◎閑話休題 梟の野望は東の辺境から⑦
読んで頂きありがとうございます
オヤジ二人で語る設定説明回になってしまいました
先生銀髪のインテリイケおじ、護衛騎士はアッシュグレーの脳筋イケおじと言う事て、勘弁して下さい。
イケおじ好きに捧げます イケおじとショタよ永遠なれ
(笑) お楽しみ頂ければ幸いです。
◎悪魔の証明③
転生者の知識を得て魔法という不可視な現象ではなく、科学・化学へ力の方向を転化しているのではないかという北の国。
敵陣営に転生者または転移者がいる可能性がある。
囚われているなら救い出せるが、自主的に協力しているなら厄介だ。
「大森林の探索で漏れた転移者か、転生者があちらに付いたか」
先生が視線を床に落とす。
横目で先生を見ていたが私も視線を床に落とした。
魔獣の討伐、森林地帯の監督と言う名目で行われる大森林探索の本来の目的は転移者が出た場合の捜索 確保。
あちこちに大森林に入り込んだ冒険者や魔獣狩り部隊が魔獣に襲われた時用と称して転移者にも分かるよう道標や避難小屋を建てたりしているが、それでも月1の探索では見つけられずに獣にやられてしまう者や森林地帯に面する他国に流れてしまうものもいる。
大森林は3国 この国、北の王国と皇国と接している。
「うまいこと小屋を見つけてくれれば保護出来るんだけどなぁ…。」
「いつ落ちてくるか予測も出来ないからな そればっかりは運だ」
考えても詮無いことなのだが魔獣の討伐先で転移者らしい遺体を発見したこともある。
古いものから新しいものまで…。
そういうものを常日頃見ているなら北の国に付いた転生者、移転者を責められない。
「…戦いにくい」
多分北の国にたどり着いたか生まれたかした者が知識チートをやらかしたんだよな、必死に生き残った先が北の国だとしたら もう運が悪かったとしかいえない。
大森林以外にも発生する転生者に至っては制御しようがない。
私だって北の国で生き延びようと思ったら情報チートでもなんでもするし。
出来たらだが。
うなだれた私を先生が横眼で見ていた。
先生、ことりと二人の座るベンチの間に小さな三角錐の魔道具を置いた。
「北の連中のことだ、自分が魔法を使えないなら誰か他の者を手足のように使い潰せばいいとか考えているんだろうなあ」
それが転移者だか転生者、そしてその実験に使われるもの。
前に酒の席で聞いたが先生も先生を育てた師匠に出逢う前は何処かの国からの亡命者だったと聞く。
魔法自体は簡単なヒール位しか使えないと言っていたが、腕のいい医者だった転移者の師匠と二人、医学知識や技術を確立していったという。
しかしそれが使えるのは東域辺境伯領だけで、外では聖女、神官による治療魔法が主流で先生とその師匠の医学は邪道と言われ広まる事はなかった。
いろいろな思いや心当たりが傍からは分からなことがあるのだろう。
そんな色々な厄介事の一因が北の王国
昔、女神の怒りを買って北の国の王族、貴族、それに連なる者達にはこの世界で生まれなら必ずあるはずの魔法回路が体内で生成されなくなった…という。
当事者たちの間ではなかったことにされた事実。
しかし周辺国には昔から周知された真実。
女神の怒りを買い魔法が使えなくなった王国。
その一因が王族による聖女殺害。
その時、各国の聖女、聖人、司祭が同時に女神の宣託を聞いたという。
『其は、女神に対して不敬を働き、其の罪 贖う事も疎かにする愚かな国。
欠けたるものを思い出せ、無くした罪に慄け。
次、まみえる刻 汝らに刻まれた罪の証に問う。
汝らから失いしモノは己らに値するものか問う。』
怖ぇええ 女神。
魔法で土壌回復させていた国土はたちまち痩せ作物が地産地消以上育たたなくなる。
農業を抜いた国の主産業は大森林からの木材伐採、加工。
少量の鉱物資源。
魔法に頼れなくなった生活。
減る税収。
しかし王族、貴族は税金で贅沢するのが当たり前。
その為の増税、それ故の貴族の横暴。
女神の怒りに触れたのは王族、貴族共だというのに割を喰う国民。
必然、国は荒れる。
そんな女神の怒りが落ちた国、その上謝罪も反省もない様な国には関わりたくないと各国は国境を閉鎖した。
そんな王族貴族に対して溜まる怒りは魔女狩りという名の立場の弱い弱者を血祭りに挙げる理不尽なガス抜きによって解消されるかのように見える…が。
