨時の洗濯物のようにウエットになってますが

お楽しみ頂ければ幸いです

  ◎邯鄲(かんたん)の攻略①

  

  

 襲撃の予感…。

 

 奥さん、うっかり差し入れに来て仕事(上司)に捕まってしまいました。

 一緒に夕食をと、ちょっとお高いレストラン予約したのに…。

 

 仕方なく、知り合いの侍従に奥さんへの伝言をお願いし、ついでに護衛騎士の制服の上着とベルトの予備を持ってきてもらう。

 

 護衛騎士の制服 防刀仕様です。

 そこいらの軽鎧より丈夫 ふははは素材が違うのだよ素材が。

 ついでに言うと、ちょっとオタココロをくすぐられるデザインらしい。

 私は前世、享年108歳のジジイなので最新の流行とかはわからんが。

 

 「牛丼! 召喚するほど焦がれた牛丼~!」

 おい、召喚出来てねえだろ! お前のスキルは牛丼召喚か!

 

 ディーオイレ坊ちゃんの新人護衛騎士君が泣くほど牛丼に感動している。

 

 「待てだ」

 泣きながら牛丼に喰いつこうとする護衛4をアイアンクローで止める。

 「これは坊ちゃん達への差し入れだ」

 川流れから救出されたばかりの犬のような顔になっている四男護衛騎士、略して護衛4。

 そんな顔しても駄目だ。

 

 「私とディーオイレとで半分こするから一つ食べなよ」

 ずぶぬれの犬のような情けない顔の護衛4を見て、哀れに思ったのかパウル坊ちゃんが天使の提案をする。

 長男君はやさしさで出来ている…訳ではない。

 護衛1情報によると結構腹黒いらしい。

 

 モノには順序、人には階級があります そこを弁えないと腹黒に痛い眼にあうと学習しろ新人。

 

 「ディーオイレ坊ちゃん、おかゆからやっと普通食になったんですから、半分ですよ 半分!」

 

 えー、俺まるっと一個! とプラケースっぽい丼を抱きしめて主張するディーオイレ坊ちゃん。

 医師の指導、入りました。

 あたりまえです。

 

 余りに醜い食べ物の争いは貴族らしくないし、器だってプラスチックのような(プラではないよな? 何素材?)容器が貴族の食事ではないと我慢できなかった侍女たちにより、牛丼はいったん強制収容、美しい食器に各自の分量でリメイクされてしまいました。

 

 電子レンジあるのか? ほかほか出来立てになって帰って来た。

 

 凄いな異世界、…と言うのは先生に注意された言い回しだ。

 少し気持ちがきゅっとする。

 

 そして何故か戦国武将のご飯の如く一人用の箱膳に乗せられて……?。

 

 何故床置きの一人箱膳がある?

 ココハドコ? 戦国? 日本の名城だけど?

 

 何処が美しい貴族仕様?

 

 この世界は18世紀初め位の西洋文化かな? と考えていた。

 王都のトイレが壺だったし…。

 

 坊ちゃん達の分は昼食を鑑みて小盛りになっているので護衛騎士達の分もあります

 (一応)ありがとう侍女ズ。

 

 だが、そんな侍女達のココロ配りも考えず、盛り直された牛丼を見て残念そうな護衛騎士達とディーオイレ坊ちゃん。

 

 絶対〈お前だれやねん!〉と裏拳ツッコミをココロの中で入れていそう。


 牛丼に。


 この転生者共め、と言いながら私も顔には出さないが、これは違うと魂(ゴースト)が呟(つぶや)いています。

 

 「牛丼はやっぱあ(・)の(・)丼に入れて欲しかった」

 誰かれとなく呟いた声が聞こえる。

 無茶云うな! あれは庶民向けの器だ。

 

 美しくオシャレな和食器に盛られた白米と牛丼の具。


 と、各自に分けられた紅ショウガのピンクっぽい赤が洗練されたデザインの小皿に映えて…なんてことでしょう、高級和食のお店のお高い牛肉料理のようです。

 

 まだ、良かったのか?

