◎不夜城 開校! ノイエクラッセ王城内小学校①
読んで頂きありがとうございます。
説明回、人数多い分長いです。
自分がモブではなくバグだったと気づいたミネルバ卿、怖いモノなして無双し始めるまであと少し(笑)
暫く説明回が続きますが楽しくお読み頂けるなら幸いです。
「そこの席をどけ! おじいさまの横の席は能無しが座る席じゃない」
礼儀知らずの第三王子が乱暴に末席から立ち上がり、上座横の第一王子を指さして叫ぶ。
「おじいさまの隣は王太子たる俺の席だ! 」
いやいやいや?
母親を見て育ったせいか仕草や喋り方がそっくりだ
(笑)
君は人を指差してはいけないとマナー教師に教わらなかったのか?
そして問いただしたい。
誰が王太子だと?
「未だ王太子は決まっていない」
ハシビロコンドロール…もとい、第一王子アイン殿下が呟く。
アッシュグレイに銀が混じる髪がさらりとゆれる。
と、赤に金の散る瞳が第三王子に向けられる。
オットアイの魔眼……。
痛い…10歳児童の無駄な色気が痛い。
はーい、ディーオイレ ミネルバっす! 東部辺境伯家四男、一応騎士爵を賜っております。
アイン殿下の護衛騎士です。
先程トビアス君にバグ扱いされて凹んでいる異物でーす。
今日は何故か騎士服ではなく辺境伯家の者として黒の準喪服で左肩に東部辺境伯家の紋の入った短いマントを羽織った姿でツヴァイ殿下、アイン殿下と並んで会議室の席に座っています。
…なんでやねん。
後ろの保護者席の一兄、二兄共にミネルバ家の家紋入りの短いマントを片方の肩に羽織っている。
俺とな、お揃いになっている。
そして第三王子のあまりの痛い発言を聞いて両手で顔を覆い、隠れてしまいたくなりました。
あいたたたた…。
鼻息荒くアイン殿下に指突き付けている第三王子。
刺繍のきらびやかな…準喪服にしては派手な服を着ています。
サイズ合ってない? ちょっとぴちぴち。
てか、お付きの白宰相その礼儀知らずの魔獣の子供止めろや!
指さされているアイン殿下も黒の織の美しい生地の準喪服を着用。
細部のさり気ない刺繍も仕立てもピッタリな衣装。
シュピーゲルング キント商会の双子ちゃんの力作です。
フフフ…アイン殿下の完全勝利です。
一晩で作ったとは思えないクオリティだぜ。
第三はまだギャンギャン言って来てるがアイン殿下、ものうげに第三王子を一瞥したが興味がないのか視線を手元の資料に戻す。
「〈くたばりぞこないのじじい〉って言っちゃったんだって? 先王陛下に」
其処に、にーっこり嗤って口を出してきたのは第二王子。
「それでも自分、隣に座りたいなんて大胆だね」
こんこんと、机を拳でノックするツヴァイ殿下。
そういえば先王陛下も杖でコンコンしていた…。
コンコン。
「王室典範にあるでしょ? 知ってる? 側妃の息子の君は王位継承権が正妃の子供より低いって」
コンコン。
先王陛下のモノマネ?
アイン殿下はもう第三に気を使う気はないらしい、ツヴァイ殿下が追い打ちをかけるのを止めない。
ツヴァイ殿下、黄色味の強い金に両耳の脇に一筋ずつ赤い髪が混じる、銀に金の流れる両目は魔眼、魔道具の布で隠して魔眼の威力調整をしているという。
ノイエクラッセの王家の色は勿論、アイン殿下と違った種類の魔眼持ち。
煽ってる? 煽りまくってるぞ自分より7つ年上を。
コンコン。
7歳児童、末恐ろしい…。
「王子妃の母上の生んだ僕らより継承権が低いのに、誰のせいで建国の盟約に乗っ取って辺境伯御三家が王位継承権に物言いを立てたと思ってるんだい? 君自身と君の母親一族のせいで君の継承権は前より遥か下に降りてるよ? 大丈夫? 」
第三王子がぽかんとしている 意味わかってないな?
とどめ。
「ちゃんと勉強しないと王様になれないよ? 」
にやりと嗤うツヴァイ殿下、中にホストクラブの会計士が入ってます きっと。
七歳下の子供になめられてあしらわれている第三王子って。
顔赤くしてプルプルしてます。
ソッチの保護者、ちゃんと大人しく座っているよう指導しようよ。
明るい金髪に青い瞳、ここにいる子供の中で一番白い肌をしている。
母親似と言えば聞こえはいいが、ノイエクラッセの色を何も受け継いでいないのに王太子を名乗る子供。
第三王子、ドライド殿下。
護衛騎士が三人と白の宰相と側近が付く、一番保護者が多いので末席に席を置かれたということを理解してはいない。
今日はあのオバさん居ないのかな、珍しい。
それでも人数多すぎ。
子供一人に保護者、護衛で二人、本人入れての三人が基本だが、そんなに護衛とか人数居るのにおバカ発言を抑えられないのか?
