◎不夜城 真夜中に会議は踊る⑩因果は巡って大回転
沢山の物語の中からこの物語を見つけて頂きありがとうございます
そんな皆様に国王陛下から感謝の踊りを捧げます。
ダガダン、猫缶サ〜ンバ〜 オレぃ♪
パリーン…お楽しみ頂ければ幸いです。
◎巡る巡る因果の糸車
さて、巻を取り除いていってみよう。
会議場では一大対決が始まろうとしていた。
宰相 VS 前国王陛下。
荒ぶる氷塊、走る熱波。
ぐるぐる動く魔力、外周は威圧の強力な流れだか、中心が氷塊群だったり熱波だったり。
先王陛下の威圧と宰相の怒りとで城内ドロドロの威圧合戦に突入。
不可視のものもなんか吹き荒れてる?
洗濯物が威圧でぶっ飛ぶ勢い。
オペル公爵は騎士の誘導より前に南の辺境伯の元に逃げ込んでる?
いや、陛下アンタの兄上だろ?
「バトルモード、突入?」
トビアス君が円卓の下に潜る勢いで怯え、思ったことが口から駄々洩れ。
少し黙ろうか。
そして何故二人を東の辺境伯の所に円卓の下を潜って避難誘導するかな?
俺も円卓の下に潜りたい、丈夫そうだし だが、その前にアイン殿下を守るために護衛騎士三人で肉壁になり背後に庇う。
一兄は二兄が背後に庇う。
一兄は東の辺境伯家の後継だから、一兄がヤバくなったら二兄が後継、二兄切実に守りの体制。
避難体制取った方がいいのか? 戦闘態勢取った方がいい?
アイン殿下はこういう時は動いてはいけないとでも思っているのか、人形のように大人しい 修羅場慣れしてる、まだ児童の年齢なのに(不憫)
猫とトビアス君、猫侍女、円卓の下をくぐってこちらに避難、トビアス君らを誘導してきた騎士達も兄上達の肉壁になる。
トビアス君、俺にしがみつくなよ。
猫侍女、俺を盾にしようとするな!
猫、俺らが揉めてる隙に一兄に耳打ちする。
「制御方法ご存じか?」
流石に一兄も知らないらしい首を振る。
「〈女神ミネルバのご加護を〉と叫んで円卓叩け」
おい? ヒトん家の後継に命令するか?
猫に言われるままに一兄が叫ぼうとしてアイン殿下に腕を掴んで止められる。
「殿下? 」
固まっていた筈の殿下は魔力圧も何も感じないように俺の前に出る。
氷結が飛んでくる。
危ないと、手を伸ばして止めようとした。
伸ばした手が俺の盾ごと凍る。
が、アイン殿下は何もないように円卓に両手を乗せた。
「審議凍結」
アイン殿下の置いた両手を中心に光の魔法陣が浮かんで消える。
一瞬、空気が固まった気がした。
静寂の後、空中に無数に浮いた氷の塊と宰相の背後に現れた太陽プロミネンスの尾がぐずぐずと崩れてチリになる。
まだらに温度変化していた室内の温度が落ち着く。
「これって音声入力? 」
トビアス君が落ち着いてきて余計な事言いだす。
多分違う。
ナニカが降りてきた感覚がした。
アイン殿下に。
〈裁定者〉ってなんだ?
とりあえず俺は氷結で盾のスキルごと固まってしまった腕を隠した。
盾のスキル、熱には強いが寒さはダイレクトに伝えてくる…揺さぶられるのも弱い。
結構弱点あるスキルだよコレ。
俺は今、殿下の側を離れたくない。
氷塊した腕は兄達に見つかったら問答無用で医務室送りになる。
「殿下? 」
アイン殿下、ドサリと椅子に沈んだ。
疲れたんだ。
殿下、また何かに乗っ取られてませんか?
肩に手を置いたらビクリとされた。
だか姿勢は深く俯いたまま…。
…平気な顔しなくていいんですよ? 殿下。
宰相、怒りすぎてここにアイン殿下とツヴァイ殿下もいることを忘れて親の悪行を暴露している 宰相らしくない。
あれ…宰相も魔力多めだったよな?
くらり、とする。
あ、氷結した腕から段々体温が抜けている?
この場合は身体強化の応用で部分的に体温上げるんだっけ?
考えが纏まらない。
誰かがグイと凍りついた腕を掴んだ。
椅子に沈んでいたアイン殿下が俯いたまま俺の腕を掴んで腕の氷を魔力で溶かした。
「子供体温」
呟くと乱暴に手を振り払われた。
「ありがとございます」
掌をグーパーしながら、アイン殿下の肩に両手を置いて肩を揉む。
「お疲れ様でした」
アイン殿下の肩を揉んでいたら、ふと違和感に気付いた。
はい?
もこっとした部分に手を入れると背中から四男坊のあひるが出て来た。
どうやって!
慌ててつまみ出すが手が滑ってアイン殿下の膝に乗った。
「がう」
トビアス君を見る。
指をくるくる回してにやりと笑う。
「迷子の四男坊はそちらにいたんですね」
呆然と膝の上に乗ったアヒル隊四男坊を見つめるアイン殿下。
「きっとポケットが狭くて出てきちゃったんですね」
トビアス君、指であひる4男坊の頭を撫でる。
「暫く預かってもらえますか?」
撫でながらアイン殿下の顔を覗き込んで答えを即す。
顔を上げたアイン殿下は疲れて途方に暮れた顔をしていたが。
「わかった、預かろう」
無表情がデフォルトのアイン殿下の口角がちょっと上がってる。
大丈夫、アイン殿下だ。
少しホッとする
ふと、ツヴァイ殿下の方を見る。
なんだか護衛と揉めている?
