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第一王子のロイヤルサバイブ 乙女ゲーは情報過多  作者: まるいのあっと


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◎閑話休題 梟の野望は東の辺境から④

読んで頂きありがとうございます

乙女ゲームの分岐点、と言いながらヤバい人達の抗争の様相を呈してます、ナンデカナ。

乙女ゲーム、乙女ゲーム……と、念じながら進めております。

おっしゃー! 行くぞ乙女ゲームだ! 野朗共!!

……お楽しみ頂ければ幸いです。


 ◎深淵(しんえん)

 

 捜索の末、長兄の護衛騎士、侍女は釣り予定地より川上の崖下で折り重なるように倒れていたのを発見された。


 生きてる。

 

 少し岩がひさしのようになっている崖下だったので発見が遅くなった。

 虫よけの香が炊かれていたのと肩を深く傷つけられていた護衛騎士に止血と最低限の手当がしてあった。 ディーオイレ坊ちゃんが手当して兄だけ連れて帰還したのではないかと推測。

 7歳の子供の出来る事としては上等だと褒めてあげたい…がディーオイレ坊ちゃんはあれから目を覚まさない。

 

 侍女は薬が切れるのが早かったようですぐ回復、ケガはなかったが、護衛騎士のケガと使われた薬が侍女のモノとは違い悪質な隷属、洗脳薬物で思いのほか危ない状態だった。

 坊ちゃんの早い止血と手当が功をなし、持ち直した。


 流石、東域辺境領の領主の子供、小さい時から非常時の場合にどうしたらいいか訓練されているだけある。


 そして

 長兄と4男を攫ったと思われる犯人の死体は12体。

 少し離れた場所の野営地がアジトだったらしく慌てて処分した跡から協力者が他に数名いた模様。

 

 川沿いに刀傷で死亡したものが3名。

 その先に転々と打撃による死亡が9名。


 多分3名は護衛騎士の仕事だろうが、残りはディーオイレ坊ちゃんだろうと推測される。

 か、推測するしかない現場検証者では真実は計りかねた。

 

 ホーク坊ちゃんの護衛騎士の部下のえげつない位徹底的に尋問された兵士は古い時代に別れた分家の兵士だった。

 何もかも吐かせた後だったが、牢内で毒物による死亡が確認される。

 

 始末されたか、対応が遅い 舐められているのか…。

 

 ホーク坊ちゃんに回って来た報告書はこのような内容だった。


 領地管理の為の教育の一環なのか、子供にも報告書を回してくる辺境伯家とは…。

 英才教育と言えば聞こえはいいが。

 て脳筋?


 デイーオイレ坊ちゃんの関わった部分は坊ちゃんが目覚めないと憶測でしかないが…。


 「7歳の子供が素手で9人沈めたか…」


 ホーク坊ちゃんは10歳で既に剣鬼と言われるランクの剣の腕だと世間的に認められている。

 ディーオイレ坊ちゃんは知られてはいない。

 これだけの強さがあれば「東の辺境の武」としては将来が楽しみといえるだろう。

 

 眼が覚めれば…。

 

 襲撃から三日後、ディーオイレ坊ちゃんが眼を覚ましたと、連絡してきた侍女の進めで、ホーク坊ちゃんと見舞いに行くことになった。

 うさんくせぇ。

 内務の部下にこの侍女、素性を洗い出してそれとなく見張るように指揮する。


 とりあえずバスケットに坊ちゃんの好きな菓子を詰め込んで、と。

 頑張ったな、よくやったなと褒めようと考えていた

 が、デイーオイレ坊ちゃんの部屋。

 

 目覚めたとは言い難いディーオイレの坊ちゃん()()()()()()()いた。


 恐怖や経験で髪が一晩で白くなるという話はよくある。

 

 確かに眼は開いていたが、何も見ていない。

 黒茶の眼の片方が赤金に。

 髪は黒をベースにアッシュグレイに幾筋か銀がまじっていたものが。


 ……()()()()していた。

 

 全体的にアッシュグレイに黒が抜け、所々が銀、まるでアクセントのように黒が入っていた。


 兄弟揃って黒髪だった筈なのに。

 

 これは…日に焼けて色が落ちたとか日光の強さで見える色が変わるというランクの色変わりではない。

 

 「…よん」

 反応はない。


 珍しく子供のように動揺するホーク坊ちゃん。

 

 「ディーオイレ」

 ホーク坊ちゃんが強めに呼びかける。

 やはり反応はない。

 

