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第一王子のロイヤルサバイブ 乙女ゲーは情報過多  作者: まるいのあっと


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◎不夜城 真夜中に会議は踊る⑨因果は巡る

お読みいただきありがとうございます

アイン殿下、おじいちゃんにロックオンされました

助けてハシビロコンドロール! 〈魔鳥〉

年寄り達の愚痴バトル開催!

合言葉は〈お給料大事! 〉

お楽しみくださいませ。

 ◎巡る巡る因果の糸車

  自分(王子様は)は何をしても愛される…訳ではない。

 

 …直球すぎだよ アイン殿下。

 

 第一王子は真っすぐ先王陛下を見ている。

 その視線を受ける先王陛下は疲れていた。

 安酒煽って眠りたい…とは思っていないだろうが、似たような事は考えていそうだ。


「私は王位を継ぐ意思はありません、王位継承権は放棄します」

 

 言った。

 言っちゃったよ、アイン殿下。

 でも、高い能力を見込まれて使い潰される未来しか見えない王位継承には安易に賛成出来ない。

 それが殿下の希望で……。


 「お給料も残業代も有給も出ない仕事に将来性が見えませんから」


 「ソッチか!」

 あわわ。

 すいません、思わず声が出ました。


 いや…王位継承権争いがイヤとか冷遇されてるのに貧乏籤なんか引きたくないと…そんな理由かと思っていたんすけど。

 

 うん、大事だよお給料。

 〈ぬいぐるみひとつ買えない〉と項垂れていた殿下を思い出す。

 ぬいぐるみくらい幾らでも貢ぎます。

 でも、悪いからと遠慮されてしまった しょぼ〜ん。

 笑って〈ありがとう〉と言ってくれたら幸せなのに。

 コレが推し活?

 いやちがう。


 側妃や第三王子が贅を凝らした衣装で練り歩くのにアイン殿下はパンツ一つ自由にならないんだからな。

 殿下方の命の保証と今まで働かされた給料貰えるなら王位継承しなくてもいんじゃね?

 

 先王以外は皆冷静だった。

 多分言うだろうと、一部期待と一部諦めで。


 諦めない者もいる。

 「君はノイエクラッセの金の散る魔眼を受け継いで生まれた」


 黙って先王陛下を見つめるアイン殿下。

 醒めた凪のような瞳に先王陛下や王家の人間はどう写っているのだろう。


 「国の、国民の為、王家に生まれたものとしての義務と責任があるんじゃないか?」


 人は王族になりたいとか平民はいやだとか生まれる先は選べない。


 元とはいえ為政者の言葉は正論に聞こえるが。

 それを蔑まれ疎まれた10歳の子供に()うか。


 自分の育てた息子はその義務と責任を何ひとつ追わなかったというのに。


 自分の子供に言えや!


 ニコラス陛下とアイン殿下以外の全員が心の中でツッコミをいれた。


 いや、アイン殿下も密かにツッコんだ。

 

 ニコラス閣下の眉間の皺がとんでもないことになっている。

 威圧も漏れている。

 台風時の雨どいのように駄々洩れである。

 

 「もしかしてアイン殿下を王太子にするつもりでしたか?」

 ぼそりと俯いたままの宰相が呟く。

 宰相もアイン殿下擁立派、強火勢だが。


 「殿下は王子妃が身罷られてからお一人でツヴァイ殿下をお育てになられた」

 

 積み上げられた会議の資料にもあったか、たかだか齢3っつの子供が乳飲み子を育てられる訳がない、と。

 ニコラス陛下はたかを括っていた。

 誇大報告か作り話か、と。


 「貴方の息子が公務を丸投げしていた王子妃が身罷られた後、誰が後宮を管理していたかご存知か?」


 ニコラス陛下は国の公務で手一杯だった。

 馬鹿息子は何の仕事も勉強もせず遊び周り。

 後宮の管理は本来なら王子妃、側妃に任される筈。


 ニコラス陛下の背中に嫌な汗が流れる。

 まさかという思いが30%、あり得るという絶望感が70%……。


 起き上がれる様になって直ぐ孫達に会いに行った。

 第二側妃の息子、第四王子は頭は良いが情緒面が今ひとつ、第一側妃の娘である第五王女は何故か第二側妃に育てられていたが普通に礼儀正しい上位貴族の娘の様で可も不可もなかった。

 

 第三王子、第一側妃にあっては最悪な出会いだった。

 第三王子の最初の一言が「誰? このくたばり損ない」だった。

 …思わず威圧でちびらせてしまった。

 第一側妃と息子は学園時代から浮気相手、卒業パーティで王子妃を冤罪で断罪し、娼館送りにしようとしたうつけものであったが子供が出来てしまったからと側妃を許したが、息子は母親の色を受け継ぎ、ノイエクラッセの色は全く受け継いでいない。


 第二王子は身体的問題で王位継承は最下位と、最後に面会を予定していた第一王子の王宮内の噂は芳しくないものばかり、これではダメだと思い悩む中で出会った彼は噂と違う礼儀、知性、ノイエクラッセの王族に受け継がれる金の散る瞳、最上級の魔眼。

 次の王はこの子だと直感した。


 なのに何故!


 宰相はこの子を王にする為に玉璽を渡し、公務をさせていたのではないのか?


 宰相は否定する。


 「アイン殿下は孤児院の子供でもされるような世話もされず放置されていました、能力があったのと王族の血筋、通常なら働けない年齢ですが生活の為にと本来()()()()()()()()()()()()をお引き受け頂きました」

 宰相の声が地を這うほどに低い。


 宰相vs先王陛下にビビる護衛騎士。

 オペル公爵すら自分の兄上である陛下から一歩引いた。

 

 ひやーーー!

 

 (おこ)? めずらしい宰相、怒ってる?


