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第一王子のロイヤルサバイブ 乙女ゲーは情報過多  作者: まるいのあっと


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◎閑話休題 梟の野望は東の辺境から⑥

お読みいただきありがとうございます

夏の暑さで大汗かいた様な鬱展開です

デイーオイレ坊ちゃん。

呼び方長いです

ぴょん助で良いんじゃね? と愚考します。

お楽しみ頂ければ幸いです


 ◎悪魔の証明(あくまのしょうめい)


 私は普通の子爵家の2男に生まれた。


 長男が子爵家を継ぎ、次男の私は東域辺境領の騎士になって独立。

 

 物心つく前から前世の記憶のせいで家族の昔話の折々に、老人のような物言いの子供だったと笑われた。

 悪い意味ではないとわかっているが、可愛いさかりなのに可愛がるより面白がって勉強させたのは悪かったと両親に言われて困ったことがある。

 

 子供の、頭のやわらかいうちに色々インプットしたいと思ったのは私だし。

 (親の考え方だな)

 礼儀正しい子供の方が受けが良いと思ったのも確かに私だ。

 (口煩い年寄りの言い分だな)

 先で楽をしようと、自分でも可愛げのない行動に走ったのは私の黒歴史だと自負している。(老衰で儚くなってこの世界に生まれ変わったので、多少の祖語は勘弁してほしい)

 

 友達がいない訳ではなかったし、面白い奴だと言われて子供の間で特別視されるのもそんなものかと考えていた。

 (大人に対する対外交渉役にされた気がする)

 そんなこんなで学園に通う年になり、周りが見えてくると自分がこの世界に馴染んでいないような気がした。


 見上げれば微笑み返してくれる両親。

 さんざめく同年代の子供達。

 穏やかな時間を巡り、気がつけば私が両親や兄弟を見下ろす程に育っていた。


 何も不足はない居場所なのに己の存在が一番違和感があった。

 

 昔は足繁く通っていた教会。

 

 信仰ではなく、告解ではなく、自分と同じような転生者の来し方往く末を記録から確認しようとした。


 なのに友達や両親はそんな俺を身内には言えない思春期のよしなしごとの悩みを相談に行っていると勘違いして生暖かい眼で教会通いを見ていたことを知った時、これが黒歴史か! と叫んで床に突っ伏したのはいい思い出だと思っておこう。

 

 そんな教会通いでボランティアもどきのことをしていた時に知り合った司祭に、学園を出たら司祭見習いにならないかと誘われたことがある。

 将来騎士になるよりは楽に生きられるかと思って話を聞いていた。

 神の女神の創生神話や魂の来し方行末の話は興味があったし前世と違う生き方も良いかなと…思った時もありました。

 だが、話をしていて〈人柱〉〈尊称〉の話が出た時だ。

 人々のために己を犠牲に出来ることは素晴らしい行為だと言われ。

 

 何かが引っかかった。

 

 1人の犠牲で大勢が助かる。

 それが正しく正義だと。

 

 ざりざり、ざりざり何かが削られる。


 私はそれ以降教会へは行かずに騎士になった。


 そんなつまらない昔話をディーオイレ坊ちゃんの話で思い出す。

 

 その司祭なら ディーオイレ坊ちゃんに言えるのだろうか。

 世界の為に、人々の為に神の生贄になることは素晴らしい善行だと。

 

 何度も殺されて生きることになっても。


 第二の人格と、サラッと言い退けたぴょん助。

 デイーオイレ坊ちゃんの本来の人格は今どうなって居るんだ?

 

 「ケガはする、病気にもなる だがその一点の為に生きのこる」

 

 私が昔の記憶に浸っている間にも領主様の話は続いていた。


 領主様は撫でるのを止めて子供の布団を寒くないようにと首までかけなおしてやる。

 領主館は全体的に魔道具で冷房が効いている。

 

 気持ちよさそうに(よだれ)垂らして寝ている。

 ちょっと笑って涎をポケットから出したハンカチで拭いてやる。

 

 「ただその時の為に生きてその為に死ぬんだ」

 

 領主様は涎を拭いてやったハンカチを握りしめる。

 

 「私達夫婦の可愛い子供だと言うのに、神に捧げる為に生んで育てた訳ではない」

 

 ふと、領主様はホーク坊ちゃんを見つけて青を通り越して白くなった顔色を撫でて抱き上げた。

 頬をなで、頭を撫でる。

 

 「済まないね、こんな事情聴きたくなかっただろう、この事件の当事者である君たちに隠しておいてはいけないと思ったんだ」

 

 そして部屋を見回す。

 「この話は他言無用だ ここにいる人間には必要な話だと思ったので伝えた」

 縦に抱いている息子の背中をポンポンと軽く叩き、ソファの私の隣に座らせる。

 

 「お前は自分が闘技場に呼ばれて一緒に行けなかった、襲われても助けられなかったと、後悔しているようだが」

 

 坊ちゃん、ハッとして俺を睨んで来る。

 

 坊ちゃん睨まないでください! 私が告げ口した訳ではありませんよ、そんな時間なかったでしょう!

