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第一王子のロイヤルサバイブ 乙女ゲーは情報過多  作者: まるいのあっと


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◎不夜城 真夜中に会議は踊る⑧ 復讐は裸踊り♪オーレィ

お目に留めていただきありがとございます。

裸踊り、どうなる?

ペンライトもミラーボールも推しうちわもないのは異世界ファンタジーには流石合わないかなと自粛しました

お楽しみ頂ければ幸いです。

♪オーレィ!

◎真夜中過ぎて裁定者は復讐を望むか


 〈父王は子供達の誰も信じていなかった。〉

 

 そんな一文の載った物話を図書館で読んだ覚えがある。

 

 確か子供達に王位を譲る時「どれだけ国王である自分のことを大事にしているか」を試すために子供達にもてなしを要求して訪ね歩くんだっけ。


 …試すんだ。


 子供達は誰もが()()だけの贅を尽くした豪華な歓待をしたが、末の娘だけが普段通りのもてなしで歓待したため、父王を怒らせ放逐、荒野で野垂れ死ぬ。

 末の娘は贅沢なものは用意しなかったが心を込めて父王の安寧を願い、もてなしたというのに。

 だが、豪華なもてなしの為散財し、王位を継いだ兄弟は豪勢な生活を維持するため税金を上げ、民の生活を圧迫し国民の反感を買い、反乱が起きる。

 贅沢の末路は一族郎党処刑。

 元国王は処刑されなかったが国外追放の果て、末の娘を放逐した荒野で娘の屍を見つけるという。

 救いが無い話だ。


 父は多分簒奪者だ。

 呪いで父王を動けなくし、自分より王位継承権の高かった王弟を排除して国王となった。


 そこまでして父は何を成したかったのだろう。

 

 なんでそんな話を思い出したかと…。

 

 「お望みでしたら教会で裸踊り、または今までの所業を懺悔しての昇天演出できる程の高クオリティで動くゴーレムを作成出来ます。」

 

 父である国王陛下が大分やらかして恨みを買っているようです。

 わかっていたけど。

 

 でも何で裸踊り?

 今までのどんな所業を懺悔?

 

 いろいろありすぎて次にこの国を引き継ぐ者には頭の痛い所だと愚考します。

 

 そして満足気なトビアス氏、ひといきで怪しいプロモーターのようなプレゼンをのたまい頭を下げながらニヤリと嗤っている。

 

 魔眼で視えるトビアス氏の回りには国王陛下への恨み事がイソギンチャクの触手のように伸びていた。

 …悪い人ではない、カテゴリー的に善良な部類だと思う…特異なスキルのせいか全体が歪な感じがするトビアス氏だが、これ程恨みをためていたとは。

 

 鑑定眼で人間を見てはいけないと日頃戒めていたはずだった。

 だけど。

 魔眼自身が暴走気味で止まらない。

 

 この会議場のせいだと思う。

 キラキラした聖力が渦巻いている。

 

 何故この会場を選んだ?

 

 何処を見ても何かが渦巻いて目が痛い。

 癒しが欲しくて隣でドヤ顔する猫、アイルの方を鑑定する。

 猫まっしぐらな猫缶の山が視えた。

 猫缶……お腹空いたのかな?

 この猫は本能のまま生きている(笑)。

 ある意味すごいな。

 

 凄いというなら私の父親の国王陛下の嫌われっぷりも凄い。

 あの人はそれほど嫌われていたのか。

 ヒトゴトのように独りごちる。


 全く面識がないからヒトゴトでも仕方ない。

 

 殯宮(もがりのみや)で視た陛下の回りには呪詛が溢れていた。

 呪っているもの呪われているもの 葬儀で呪いを清算するのはいいことだと思う。

 

 …でも裸踊りで呪いを払えるのだろうか?

 ゴーレムを踊らせるのは代替呪詛という奴か。

 

 立ったまま嗤っているトビアス氏…大丈夫?


 やはり全員おかしい。


 ニコライ閣下以下沈黙するお偉いさん達。

 会議場を支配する混沌(カオス)

 ぽかんとする東、南の伯爵家面々。


 と何か考えてるツヴァイ。


 子供(ツヴァイ)には刺激が強すぎる話だったか?