そこに第四王子が追い打ちをかける。
「現在の継承権は第一位がアイン殿下、第二はツヴァイ殿下、第四は東の辺境伯家からディーオイレ ミネルバ卿、第五が南の辺境伯家からアマリア エア シュヴェールトヴァール辺境伯令嬢、第六は北からはベルント アンケ ノルデン辺境伯令息、因みに僕は第三で君はこのなかで一番下の七番目だね」
すげー、よくそんな長い名前覚えていたな児童!
黒い髪に二筋、赤と銀の色が混じる、緑の虹彩に金が散る第二側妃の第一子。
第四王子のフィアデル殿下、6歳。
あの国王陛下の第二側妃の第四王子。
こんだけ子供作ってまだ側妃必要か? と、国王陛下に問いだしたくなる。
が、単に女好きの碌でなしだった国王陛下。
陛下の出席する王家主催の催しモノに関して美人が居なくなるのは有名な話。
誰も碌でなしのお手つきになりたく無いし、勢い側妃の野望があっても命有っての物種、ということだ。
後ろの護衛と侍女の間に第二側妃の母親、長い軽くウエーブがかかった黒髪が神秘的な儚げ妖精系の美人が車椅子に座っていらっしゃる。
子供の頃から有名な美少女だったせいで不器量に擬装しても逃げられなかったらしい。
世間に疎い学者貴族だったのも災いした。
その上、第四王子を生むとき産褥で下半身不随になって車いす移動のための侍女が必要な身体になって放置される。
酷い扱いだ。
そんな移動にも人手がいる曰くの側妃でも人員は王子を含めて4人ほど。
位置的に何かあったら二兄で警護のフォロー出来るな。
ノイエクラッセ王家の〈金と銀と赤〉を持つ子供達。
古の盟約、辺境伯家四家から〈金と銀と赤〉を持つものを王に据えよと、女神は言ったらしい。
そういえばゼクス ゲルト ノイエクラッセ国王陛下は青みの強いアッシュグレイの髪に銀が混じる。
緑の瞳には何もない。
ノイエクラッセの色〈金と銀と赤〉の銀しか受け継いでいない国王。
そのせいか知らないが元老院から御三家と呼ばれる辺境伯家に盟約の打診が来た。
多分にアイン殿下の即位辞退の話も影響していると、いうかそのせいで盟約の話が出たんだろう。
黒幕は先王陛下。
あんのクラーケン親父がぁ!
(俺のイメージだけど)
御三家の誰かに王位を渡すなら気を利かせたアイン殿下が名乗りを上げるとでも思ってるのか?
んな訳ない、誰も王位を継がすに第三が継承権を得て国が滅ぶに一万エルドかけてやる。
そして辺境伯家は独立してやる、今まで舐めてかかって来たやつら、吠え面かきやがれ。
事情を知る高位貴族や先王の時代の貴族達には辺境伯家に対するそれなりの敬意があったが、何故か何も知らないフリなのか伯爵以下の歴史のない新興貴族共には辺境伯家は田舎貴族(笑)と呼ばれている。
いや、他の貴族も爵位順とか貴族子息令嬢が通う学園で習うだろ?
貴族名鑑も見ろよ、王族、公爵の次あたりに載っているぞ、辺境伯家。
不毛な問答は第三が一方的に殿下達を罵倒するが相手にされず、第一王子であるアイン殿下にハシビロコンドロールが降臨し、無言で威圧して黙るを繰り返している。
第三の関係者、いい加減止めろや!
会議用の細長いテーブルの真ん中、上座と入口近くの端と下座で睨みあい勝負は年下のアイン殿下以下頭脳派? の圧勝。
第三、自分で言って自爆してる。
勉強大事だよ第三王子。
真っ赤になってプルプル、口パクパクしてる第三王子と冷静なアイン殿下じゃ比べようもないか。
ばかめ、人を指で指すような輩とは格が違うのだよ格が!
うはははは…と妄想中、俺までアイン殿下に睨まれる。
「子供相手に大人げない喧嘩に乗ろうとするなよ? 」
してませんよーって買ったのはツヴァイ殿下他殿下方、皆第三より年下…(笑)
俺に止めて欲しかったのかな?