 もし、普段使いのお貴族様食器、白とボルタニカ柄の食器に銀製のカトラリーだったら、もっと もしょっとする所です。

 

 中身は丼飯屋(どんめしや)の牛丼だからな。

 

 「久しぶりだな牛丼、会いたかった…」

 牛丼に語り掛ける護衛4 器をなでまわしている。

 変態だ!

 

 「ビールは? キンキンに冷えた発泡酒! 」

 ディーオイ坊ちゃん、それビールだけどビールじゃないから。

 

 7歳の子供の台詞じゃねーよ、中の人ことぴょん助30歳オーバー!

 己の外見を鑑みて発言しろや。

 

 こら、よそ見してたら紅ショウガ、私の分まで自分の牛丼の上に盛ろうとするな!

 その上、七味唐辛子なんて何処から調達してきたんだ?

 そんなガシガシかけるんじゃねぇよ!

 

 ぴょん助、お前の味覚 転生しても前世リーマンのままか?

 

 ホーク坊ちゃんは急ぎで昼を済ませるリーマンのように牛丼をかっ込んでいる。

 これからお得意様周りの営業ですか? やれやれ。

 ホーク坊ちゃん本当に転生者じゃないんですか?

 

 似合いすぎる牛丼……。

 

 対して長男パウル氏はお膳の前に正座して上品に自分の分を食していた。

 さすがミネルバ辺境伯家惣領(あとつぎ)。

  でもそれは牛丼の喰い方ではないと、私の中の魂(ゴースト)が…うるさい。

  

 てか、牛丼ひとつでなんの騒ぎなんですか。

  

 そして、私も食べた 久しぶり(体感60年振り位)の牛丼。

 何故かぴょん助と護衛4と私で至福な顔で昇天。

 

 牛丼、想像以上に う…うまいよぉ…はぐはぐ。

 女神様ありがとう 牛丼をこの世界に降臨させてくれて。

 

 そんな私達を何故か微笑ましい眼で見ている先生と長男。

 

 二人には色々バレているか。

 これから大仕事が待ち構えているだろうというのにちょっと凹む。

 

 大仕事…で思い出す。

 

 襲撃あるよな。

 

 部屋を見回すと普通にわちゃわちゃ子供部屋ではしゃく子供達。

 (部屋の壁の大穴は見ない)

 それをほのぼの見守る護衛騎士他…平和だ。

 (壁の大穴はまぼろし)

 平和なのに。

 

 長男の護衛騎士が寄って来て私と先生に掌に握り込めるサイズの金属棒を渡して来た。

 

 「これはガスとか大気中に薬巻かれた時用に」

 

 真ん中に金管楽器の口のようなものが付いたコレ簡易ガスマスク、両端が外れるのでそれを鼻の穴に詰めてから口に咥えるとガスを浄化した空気が吸えるというもの。

 

 「コレ、スゲー間抜けだよな」

 ディーオイレ坊ちゃんが実演して笑いを取ろうとするが、これ使い切りですよ?

 坊ちゃん、怒りの護衛1に有無を言わせずマスクをさせられた コトが済むまでそのままです。

 

 「ココ本当に異世界か? 」

 

 もごもごしながらディーオイ坊ちゃん、私と同じ台詞をいってますね。

 

 「牛丼があってもアヅチ城があっても前世とは違います」

 

 ディーオイ坊ちゃんの眼が見られない。

 

 「坊ちゃんはディーオイレ ミネルバ、東域辺境伯ミネルバ家の四男です」

 

 少しさみしそうな顔になる坊ちゃん、しかしすぐ立ち直ったかキョロキョロと部屋を見回すとベランダ手前のソファに積まれた魔獣のぬいぐるみにととと、と寄っていく。

 何故か世の子供達に人気があるレッドボアだのスライムだのケルベロスの3/1デフォルメぬいぐるみシリーズが山と積まれた一角にばふんと潜り込む坊ちゃん。

 

 子供らしいな、と微笑ましく思う反面、中のひとは30過ぎたおっさんだという事実に微妙な気分になる。

 坊ちゃんはぬいぐるみの中から頭を出し自分の護衛騎士4を確認、未だ牛丼をちびちび食しながら涙している姿に眉を寄せ、ため息ひとつ 私を見るとちょいちょいと手招きする。

 

 「スライム」

 

 水色の丸いクッションかと思えば渋い顔がついている…スライムのぬいぐるみなのだろう、坊ちゃんが差し出して来たので不思議に思いながら受け取る。

 

 ?