 怒ったようにズカズカと乱暴に近寄って顔の上で手を覆うように広げる。


 目線すら動かない。


 ホーク坊ちゃんが乱暴に近寄ったせいで坊ちゃんの肩にぶつかった点滴の棒が揺れる。

 

 点滴、あるんだ。

 

 医療は流石に専門的なものを取り入れられる程の知識が流入しているわけではなさそうだが、基本の医療はこちらの技術と融合して進化している。

 

 しかし、これは眼を覚ましたとは言えないだろう。

 

 付いて来ている筈の暗部の影に侍女の捕獲を指示。

 

 ホーク坊ちゃんは顔の上で開いていた掌でディーオイレ坊ちゃんの眼を閉じている。

 瞬きもしないなら眼が乾いてしまう。


 そのまま立ち尽くす坊ちゃん。

 じっと弟の息を確認している。

 

 「俺、魚釣りに付いていけばよかった」

 俯いて、じっと弟の息を確認していた坊ちゃんが絞り出すような低い声で語る。

 子供の後悔。

 「ちょっと…強い奴と戦えるのは興味があったんだ」

 息を確認した手をそっと握りこむ。

 

 私は黙って医療用具の置かれたワゴンの横のサイドテーブルの上に見舞いのバスケットを置いた。

 

 「もっとちゃんと断って釣りに一緒に行けばよかった」

 声が震えている。

 

 沈黙。

 

 坊ちゃんにかける言葉を私は持っていない。

 

 ざりざりとやすりをかけられるような焦燥には覚えがある。

 

 〈あと三分、突入が速ければ……〉

 前世での、死体置き場に寝かされた同僚を見つめながら心が鑢で削られていく感覚が甦る。

 

 取り戻せない後悔。

 

 でもディーオイレ坊ちゃんは生きている。

 

 「誰だ? 子供をこの部屋に通したのは」

 怒ったような医師の声で私の中の焦燥を飲み込む。

 最初に傷口を治療した教会付属医院の医師は扉を少し開けた所で私達を確認し、嫌そうな声をあげた。


 其方が呼びに来た訳では無いらしい。

 やはり。


 「侍女がデイーオイレ坊ちゃんの眼が覚めたので、と教えてくれたので見舞いに来ました」

 私が正直に答えると横を向いてチッと舌打ちをした。

 「子供に見せられる状態じゃねえのに…その侍女締め上げろ」

 

 了解っす、締め上げて何処の所属かはっきりさせます 絶対 見せしめにしてでも炙り出しだ。

 

 助手らしい白衣の男が点滴の替えをワゴンに乗せて医師の跡をついてきている。

 ちらりと、俯くホーク坊ちゃんを見る。

 「坊主、状況説明がいるか? 」

 

 「よろしく お願い…します」

 と、医師の治療に必要な場所を開けて後ろに下がる。

 私はホーク坊ちゃんの斜め後ろの定番の位置へ。

 入れ替わり、医師がよっこいせとベッドの中央のディーオイレ坊ちゃんを覗き込む。

 

 子供の上れる高さなのでベッドが低い 広いベッドは子供達が集まって眠るには都合がいいが診察するには患者まで遠い、という条件で立って診察するのがキツイのかベッドの上に半身のりあがる。

 

 診察しやすいようにベッドを変えてもらったほうがいいのだろうか…。

 

 半分ベッドに乗ったまま、医師は話始める。

 「報告書にもあったと思うが、釣り場について最初にディーオイレの坊やが潜入していた兵士に殴られたようだ」

 確かに、報告書には油断していて殴られたディーオイレ坊ちゃんを護衛騎士が庇って刺された、とあった。

 「侍女が長兄を庇って逃げる際に長兄を眠らせるための麻酔薬を間違えてか、打たれて昏倒」

 惣領の護衛騎士が侍女を抱えて戦闘状態、逃走。

 「頭を打って背中を切られて尚、坊主は長兄を担いで逃げたそうだ」

 貴族家の三男以下はもしもの時は長男を守るよう、教育される。

 俺も子爵家三男で親にそう教育された。

 しかし子供が自分より大きい子供担いで逃げるとか…。

 ふと、思い当たる。

 「身体強化ですか」

 「頭殴られて背中に刀傷負いながら戦って逃げ回れる身体強化って凄くないか? 」

 考え込む医師、変なスイッチ入ったか?

 先生?

 「魔力量測ってみたいな」

 ちょっと、先生?


 ホーク坊ちゃんの咳払いで脱線し掛けた話を戻す。

 腕はいいと思うが…マッドサイエンティストか?