 皆、坊ちゃん達を気づかってるんですよぉ!

 だから見たら分かりますよ、坊ちゃんが凹んでいる原因なんて。

 だから、圧が…ホーク坊ちゃんの圧がぁ!

 

 「お前が試合であの闘技場に呼ばれた件は誘拐犯の仕込みだったんだ」

 「え ? 」

 頭を撫でられているホーク坊ちゃんの顔が上がった。

 「誘拐犯は長兄のパウルを誘拐、洗脳してミネルバ家を内側から食い潰すのと、ディーオイレの(あたま)と魔法回路を狙ったんだ、だからお前と三男がいると余計な手間がかかるからと、内部の密通者に依頼して引き離すよう行動したんだろうな」

 

 ディーオイレ坊ちゃんの頭と魔法回路…?

 

 「この家の中に内通者が? 」

 坊ちゃん、父上の上着をギュッと掴んだ。

 「大丈夫だ、内通者は把握している 今回は泳がせている間にやられてしまったが」

 

 領主様、その肉食獣のようにギリギリする顔は御子息の前では…と、坊ちゃんも肉食獣の顔! 親子!!

 

 「…次はない」

 

 恐い、威圧が怖い!

 せ…先生、気配を消してモブみたいな顔で親子を見てないでください。

 やらかす気満々ですよ! あの親子。

 てか、側近も何故モブになって気配を消す? なだめようよ側近!

 ディーオイレ坊ちゃんはすやすや寝ているので役に立たない!

 いや、この場合寝ててもらっていたほうがいいのか…。

 

 「生きたまま頭と魔法回路を取り出して何の実験に使う気でいたのやら」

 生きたまま…という台詞を聞いて吐気がした。

 〈何度殺されても生きている〉

 知られている? 坊ちゃんのことを?


 敵は何のためにそんな猟奇的な考えになった。

 

 「あいつらが魔法が使えないのは誰かの呪いと思っているようだが、魔法が使えないのは女神を怒らせて破門印を受けたからだと何処の国の王族も知っているし記録もあるのに、何故認めないのだろうか」

 

 あいつら?

 

  黒幕は古参の分家の一つとその分家の隣の領地の貴族家だった筈。

 貴族間の領地戦を国王に申請したが、受理されず裏で不正や犯罪の有無を徹底的に洗い出し叩いた。

 王家との癒着もあばきだした。

 埃を徹底的に分析した結果、お家取りつぶし、当主、関係者を斬首にまで持ち込んだ。

 こちらの勝利、手を出したら許さないミネルバ家の圧勝。

 

 の、はずだった。


 本当の黒幕までの追跡はかなわなかった。

 

 黒幕の目的。

 は、長兄ではなく4男だった?

 アジト跡から出て来た…処分しそこねた輸送用の生きて部位を取り出して、冷凍するためのケース…。

 

 私の心の内のザリザリしたしこりが疼く。

 

 子供が利用され、襲われた事件。

 かつての同僚を思い出させる。

 

 私服の時は牛丼、よく喰いに行ったよな。

 ザリザリと、ザリザリと削られて疼く心。

 

 あんぱんに牛乳が張り込みの鉄板だと笑って被りついていた。

 後で知ったが子供の頃、アンパン●が好きで絵本を未だに持っているのよ、とアイツの年老いた母親は泣き顔で呟いた。

 〈だってアン●ンマンって旨そうじゃねえか〉と写真の中のあいつは言いそうだった…。

 

 思い出しても夢と同じなのに。

 何もできない、どうしようもない。

 異世界の出来事でお互い既に死んだ人間、の話なのにな。

 今の私とは全く関係のない焦燥と後悔でザリザリ、ザリザリと心が削られる。

 

 前世持ちの記憶は死に際の執着だと誰かが言っていた。

 

 死に際の執着がどうだろうと私に今、出来ることは護衛騎士としての仕事を、矜持を全うすること。


 東域辺境領、辺境伯家次男、ホーク ゲイカン ミネルバを守ること。

 

 私は前世と今世の端境で己を憐む事しかしていないじゃないか。


 その後の事はよく憶えていない。

 領主様から他言無用の念押しと我々に事件解決の礼と労いを貰う。

 事件の後処理は領主様の政治力と暗部と軍部に委ねられて解決……の、


 筈だった。

 