 「俺はさ、そろそろディーオイレと同化して消えるよ」

 にっこりと子供らしい無邪気な笑顔でとんでもない事を言い始める。

 

 「やっと奥深くに落ち込んでいたディーオイレ見つけたからさ」

 

 意味が分からない。

 

 「これって成仏っていうのかな」

 

 それは違うんじゃないか?

 

 私はどんな顔をしているのだろう。

 この大人の眼をした子供の前で。

 

 ちょっと考えるように彼は私に問う。

 

 「お前、前世警察官だろ」

 

 私が前世持ちだとは先生位しか知らないだろう と思っていた。

 

 「なんで…」なんでわかったんだ?

 

 「俺は子供を庇って背中を刺されて死んだらしいんだが」

 私の手からスライムのぬいぐるみが落ちて跳ねた。

 ディーオイレ坊ちゃんはそれを眼で追いながらも続ける。

 

 「多分前世で生きて来た時間軸は同じ位じゃないかと思うが」

 

 「そういう事件があったのを覚えてないか? 」

 

 私はぬいぐるみを落としたままの空になった両手を見つめて呆然とした。

 

 知っている。

 

 ざりざりと痛む傷。

 

 あと3分早く突入していれば。

 

 警官隊が突入して犯人を確保したときはもう、あいつは背中をなますのように裂かれて血塗れでこと切れていた。

 

 子供を庇ったまま。

 

 子供は……。

 

 「全員伏せ! 」

 

 轟音。

 

 なにもかも一瞬で吹き飛ぶ。

 

 護衛騎士1 パウル坊ちゃんの護衛騎士の叫びに反応して私は一番近いディーオイレ坊ちゃんを抱き込んで伏せた。

 

 「盾! 」

 

 護衛騎士1のスキルは〈盾〉

 3メートル四方の板状の盾を出せる。

 継続時間は5分。

 使用回数は3回。

 そのスキルを活かして長男パウル坊ちゃんの護衛騎士になった。

 ベランダを遮断するには十分な大きさだったはず。

 

 背後のベランダから動物の金切り声が聞こえる。

 と、変声期前の子供の甲高い笑い声?

 ドスドスと床にナニカが突き刺さる音。

 

 足が。

 何故動かせない?

 私の身体の下でディーオイレ坊ちゃんが身じろぎする。

 後から脳髄まで駆け上がる程の激痛。

 

 私達が一番ベランダから近い場所にいたせいで何かの破片を受けたらしい。

 私だから良かった 制服の上着だけでも防刀効果は大したものだと実感できる。

 しかし私服だったズボンのふくらはぎに氷の刃が刺さったまま身動きが取れない。

 ディーオイレ坊ちゃんは眼を見開いて私を見ている。

 そして背後と横、兄弟たちがいる場所、私の背後を見た。

 

 「フロストドラゴン! 」

 興奮したディーオイレ坊ちゃんが叫んだ。

 

 それは狩りをするゲームのドラゴン名じゃね?

「牛丼、ぎ ゅ う どーん!」

聖女認定されたと言う脳筋護衛騎士4が牛丼掲げて踊っている

「牛丼の神に感謝を!」叫ぶと牛丼を捧げたままグ●コのポーズを……!

「マジあいつ聖女なのか!」

「記録では、皇国の聖女が戦闘民族でバトルジャンキーな最強戦士だった事があると…」

「野朗か?」

「最強筋肉雄っぱいの持ち主だったと、歴史に名を残している…」

「アイツ騎士で良かった」

「夢も希望もねぇ」

「別に聖女と結婚する訳じゃねーからよくね?」

「我にチートを! 牛丼召喚!」

ポン! と、丼と卵が……。

「卵かけご飯! 卵かけご飯!」騎士隊控室に絶叫が響き渡る

「卵かけご飯! 卵かけご飯の神に感謝を!」

今、牛丼と卵かけご飯を両手に捧げ持つ聖女が爆誕…したのか? あと2回くらいで本編、国王陛下の裸踊りに戻る予定です なむなむ。

  

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