何かをベストの中にねじ込んで……元の所に戻りましょうとか兄上の横が元の所とか?
「あちらにはもちもちの子が二人行ったみたいですねぇ」
何なの? 手品? 空間魔法使いなのか?
ツヴァイ殿下がこちらに親指立ててサムズアップしている。
護衛騎士がガックリしている。
…キモチは分かる。
王族らしくないと家庭教師に怒られるんじゃないかな?
でも、トビアス君も思い切りいい笑顔でサムズアップしている…。
わざと送ったのか。
「トビアス君、外見は子供なのに中身は子持ちの親父だにゃん」
「ショタ爺に言われたくないです」
「中身は爺でも外見は美少年」
自分で言うんだ。
アイルが滅茶苦茶悪い顔をして嗤う。
宰相と前国王陛下はバトルが冷めてクールダウン期間なのか大人しくなっている。
宰相の代わりに南のエリアス氏がこの話題は保留とした。
色々利害が絡むからな…。
ニコライ陛下は未練たらたらにアイン殿下を見ている。
俺はふふんと鼻で笑ってアイン殿下の顔が見える位置にひざまづいた。
「アイン殿下、ご存じですか? 俺、A級冒険者なんすよ」
アイン殿下は等級までは教えていなかったが俺が元冒険者だと知っている。
まあ、バリエとバルトも知ってるけど。
二兄と一兄がハッとして俺を睨んだ、が 慣れてます(笑)
「殿下が国王にならないなら俺とパーティ組んで冒険しましょう!」
殿下が俺の(皆が凶悪という)満面の笑顔を見てはっとする。
「俺と一緒なら今すぐ俺の弟子として冒険者仮登録ができますよ? 」
殿下の一人位守りながら冒険者することは出来る。
思い付きで口にしてみたが、思ったより楽しそうだ。
凄い呆然とした顔のアイン殿下が俺を見ている。
その顔を見ていたら悪戯に成功した時のような気分になった。
アイン殿下と冒険者稼業 オラ、今からワクワクすんど。
にやついていたら制服の裾を誰かが引っ張っている?
?
「…僕も王位継承権放棄するから、兄上のパーティに入れて…」
半泣きのツヴァイ殿下。
ベストの胸元からもちもちの子が二人顔をのぞかせている。
アイン殿下とツヴァイ殿下ともちもちの子。
はいはい、一人も二人も一緒に面倒みましょう。
パーティ組むならアイルも誘うかと考えていたら二兄が俺の頭を掴んで来た。
まーたーかーよーぉ!
「冒険者の件は保留!」
「禿げるから頭攻撃しないで」
二兄と一兄がうわーという顔してる、誤魔化せない兄弟だなぁ(笑)
「禿げより先に頭が悪くなるとか記憶が飛ぶとか心配しないのかお前は」
頭皮の心配しかしてなかった。
二兄、頭掴んだままじっと俺の顔を見ていたと思ったら顎クイしてきた。
あ…兄貴?
アイルとトビアス君がわーおという顔で俺たちを邪推している…や、やめてぇ!
アイアンクローは外されたが顎クイから顎掴みでグイグイ横向けたり上向けたり終いには目の奥ずっと覗き込んできた。
あ、眼鏡取られた。
近い、近いわ二兄! 俺のクチビルが奪われるぅ…な訳ない。
が、二兄一言。
「お前、色変わりしたのか」
…魔道具の眼鏡で隠せませんでした。
でも、4年も隠せたのは僥倖だったと思う。
「え? 色変わり?」
トビアス君が青ざめる。
東の辺境での言い伝えというか俗説。
色変わりした子供は早死にする、と。
それは事故だったり殺されたり、病気だったりとさまざまだが 全てではないが確率は高くなると言われている。
「一回死にかけた時変わった」
瞳が黒茶から金赤に。
髪はアッシュグレイにまばらに黒がまじっていたが、色変わりで黒が増えた。
銀と混じって白黒のコスプレのような頭になってる。
これはごまかしようがなかったのでそのままだが。
眼玉の色はまずかった。
「お前を被検体にした時か」
はい、セミファイナルと噂され、試供品が受け取り拒否されて王城にダブついてるアレですね。
心臓止まってから三秒で復活したらしい俺、副作用がトンでもないエセエリクサー試された時の。
「4年、生きてるし死にかけた時に変わったからノーカンじゃね?」
へらりと嗤うと二兄は大きなため息をつきながら下を向いた。
下向く前に顎クイ止めてくれ。
「親父と母上には報告するぞ」
「…子供じゃないんだし」
「親父と母上にとってはいつまでも子供だと俺でも言われるぞ」
二兄……。
そうだね、今生の母上と父上はそういう人だ。
屋敷の柱に身長を削っても豪快に笑う家族だ。
「色変わりって何?」
アイン殿下が聞いてくる 好奇心旺盛なお子様だ。
「大人になって髪の色とか眼の色が変わることです」
一兄が丁寧に説明している。
トビアス君は顔色をなくして動揺している。
分かりやすい奴だな こいつ、ナニか情報持ってるな 後で締め上げてやる。
「東の辺境では良くあります、大人になって茶髪が金髪になったりその逆があったり」
「太陽の光のせいだとかメラニン色素の作用だとか言われています、が」
アイン殿下が言葉を切った一兄に首をかしげる。
かわいい(笑)
「全く違う色になるのは珍しいことです」
嗤うしかねえな。
宰相、多分反省しながら国王陛下を葬儀の式典最中にマッパで踊らせようと決意してるかもしれません。
とするとトビアス君、ゴーレムにダンス教えなければいけないのですが…前世、自宅警備の造形師だったのでダンスは良く分かりません。
となると……教えるのはアレでしょうか、コレでしょうか?
お後が宜しいようで…。