 

 青が抜けた様な空に教会の尖塔が突き刺さる。

 …世界遺産で見たなこんな建築物。

 尖塔に刺さる入道雲が盛りすぎた綿菓子の様。


 綿菓子、暑苦しい。

 

 異世界でも夏の日差しは暑い。


 「キンキンに冷えたビールが飲みてぇ。」

 

 夏の暑さを逃れるためか、夏場は教会の涼しい礼拝堂は人気があって混んでいる。

 

 「何だ? 懺悔か相談か? 人寂しくなったか? 」

 「何? 人寂しいって」

 礼拝堂の入口に近いベンチの端に所在なげに座っていたらあの馴染みの教会付属医院の医師に声をかけられる。

 現在、デイーオイレ坊ちゃんの担当医師。


 「お前、たまに誰か探している様な顔をしているぞ? 」

 誰を?

 「別れた彼女に未練たらたらで追いかけて行きたそうな顔」

 「ストーカーか! 」

 私は真面目に生きてきたつもりだったのに側からはそんなふうに見られていたのか?

 「嫁とラブラブなんだけどね、 因みに嫁が初恋で嫁以外好きな女性居なかったな…」

 ショックが過ぎてベンチで体育坐りで凹んでしまった。

 私はストーカー体質なのか?

 

 笑って私の横に座る先生。

 

 「久しぶりだな、どうだディーオイレ坊ちゃんは」


 「先生の見たままです」

 久しぶりといっても昨日もホーク坊ちゃんの護衛としてディーオイレ坊ちゃんの部屋に見舞いに行った時に会ったと思うが。

 

 その時はおかゆまで食べられるようになったディーオイレ坊ちゃんがあの呪文を繰り出していた。

 「白湯豚骨麺バリ堅でチャーシュー煮卵トッピング紅ショウガと高菜を添えて…」

 この世界とんこつラーメンあるのか! 長いな召喚呪文!

 「ギョーザもよろぴょん」

 ぴょんでた、ディーオイレ坊ちゃんの第二人格と名乗る君は命名ぴょん助だ!

 

 そして本来のディーオイレ坊ちゃん7歳の人格は何処へ?

 誰も怖くてツッコめないでいる。

 

 「ぴょん坊ちゃん、病み上がりなら栄養とらないと、野菜マシマシ追加で」

 

 私はギッと音が出る程連れの護衛騎士を睨んだ。

 キャッとか乙女な反応するな! 後で殴る!

 ナニ追加注文シテンダヨ新人!

 あとぴょん坊ちゃんとか勝手に命名するな! 今の状態で人格が固定しちまったらどうすんだよ!

 私も心の中でぴょん助とか呼んでいたが声に出してないのでノーカン!

 

 この日は新しく警備隊からスカウトしてディーオイレ坊ちゃんの護衛騎士に推薦しようと考えていた騎士を連れていた。

 私が殴られるのを見て〈昇●拳!〉と呟いた奴だ。

 ヒトコトオオインダヨ、オマエハ。

 

 ホーク坊ちゃんが梟の雛のようにキョんと首を傾げている。

 くっ…! 可愛いなぁ坊ちゃん、八人兄弟の中でウチの坊ちゃんが一番可愛い。

 

 この部屋にいるメンバー、医者 助手 私 護衛騎士見習い ホーク坊ちゃんの5人でディーオイレ坊ちゃんの召喚呪文が分からないのは助手とホーク坊ちゃんだけ……。

 もしかして他は全員転生者…。

 先生から順番に見ていくと先生。

 「俺は転生も転移もしてねぇ純粋東域辺境産だぞ! 」

 その否定の仕方が怪しい…。

 「野良転移者? 」

 「野良ってなんだよ! 師匠が転移者で詳しいだけだ」

 そこにも異世界出身者が!

 「お前も転生者なのか? 」

 うおっと! ホーク坊ちゃんが胡乱げに首をかしげて私を見た。

 

 私に転生者嫌疑が!

 

 「こいつは転生者だそうです」

 隣の新人護衛騎士を生贄に添えてぐいっと前に出す。

 身上書やらの書類に転生マークがあったぞ! 申告済みの登録転生者だろ。

 

 まじまじと新人を見つめるディーオイレ坊ちゃん。

 「チーズ月●にポ●トLサイズに増量、ドリンクはコー●のLサイズで氷抜き、スマイル¥0?」

 またもや召喚呪文を呟き始める、ぼっちゃん、今度はファーストフードですか!

 

 「カツカレートッピング全部のせ」

 新人、シンプルに来たな? 流石にそれは俺にはわからない…。

 先生と私が脱落、キョんとしてしまった。

 

 私の知らないファストフード?