 実の父親に裸踊りさせるとか懺悔させるとか…。

 

 私は顔を合わせたことすらないので父という実感がない、でもツヴァイには…。


 「狭くないかな…? 」

 

 は?

 

 いつの間にかちょんと横にツヴァイがいた。

 えええ? 

 さっきまで斜め前の南の辺境伯の席にいた筈。

 円卓の下をくぐってきたのだろうか、ちゃんと護衛騎士も一人連れて来ている。

 というかついて来てくれたのだろう。


 凄いニコニコしているツヴァイ。


 大人たちが思考放棄している隙に円卓の下をくぐってきたのか。

 護衛騎士、よくついて来れたな! バルトと身長が変わらない、騎士としては小柄なのだろう濃い金髪に日焼けした子供顔の護衛騎士の膝が埃だらけなのが申し訳なさすぎる。

 

 そんなツヴァイは凄く真面目な顔で私を見た。

 「葬儀は中央神殿で行われると聞いたけど、裸踊りをするのは狭いと思う」 


 うん?

 

 眼が合ってツヴァイがうふふと笑った。

 「兄上の魔眼がね、感覚共有っていうのかな? 兄上の考えてること教えてくれてる」

 「え? 」

 とんでもないことを言い始める ツヴァイ? 

 「多分この場所だけだと思うけど、兄上のこと少し見える」

 

 見える?

 

 「何か糸とか帯のようなものでがんじがらめにされてるように見える」

 「ツヴァイ? 」

 ツヴァイの魔眼がひとなざらなるような光を帯び、金が花吹雪のように散っている。

 

 「僕には兄上が、顔も姿も何かに縛られてぐるぐる巻きになってる姿に見える」

 悲しげに告げる。

 ああ、私にも見える。

 ツヴァイと私を繋いでツヴァイを縛りつけている私の()()というしがらみが。

 

 「何? 」


 ツヴァイは顔を近づけて私の眼帯の下の魔眼を覗き込もうと手を伸ばす。


 が、誰かの手がツヴァイの手をとった。

 

 「おいたはダメですよ」

 

 ミネルバ卿がツヴァイの手をとって自分が座っていた椅子に座らせ、円卓の下でヒザを抱えて気配を消していたツヴァイの護衛騎士を引っ張り出した。

 「南の辺境伯の護衛騎士か? 」

 「私は…」

 ごん!

 胸に手を当てて敬礼しようとして円卓の淵に腕をぶつけてる…。

 痛いよ、それは…。

 涙目で敬礼しようする護衛騎士を手で制してツヴァイの隣に立たせた。

 ミネルバ卿は私の後ろの定位置に着く。


 大人たちは未だ再起動できずに頭を抱えている。

 

 秒で憔悴した元国王陛下。

 賢帝と言われる治世を広く敷いたにのに、息子は即位して数年でそれをダメにした。

 

 国の政治も信用も。

 

 それを思うと、国王陛下に裸踊り位させないと割に合わないんじゃないかという気持ちになってきた。


 いいか 裸踊り。

 

 が、問題なのは国王陛下の身体に刻印された呪術。

 私の視た限り呪われていたのは一人ではない。

 呪っていたのも一人ではない。

 国王陛下は媒介にされていたのだろう。

 

 誰が。

 どうやって。

 

 思考に沈んでしまいそうになり、私の役目を思い出す。


 裁定者。

 

 そろそろ裁定者として議題をすすめなくてならないだろう。

 

 見上げると西のノイエクラッセの天秤の女神の斜め右にいるトビアス君と猫の二人と目が合う。

 トビアス君がようやく座ると入れ違いに猫こと、アイル ケッツヒェン、ケットシー族チュシャネコ科人猫目の錬金術課魔装工兵 が立ち上がって片手を胸にあて、斜め45度の礼を決めた。

 

 「閣下、交互の憂いを除く為にも陛下には是非裸踊りで葬儀の場を盛り上げていただきたく存じます」

 

 盛り上げ……。


 アイルは猫缶パーティの盛り上げに陛下の裸踊りを夢想している。


 ♪オーレィ オーレー、ダカダン! 猫缶サンバぁ〜♪


 猫、思考が丸見え。

 

 「バカな! そんなことをしたら国が大恥を欠くのがわからないか! 」

 ニコラス閣下は顔を青くして激怒していらっしゃるが回りはスンと落ち着いてしまった。

 未成年相手に腹上死した国王など恥以外のなにものでもない。

 と、周りの大人は考えていた。


 「祭壇で踊るのは狭いと思う、ヒトを後ろに下げて空きスペース作るにも大勢いるだろう参加者が入りきるだろうか?」

 さっきのことはなかったようにツヴァイが参戦。

 もしかしてさっき此方に来る前、真面目な顔してたのは踊る為のスペースの計算…?