 「侍女を担いで3人沈めたあたりで騎士が傷からの出血と薬が効いたせいでか侍女と共に昏倒(リタイア)

 「この護衛騎士がどさくさ紛れに打たれたのが隷属の洗脳薬だったらしい」

 大分ヤバい薬じゃね? 誰が誰に使うんだか。

 「長兄を守って逃げるより、敵の殲滅を選んだディーオイレ君がここで残り9人沈める」

 「その時に薬を打たれてハイになって傷をものともせず長兄かついで帰還」

 それがあの、ただいまになったのか。

 

 「戦闘中に打たれただろう薬のアンプルは回収した」

 医師はなお続けた。

 ホーク坊ちゃんの顔色が紙のようだ。

 助手が点滴を交換している。

 

 「今はゆっくり薬を抜いている状態」

 で、今に至る。

 「魔獣用強化薬、催眠剤、隷属させる為の洗脳薬物…多分戦闘中にいろいろ打たれて今、こういう状態になったらしい」

 ため息がでる。


 「子供になにやってんだ」

 ホーク坊ちゃん、貴方も子供ですよ。

 「よくあれだけ薬打たれて動けたものだよ」

 先生も疲れているのか、眼の間を揉んでいる。


 俯くホーク坊ちゃん。

 「タガがないと際限なく頑張るバカだから…」

 酷いいいようですよ、坊ちゃん。

 いたたまれなくなったのか、先生は振り返り、ベッドで寝ている筈のディーオイレ坊ちゃんの様子を観ようとしたが、脇でふんふんと頷いているディーオイレ坊ちゃんと目が合った。

 

 はい?


 点滴変えてた助手が腰抜かしていた。


 先生とデイーオイレ坊ちゃん。

 静止からの見つめあい。

 

 しかし、おっさんとの間に愛は生まれなかった。

 生まれてたまるか!

 

 「うわぁぁあああ?! 」

 ベッドの上からバク転で降りたよ 先生?

 絶対起きると思って無かったよな?


 「あああああぁぁぁあ!? 」

 うわっ、ホーク坊ちゃんの雄叫び レア!

 「ええぇええぇぇ??? 」

 う、後ろに私がいます、非常事態でないならのけ反らないでください!

 危ないー!

 

 「オッス、おらディーオイレ ミネルバ」

 きょんと手を挙げおかしなイントネーションで自己紹介を始めるディーオイレ坊ちゃん。

 その言い回し何処かで聞いたな?

 「というか、ディーオイレ君の中のヒト? (笑)」


 中のヒト?

 (笑)って!

 

 「ぇええぇあおおぉお??? 」

 私も叫ぶしかない、さっきまで眼玉も動かせなかった子供がにまにま笑いながら手をふっている?

 中のヒトってどういう意味!

 なんで手を振りながらぐらんぐらんしてるんだ!

 いきなり起きたから!


 「この身体はディーオイレ君のだけど、俺はディーオイレ君の第二の人格?みたいなもので…。」

 で……と、嗤いながらぱふんと中のヒトはベッドにつっぷした。


 「俺もよくわからないピョーン」

 ひっくり返ってもわけわからん発言を!

 気を取り直した先生、駄々っ子の様にウゴウゴするデイーオイレ坊ちゃんを抱え込んだ。


 ぱたり、と大人しくなる坊ちゃん。

 

 「うわぁあああ! よんーーー!! 」

 めっちゃ、狼狽するホーク坊ちゃん、SSレアです。

 

 駆け寄ろうとするホーク坊ちゃん。

 私も慌ててホーク坊ちゃんを羽交い絞めにしてます。

 駄目です! ピョーンなんてアブナイヒトです!

 

 カオスは先生に任せて坊ちゃんは安全圏へ!

 羽交締めで後退しようとする私を怒りのホーク坊ちゃん、殴りかかってきた!


 がふぅ!

 坊ちゃん……!

ショタ&おっさん。

ミネルバ家の子供達は街歩き用の平民風服と軍服を持ってます。

兄弟で隊列を組んで街歩きする彼らは

立てばペンギン

座ればアザラシ

歩く姿はアヒル隊……

と、街の人々の間ではおひねりが飛ぶ程の人気です。

…いや、この子ら高位貴族の坊ちゃん方…

そこの坊ちゃん! おひねりで買い食いしてはいけません!(笑)

次回、デイーオイレ坊ちゃんの中の人の秘密が…あるのか?! 次回も中の人をサービスサービスぅ?

…サービスになるのか?

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