 しかし、ディーオイレ坊ちゃんと新人は見つめあい、同時にサムズアップした。

 「マ●ド、ココ●●屋! 」

 

 先生の助手は完全に引いていた、物理でも。

 彼は全くノーマルなのだろう…先生、助手君に話聞かせて大丈夫か? 。

 

 そして新人…ディーオイレ坊ちゃんの護衛騎士確定。

 そうか、それがあったか、ココ●●屋 ちなみに私的にはマ●ドではなくマ●クだ。

 

 しかしなんでかな? 某おしゃれな店がイッコも出てこないのは。

 

 「転生者、多いな」

 ため息をつく先生。

 先生の師匠は転移者とか?


 「東域辺境領ですから」


 東域辺境領と北域辺境領の間に人跡未踏の大森林地帯があり、その更に奥に時空の歪んだ場所があるらしい。


 誰も見た事ないが。


 転生者となる魂と生身のまま歪みから落ちてくる人がいるという説。


 伝説と言うか俗説と言うか都市伝説の類か。

 定期的に領兵が演習や魔虫退治に見回る事があるが奥まで行く事は出来ない。


 何故か…。


 私の魂も其処から流れて来たのだろうか…。


 教会涼しい、ミネルバ家の領主館も涼しいが今日は俺は休暇なのでこちらに遊びに来た。

 ある目的をもって…。

 

 あれからディーオイレ坊ちゃんは暫くは重湯生活で薬を抜くだけの生活を強いられた。


 (すえ)の召喚呪文なのか。

 

 坊ちゃん……。

 

 実際召喚される事はないので言いたい放題なんだが聞いているだけでその口になる。

 じゅるり。

 外に出たいと言われても痩せて色変わりしたディーオイレ坊ちゃんを街に出したら梟隊ファンクラブの奥様方から総攻撃をされそうだから止めてくれと説得した、と言うかベッドから起き上がれないでしょう坊ちゃん。


 とりあえず。

 「新しい護衛騎士も付けたのでカポ●ラ踊りで基礎体力を戻す為、鍛えています」

 新人護衛騎士共々。


 「なんじゃそりゃあ」あきれてるな、先生。


 新人、デイーオイレ坊ちゃんの中の人と気が合うらしい、上手いことやっている。

 彼は東域辺境領主公認の転生者だからとかではなく、坊ちゃんを守るに面白いスキルを持っていた。

 

 チートではないが役立つスキルなら囲い込む、転生者あるあるだ、あきらめろ。

 

 そして皆で毎朝カポ●ラダンスをしている。

 

 そうしないとディーオイレ坊ちゃんが暴れる…。

 本当、辺境伯家の子供って……!


 暴れると踊る…を繰り返していたら城内でラジオ体操のように広がった。

 騎士どころか侍女、侍従にハウスメイドまで…。

 

 カポ●ラ、すげえ。

 そして凶悪。

  ハウスメイドまで廻し蹴りの威力が増した。


 おい…。

 前世では仕事の合間に総合格闘技のジムでこれを覚えた。

 元警官なので仕事のスキル磨きの為と色々覚えたが、コレが一番性に合っていた様で一番体が覚えていた。

 何故かな?

 転生した身体なので(ゴースト)が、かもしれない。

 ジンガで揺れながらダンスのように蹴りを繰り出す、大技を決める、大回転技、ステゴロは男のロマンだよな(笑)。

 ディーオイレ坊ちゃんはこれを覚えて蹴り技が凶悪化した。

 師匠と、何故か新人からも呼ばれてますが…。


 私の所為では決してない…と、愚考します。


 「楽しいく四男坊の体力作りをしてくれると助かるが…」

 渋い顔の先生。


 「デイーオイレ君の元の人格は今何処にあるんだろう」


 遠い眼で正面奥の女神像を見つめる先生。

 豊穣の女神、天秤の女神、梟の女神ミネルバ。


 デイーオイレ坊ちゃんの人格も気になりますが。


 「敵の陣営に知恵を貸す転生者、居ますよね」


護4:召喚呪文のネタ切れ!

護2:欲張り●バーガー●ポテセットアイスコーヒ●メガじゃいけないのか?

護4:もう一声!

護2: 芳醇 巨● フローズン テ●ー●肉マシマシ…

護4:すんません、俺 腹に溜まるガッツリ系しかわかりません。

護2:彼女居なかったのか、お前……。

護4:いえ? 俺、前世女子っすよ?

全:はあぁ?!

新人護衛騎士、衝撃の前世とは?

次回も転生サービス サービスぅ?

いや、俺の前世 話と関係ないっすよ?




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