「散々魔女狩りめいたことをして国民も転生者も転移者も刈り取っていたくせに、自分らも魔法を使いたいのか…」
ため息しか出ない。
国も貴族も民衆も追い詰められた国。
女神の怒りにふれて尚、女神を怒らせるようなことを。
「でも、なんでウチの坊ちゃんの魔法回路を欲しがるんだ? 」
ふと思いついた問、なのに医者が嫌なものを見つけてしまったようだなと私を見る。
そして呟く。
「教会内部の情報網で伝わった北の国情報なんだが」
女神教会は北の国から教会、司祭を引き払ったが流石、葬祭を野放しに出来ず簡易教会のような出先機関を置き葬儀埋葬などの儀式を執り行っている。
埋葬しないヒトガタの死体はたまにゾンビ化することがあるらしい。
怖ぇえ! この世界。
その埋葬専門の教会は教会本部への情報の収集、報告が義務付けられている 秘密でな。
そこからの情報、簡易教会の情報網は庶民の愚痴から王族の動向まで幅広い。
「転生者だか転移者だがが聖魔力以外で材料を集めれば人体を培養出来る技術を北の国の連中に教えたらしい」
「は? 」
顔が真顔になってしまった。
思考が空回りする 真っ白になった考えから引きずり出された言葉。
「やられた」
自分で呟いた言葉に頭を殴られたような衝撃。
確かにあった、前世の医療で無くなった人体の部位を移植、再生させる技術。
私が死んだときは実験段階で成功例はなかったと思うが。
思えば点滴や注射針が現世の技術や錬金術で可能になった。
そんな化学と魔法が合体! みたいな技術が開発され人体の培養技術…又は魔法回路の培養など行われたら…。
混ぜたら危険、魔法と科学の融合!
なんだが…。
いや、魔法使いは狩られて存在しないはずだぞ?
転生者または転移者のスキル、魔法。
「知識流出して悪用されることを防ぐための転移、転生者への補助金だの援助だったのにな」
先生が伸びをしながらぼそりと呟いた。
転移者、転生者に対する厚遇の理由がばれている…。
いや、東域辺境伯領は飼い殺しとか幽閉して知識を搾り取るとかじゃないヨ?
先生のわざとらしいリラックスポーズは見られている場合、大した話してないよアピール? のようだ…。
たとえ防音の魔道具を使っていても油断は出来ないアブナイ会話内容だ。
先生、眼が怖いわ。
私もヒトの顔言えないが、きっと鏡を見たら凶悪な顔をしているだろう。
奥さんによく注意されるからなぁ…。
それを思い出すと恥ずかしくなって両手で顔を覆った。
この東域辺境に転生したのは運が良かった。
私のように秘密にしようと思えば、そう生きていける。
周りが気付いても追及されたことはないし、緩い感じでそういうものと納得される。
それはそれで…微妙だが…。
「なんでディーオイレ坊ちゃんを攫って魔法回路を取り出して培養しようとなんて…」
うーんと考えこんだまま頭をベンチの背もたれに乗せる先生。
私も古いベンチの背もたれのささくれが気になってさすって確認していた…ら。
「ミネルバ家の子供って皆、スペック高いじゃねぇか」
背もたれのささくれを確認していた俺は先生を信じられないものを見るように見てしまった。
「頭脳も身体能力も秀でた古い貴族家の子沢山」
先生も私を見つめる。
なんか、聞きたくないのですが…。
「そういう子供の一人位、いなくなっても大したことないとか思われたんじゃねえかと…」
バキッと指の力だけで教会のベンチの背もたれが割れた。
先生、首をもたれていたのでガクンと一段階落ちた。
すみません 私が割りました。
「修理代出します」自腹で。
自分で言ってて怒りで目がくらみそうだ。
落ち着く為にも割れたベンチを治らないかと摩ってみる。
…聖女じゃねぇから治らないけどな。
「まあ、落ち着けよ」先生腰が引けてます。
首がっくんは痛かったらしい。
怯えないでください先生、まあ 私一応東域辺境の騎士なので分別はありますよ(笑)。
…あるはず…。
うっすら嗤ったら尚ビビられた 理不尽。
先生眼が泳いでます。
「貴族で優秀な子供から培養した魔法回路なら自分に埋め込むにふさわしいとでもと思ったのかも」
怒りを抑えて治らないかなと、ベンチの背もたれを撫でていた私にとんでもないことを医師は言った。
思わんでいいわ!