睨まれて、てへへと頭を掻く。
無理っすよ(笑)
頭を掻きながら思い返す、辺境伯家の子供は必ず習う女神と神。
女神との盟約
西の天秤の女神、正義と公平のユースティティア別名〈ジャスティス〉。
東の夜の安寧と知恵をもたらす梟の女神、ミネルバ。
南の夜明けと豊穣を司る海の女神レウコテアー。
北の山と森の掟の女神テミス。
裁定の神 フォルセティ
〈金と銀と赤〉の色を持たない王は治世が短く女神の恩恵を受けられないと。
…誰もそんなことは信じていなかったが。
今回の王は在位5年 短かいな。
全く王家の色を持たない第三王子には女神の加護があるのだろうか。
って、まだかよ、主催の先王陛下。
何もしないで座っているのがいたたまれない、後ろのバルトに代わって欲しい!
ミネルバ家からは俺が王位継承を申し立てることになった。
なんで!
拒否権はない、銀の混じった髪に赤から金へと至るグラデの瞳。
王家の色。
ノイエクラッセの血筋は関係ない。
四家と女神の契約の色。
今日は魔道具の色変えの眼鏡を兄上たちに取り上げられたので本当に凄くいたたまれない。
可愛くないんだよ、この瞳。
アイン殿下の魔眼を厨二病とか揶揄う自分が厨二病っぽい容姿になっているとか無いよ。
誤ります、アイン殿下!
からかって申し訳ありませんでしたぁ!
がっくり、机に突っ伏した…ふりをして状況を読む。
資料読んだらやる事がないんだって。
厨二病でも騎士なので、襲われた場合のシュミレーションを頭に描いて戦闘方法、脱出方法を検討してから頭を上げた。
小さいと言っても会議室。
室内の装飾は少なく白い壁に大きな風景画と宗教画が向い合せに2枚ずつ4枚飾ってある以外の装飾はない。
機密を守る、襲撃を防ぐためか窓もない。
扉は両端、正面の三つ。
一つは警備の騎士が詰め、もう一つは侍女や侍従が詰める部屋に続く。
襲ってくる人員がいるならこの扉の向こうがまずいだろうなぁ。
屋外からの攻撃は防音、防御魔法が壁に展開している気配があるから大丈夫か。
長めのテーブルも人数に合わせて調節できる稼働式のもので今回は部屋の半分程のサイズで調節してテーブル回りの空間に余裕があるように…してるはずなのに人数ぎっちぎち。
保護者、多いです。
うーん…この室内にいる全員とやりあっても俺らミネルバ家で制圧できます。
うはははは。
そう、俺にも保護者として一兄、東の辺境伯家惣領が付いている。
成人もだいぶ過ぎて24にもなるのに子供扱い…!
この部屋に集められた子供達には俺も含め、何処かしらに継承の色が入っている。
そして先ほどの受け答え。
オカシイだろ! 第三王子以外の王子様方の中のヒト、幾つだよ、絶対成人した社会人じゃね?
王子様達以外の子供もヤバイ。
高位貴族の間では御三家と呼ばれる辺境伯家の子息令嬢。
王家の〈金と銀と赤〉が入った容姿の子供が各家から選ばれている。
俺も含めて…(俺は色変わりでそうなったバッタモンだから関係なくね?)。
御三家と王家は古の盟約により王位継承が揉めた場合、他の三家からも候補をだして王を選ぶとある。
その、古の盟約が今回元老院により可決、適用される。
この位置、アイン殿下とツヴァイ殿下に挟まれて座ってるのはいたたまれないんすよ。
後ろに一兄、二兄とバルトが控えているのもいたたまれない。
一兄、二兄は保護者席、バルトは俺の護衛騎士でふんぞりかえる二兄の横に立っている。
何気に俺の護衛、オーバーキルだよな。
これは密にアイン殿下対策。
このなかで一番狙われているのはアイン殿下。
俺もアイン殿下の後ろに護衛騎士として立ちたい…。
ぐすん。
アイン殿下の後ろにはバリエがちゃっかり立ってやがる。
お前、変われ そしてテーブルに着席する子供達の中で一人大人という、このいたたまれない席に座ってくれ。
ちらっとバリエを見る、目が合うとにやりと笑われた! ちくしょう心の中で懇願するも通じないわ。
良く考えると この位置、前世で見た子供向けテレビに出て来る体操のお兄さんの席じゃね?
はーい、王位継承権持ちの子供達ぃ~元気ぃ?
「……」
何馬鹿なコト思い出してんだろう…。
撃沈。
ミネルバ卿の領都で流行ってる言い回し
泣かぬなら泣くまで待機、ホトトギス
泣かぬなら魔獣のエサだ、ホトトギス
泣かぬなら泣くまで拷問、ホトトギス
誰だよ、野望と勘違いしてるのは。
領都にはミネルバ卿やトビアス君以外の野良転移者や転生者が隠れていそうです。
…上下水道普及率90%ですから。
トイレ大事(笑)
次回も説明回ですがミネルバ卿の拳が疼いてます。
多分。
バリエ氏の執事の腕も冴え渡ります。
(願望)