 宰相はアイン殿下を遺棄された後宮の一室で見つけた。

 最初は図書館に出ると言う幽霊の噂。

 そこから後宮に続く地下通路を辿り、二人の殿下の元に辿り着いた。

 書類上では王子妃の宮、侍女、侍従、家庭教師、料理人、普通に王子二人が暮らすには過不足ない宮…の筈だった。


 書類上では。

 

 放棄された何もない宮。

 しかし王子たちは生きていた。

 水も食料も何もないまま3年放置されても。

 どうやって生き延びたかは宰相から聞いて耳を疑った。

 その上、ご丁寧に宮には出て来られないよう鍵までかけて閉鎖していたらしい。


 己らの手を汚さず亡き者にする為。


 聞いたことがある。

 敵かも知れない宰相について宮を出た理由を。


 アイン殿下曰く、〈ツヴァイに子供らしい暮らしをさせるために(おのれ)を宰相に売った〉と。

 どういう駆け引きがあったのか、ちょっと怖くて聞けない。

 しかし正直に言っちゃう殿下はちょっと天然入ってる利用しやすい子供。


 大人を利用して上手く立ち回ればいいのに…。

 宰相の珍しい怒り垂れ流し。

 宰相はアイン殿下に入れ込んでいる。

 もし、王位継承権を放棄するなら他国に逃す算段を考えている位。

 

 「そこの資料に王子妃がアイン殿下を身ごもってから亡くなる迄、ツヴァイ殿下が生まれてから今までの王族に支払われる生活費、品質維持費他、使用人の給料、家庭教師の給料全て書かれています」

 一番分厚い資料、鈍器だよ。

 でも、数字が一番わかりやすい。

 

 「それが鉄貨一枚殿下達には支払われていません」

 鉄貨は一番安い貨幣、日本円でいうところの1円。

 

 「食事は私の家からの差し入れによって賄われています」

 ニコライ陛下は分厚い資料に手を置いた。

 「差し入れです」

 大事な事なので二度言った。

 

 「衣服は新しく仕立てる為の裁縫士も市井の服飾店も利用できないので申し訳ありませんが我が息子のお古を仕立て直して着せています」

 ずっとかぼちゃぱんつだったよな。

 気の利かない男親と、あの奥さんが知ったら言うだろう。

 

 「侍女と侍従は一人ずつ我が家から手配しました。」

 宰相のツテかい、戦闘メイドと、影が異様に薄い侍従は。

 「護衛騎士だけは城内に入れる騎士が限られているので王城からの選出ですが」

 サーセン、変わったのが配属されて(笑)

 「そちらの東の辺境伯家が給料を払っています」

 え? 俺の給料実家から出てたのかよ!

 

 「その他こちらで賄えない、本来なら王子妃の実家からの援助で賄われるようなものは東の辺境伯家が後援として出資していただきました」


 「何度でも言わせて頂きますが」

 凄い強調してる。

 「()()()()()()()()()()()()()()出ていません」


 もう宰相の眼が座っている 殺し屋の頭目のようなオーラを醸している。

 ヤバイ、ヤバイヤバイよ! 宰相!

 

 「それでも、ノイエクラッセの王家に生まれた事は大きい」

 ニコラス陛下は資料に乗せていた手を力強く握る。

 

 王族の責務。

 前国王の矜持。

 ニコラス陛下にしてみたら王に一番適した者を取り逃がしたくは無いのだろう

 

 「何もみかえりを寄こさないのに責務だけは追えと…」


 言い返す言葉も無いがここは主張しないと元国王陛下は考えた。


 「それが王族というものだろう」

 鎖で縛り付けてでもコチラに取り込まなければと、焦りが出た。

 

 「厚かましいですね」

 宰相が蔑むように嗤った。


 「なんだと?」


 取り込み方を間違えたとは気がついた。

 しかし。

 故意か勢いか、ニコラス陛下の地雷踏み抜く。


 ガブリ、と 食いつく様な細かい氷がブリザードのように局地的に吹き荒れる。

 

 いきなり魔力!

 幸いまだ人に害か及ぶ規模ではない。

 が。

 宰相、余程腹に据えかねていたのか…煽っている?。

 

 「第一王子、第二王子である我が子を離宮の一室に閉じ込めて餓死させようとしてたなら、もう自由にして差し上げても宜しいのでは? 」


 「……」

 「王子妃との婚約時代、学園生時代も側妃と遊び惚けて正当な婚約者をないがしろにした二人を放置して無理矢理王子妃と結婚させたのはニコライ陛下でしたね」

 「国王になれば第二側妃まで娶ることが出来る」

 「だから放蕩三昧を放置して後始末を王子妃にさせていた?」

 「王家に嫁いで来たなら夫の仕事を肩代わりして臨月迄無理をさせるのが王族の責務でしょうか? 」

 ゆっくり顔を上げる宰相。

 目が臨戦体制。


 「そして王家に生まれてきたからには国王である父親に疎まれたら罪がなくとも監禁されて死ぬのも責務なんでしょうか? 」


 宰相の下へ陛下の局地的ブリザードが吹き抜けようとするが途中で白煙を残し霧散する。

 水蒸気?

 

 宰相、火の魔法持ちだっけ? 

 宰相の周りに陽炎が立った。

 ニコラス陛下はどうも今までの魔力から言って氷っぽい。


 やべ、相性最悪じゃね。

 

 拮抗したら水蒸気大爆発じゃね?


 いつの間にか二人の周りから人が消えている。

 騎士達は守りの薄い人間を二人から離した様だ。


年寄りの愚痴バトル、続きます。

次回、大怪獣バトルに発展!? 

遂にアイン殿下が立ち上がる! 

会議の行方は何処へ?

爺バトル、サービスになるのか?

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