 「目算で計算してみたけど南の辺境で最大の教会の祭壇、祭壇前も結構狭かった。」

 …計算してたらしい。

 「棺と説教台が場所とっている上、葬儀の飾りつけもあります…」

 指折り数えるツヴァイ 何を数えている?

 「ああ、葬儀の時は賛美歌の音楽隊も入りますよ」

 ミネルバ卿がまた余計なことを言い始める。

 

 私の中で賛美歌の為の音楽隊が賑やかな演奏を始めた。


 ♪オーレィ オーレ♪ ……。

 腰振りながら全裸で踊る悪徳貴族共、センターで激しく踊る国王陛下。

 陛下は何故かギンギラの礼服を着ていた。

 棺から立ち上がったばかりなら着衣だよね。


 オペル公爵が突っ伏し、ツヴァイが何故か両手で顔を覆い震えていた。


 その時、私は先程ツヴァイが言っていた感覚共有の意味を良く理解していなかった。

 会場に魔眼持ちが……閣下や公爵も王家の魔眼を、ノイエクラッセ特有の金の散る魔眼の持ち主だと忘れていた。


 「教会の祭壇から少し手前に棺の位置を変更するか? なら、あらかじめ広めに場所あけられる」 横からミネルバ卿を落ち着かせて低くしたようなイケボが。

 「一兄! 何参戦してる? 」

 いきなり話しかけられてびっくするミネルバ卿、ノリノリな東の辺境伯惣領。

 「何? 国王陛下に裸踊りさせる算段? 」

 若いからだろうか、復活が早かった東の辺境伯の面々。

 南は…ツヴァイがいなくなって慌てている…。

 やっとこちらに気付いた。

 

 ニヤリと嗤う騎士団総括局副長。

 「教会で懺悔よくね?」

 副長参戦。

 腕を組んで嗤いながらトビアス氏を見てる。

 東の惣領、「神の奇跡とかで悪徳貴族の名前列挙させて一網打尽か」

 「魔法でステージに引きずり出すか」

 笑って言うことじゃないと思うが…。

 「センターは国王陛下だな、全裸で」

 ミネルバ家の面々も同じ事を考えていたか。

 しかし、汚い絵面だ。


 ミネルバ卿、首をぐるりと廻らせて私を見ないで下さい。

 ニヤリ。

 惣領も。

 ニヤリ。

 副長も。

 ニヤリ。

 笑顔が腹黒! この兄弟!

 恐い! ホラーか!!

 とんでもない方向に話が進んでいるような気がします。

 ツヴァイが護衛騎士と一緒にこちらにいるのを目視で確認して安心したのか、エリアス氏が向こう側でピコーンと何か思いついた! という顔をする。


  ヤメテ! ピコーン。


 南の護衛騎士が何かメモを持って円卓下を行軍してきた。

 今度の騎士はそこそこガタイがいいのか行軍も大変そうだ。

 

 そこまでして何を伝えたいのか。

 メモに。

 「悪徳貴族全員裸にしてバックで踊らせるか! 」(笑)と…。

 

 メモをそっ閉じ。

 何故か裸踊りと言うキーワードで皆同じことを考えていた。

 

 私のせいじゃないよね?


 私の頭の中でバックでポーズを取る全裸の悪徳貴族と、センターで両手を天に捧げるようなポーズの国王陛下の服が左右から引っ張られるようにばりーんと破けた。

 

  ♪オーレー オーレーィ♪

 

 ゴぶり、と誰かが吹いた。

 

 私は耐えたぞ?!

 

 いや、誰かは吹いたのではなく何か喉に詰まらせたらしい。

 ツヴァイが無茶苦茶咽ていた…大丈夫か?