「魔法回路を培養して増やしてクソ貴族らに埋め込む…」
青い血を持つ優秀な子供という理由で?
べきっと、背もたれが粉々になった。
先生、余波で転げ落ちそうになった、すまん。
愛想笑いは私に効果なかったようで…。
「ベンチ、老朽化してますね(笑) 寄付しますので新しいベンチにしましょう」
寄贈 ミネルバ家で。
「お前なぁ…」
「子供に無体なことする奴らはもげてしまえばいい、と思ったら力が制御できませんでした」
「もげ……っ」
先生が残念な生き物を見る眼で私を見ている。
「子供の頃虐待でもされたか」
「いや、平和な子爵家の2男坊、元気にそこら遊び回っていた子供時代(笑)」
「(笑)ってなんだよ」
「それ以前に子供を実験台に使うとか鬼畜の所業でしょう」
握りこぶしに威圧を混ぜると拳の威力が増します。
今、実践中。
先生、どうしようもないと悟ったのか、私に注意するより前を向いて話を進めようとするが……。
自分の拳を見ていながら前世で死んだ同僚が庇った子供を思い出す。
別のクソ同僚が〈どうせ要らない子供なら社会の役に立てよう〉と、親に虐待されたその子供を捜査の為に囮に使う発言したことがあった。
お偉いさんの孫で親も警察の幹部…だったが自身がサイコパスを地でいくような奴だった。
あいつ…殴りかかってたなぁ…記憶としてではなく場面として切り取った画像のような思い出になっている。
けど、殴りかかったあいつは画像ではなく記憶のなかの生身だった。
あいつなら、きっと生まれ変わっても同じように殴るんだろうなぁ…。
あいつの熱も、怒りも、昨日の記憶のように思い出す。
「あの国、実験段階だが他の臓器、手足や内臓は大掛かりな装置になるが作れるらしい」
もうか? すげえな。
「光魔法の治癒?」
首をふる先生。
「魔法もスキルも使わない細胞の培養だと」
手足を事故や戦争で亡くした人々を助けるための研究だそうな。
北の国の所業だと聞くとてきめん嘘くさい。
「連中矜持が無駄に高いからなぁ」
「またはディーオイレ坊ちゃん自身を培養して増やすとか…」
「それはホムンクルスの製造、禁忌にふれるぞ」
「ディーオイレ坊ちゃんを培養して増殖…」
わちゃわちゃ増殖するディーオイレ坊ちゃん。
凶暴さを出さなければちょっと可愛い。
妄想のディーオイレ坊ちゃんはじっとせず彼方此方かけまわる。
そして色々なものを壊しまくった…。
「世界の終わりじゃん…」
今度は俺が頭をかかえた。
わちゃわちゃ、てへぺろ、ぼかすかどてどて……と、徒然に破壊しまくるディーオイレ坊ちゃん。
前世で同僚に付き合って視たアニメにそんなんあったな。
世界を埋め尽くすスッポンポポンなディーオイレ坊ちゃんが……。
「お前、何 考えてんだ? 」
胡乱げな眼差しだった先生の眼がまじまじ私を見ている。
すみません 言えないようなこと考えてました うーん…
俺を見つめてうーんと頭を掻く先生。
うーん……。
私の言に先生は言いにくそうに首の後ろを掻きながらも呟く。
「伝説だ、しかし…魔法回路と生きている頭があれば可能かも」
先生、顎に手をやりながら考える、無精ひげはそりましょうや。
「その実験の一環で魔法回路を培養で増やして移植することを考え付いたのかも」
医者の目線だな。
そんな実験に坊ちゃんを使わせる訳にはいかない…。
胸糞悪すぎる、北の国 潰すか。
イケおじ説明回、続きます。
騎士団団長:お前ら!領主夫妻に付いて王都に行くぞー
全:おー!
護衛4:騎士団団長! バナナんはオヤツに入りますか!
団長:…殴っていいか?
護2:コイツのマジックバック点検しろ
全:おー!!
護4:やーめーてー! 俺のおやつー!
マジックバックを逆さに振ると打ち出の小槌を振る如く甘味の山が……。
怒、団長:おやつは500イエンまでだ!
全:俺らもか!?
次回、イケおじ設定説明回、続きます。
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