 背中をさすってやる。

 思考共有で私のパリーンを覗いてしまったのか。

 

 何故かニコラス殿下も円卓に突っ伏してげぼげぼしていたが。

 おっと、再起動した。 

 進行役の宰相がちらりとアイルを見てため息。


 「裸踊りは冗談としても私はトビアス氏に国王陛下のゴーレムを作らせてソレを棺に入れて葬儀を終わらせることをお勧めします」

 猫はいった。

 

 本当に冗談だったのか訝しい。

 しかし、これ以上の混沌は時間が惜しいので私の裁定者権限で採決しよう。

 

 「国王陛下のご遺体は()してトビアス氏のゴーレムで祭礼を済ませた方が各国とも揉める原因を作らないで穏便に葬儀を済ませられるだろう。

 裸踊りの件は保留。

 トビアス氏に国王陛下のゴーレム作成を一任、監督としてアイルが付くように。

 遺体は地下の最奥の安置室で次第が終わるまで封印」

 「葬儀を終えた後で処分を考えましょう」

 

 不服そうな東、南の辺境伯家の面々。

 そんなに裸踊りをさせたいのか?


 まあ、此方も懺悔(ざんげ)させたい恨みはあるのだろうが

トビアス氏程の恨みは見えない。

 其々の仰ぐ女神が護っているからなのだろうか。

 しかしそれが無難な答えだ。

 

 「…処分…」

 ニコライ閣下が何か言いたげだ。

 閣下の目線が私に向く。

 「君はそれでいいのか? 」


 「?」


 「ゼクス ゲルト ノイエクラッセは君らの父親だぞ」

 

 お花畑がいたーー! (笑)

 目覚めて間もないのは解るが呪われて眠りに着く前も育児放棄は始まっていた。

 私が生まれ、母が儚くなって暫くは国王だった祖父。

 気が付かなかったと言われたくない。

 父親だからと言われても見識も何もない。

 今までされた所業から鑑みて父親だと慕う理由も見えない。

 

 子供とは無条件に親を慕わなければいけないと、この方は思っているのだろうか?


 「大体自分の親にそのしうちはない。

 そんな考えでは次世代の…君の治世に傷が残るだろう!」

 

 は?

 私の治世?

 

 周りを見渡す。

 

 「オペル公爵の治世」ですか?

 公爵を見る。

 「僕は他国に嫁と娘がいるんだ 公爵家はこの国にいて兄上の手助けをする為の名目みたいなもので、この騒動が終わったら公爵家をたたんで妻の国に帰るよ」


 爆弾発言!

 ニコラス閣下が呆然と隣の王弟を見た。


 私は順にツヴァイを見る。

 「僕は弱視で公務に触りがあるから王位継承権の順位は下で今話題になるものではないよ」

 にっこり 上手いこと側妃の暴言を利用した。

 此処に呼ばれるまでバリバリ公務手伝ってくれてありがとう(笑)

 ツヴァイの両目を覆う、〈弱視の視力補強の為の魔道具〉と言う名目の目隠し布は、単純に魔眼封じの為のもの。


 「第三王子…」


 「論外です」

 宰相、ばっさり切った。

 なんだか私に視線が集まっている。

 しかし…。

 

 仕方なく挙手。

 「発言、よろしいでしょうか?」

 何故か緊張が走る?

 何故?

 

 「私は王位を継ぐ意思はありません、王位継承権は放棄します」

 

 言った。

 何かがカチリと外れる音が聞こえた。

 

 先王以外は皆冷静だった。

 先王の顔色は赤から青を通り越して蒼白になった。

 病み上がりのお爺さんなのに。

 大丈夫?

 でも、言わせて貰うけど。


 「お給料も残業代も有給も出ない仕事に将来性が見えませんから」


 支配する空白、固まる偉い人たち


 「ソッチか!」

 誰かが叫んだ。

 

 大事だよお給料。

 

ヅカ風大階段を大聖堂に取り付けてもいいだろうか愚行してます。

あと、バレエのチュチュに白鳥の首を付けたやつも捨てがたい…と、愚考し過ぎてテキストデータがトびました。

パリーん…。

次回、こまめにバックアップ取ろうと心に誓った宰相のターン…の筈。

次回はバトルをサービスサービスぅ(笑)

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