◎不夜城 夜明け前 審議凍結 カウントダウン①
読んで頂きありがとうございます
ミネルバ卿大暴走回でございます
彼の頭の中は今、●の如く暴れん坊でごさいましょう
合掌。
楽しんで頂ければ幸いです
◎とりあえずお前ら寝とけ!
あの後、気まずい空気のなか、審議再開かと思っていたら会場がブラックアウトして全員強制ログアウト? でそれぞれの場所に送られた……らしい。
確かに宰相と先王が暴れたなら修復しなければならない所が多いだろうが…いきなりのログアウト。
流石ロストテクノロジー…。
じゃねえよ! 事前に教えろよ! ロストテクノロジー!
しかも、強制ログアウトの送り先の情報は古く、更新されていなかった。
一兄、二兄とその部下、 一兄の護衛騎士らが送られたのは高位貴族の乱●パーティ会場の真ん中だったらしい……。
それも元は東の辺境伯家に下賜されていた部屋だというから驚き。
二兄、怒髪天を衝く勢いでその場にいた貴族、平民、奴隷、老若男女かまわず捕縛し(部下連れてて良かったな)、貴族、一般牢は満員御礼状態になったらしい。
なむなむ…。
南の辺境伯関係者も元々下賜されていた部屋に飛ばされたらしいが、こちらはガランとした空き部屋になっていた。
代々南の辺境伯の当主は家内の内装に拘る家系らしく王城内でもせっせと飾り立てていた家具や調度品は、今代の国王に部屋を取り上げられた時に引き取る余裕も、再三の返却要求の返事もないまま放置…の筈が。
今現在の部屋を見回し何一つ残っていない辺り…推して知るべきだろう…。
頭を抱えた南の辺境伯惣領。
「これ、横領じゃ……」
慌てて護衛騎士が口を封じる。
流石、王城でその発言は誰が聞いているかわからない。
そして俺ら第一王子と愉快な仲間たち+猫とトビアス君、先王とその一行は何故か見知らぬ部屋へ落とされた(笑)。
文字通りミタコトナイヨ、コノヘヤ。
「俺ら扱い酷くね? 」
四つん這いのバルト、立ち上がりたいらしいが平衡感覚が急な移転でおかしくなったのかうごうご回っている。
虫か!
バリエは胡坐欠いて座り込んだまま背中丸めて頭抱えている。
慣れないと転移って気持ち悪いよなぁ。
こんな時に体験したくなかった。
俺は何故アイン殿下を抱きかかえ、ツヴァイ殿下を背中に乗せぇのしゃちほこのようにエビぞっているのだろうか…?
コシイタイ。
ドアの前に立った衛兵が二人、口をあんぐり開けて見ている。
ということは王城内? この広さの部屋は……。
外国の高官と会う時に使う謁見室だよな、ココ……。
何故ここに!
シンプルに見えて細かい所の優美な細工が豪華さを醸している。
左右の壁には柱に区切られた区画ごとに各女神がその意匠と共に描かれている。
天井には男神と女神の戯れ、捥げろリア充。
そして奥まった所にある一層豪華に作られ椅子…その横に先王一行。
ドア前の衛兵が慌てて槍を構える。
そりゃそうだ、思い切り不審者。
その向こうからかドヤドヤと大勢が迫る足音が聞こえる。
10人位か?
「バルト、背中のツヴァイ殿下を頼む!」
シャチほこって動けない俺から、ビックリしてかたまったツヴァイ殿下を抱き上げ、改めて片腕に抱えなおして剣の柄に手をかけるバルト。
よろけるなよ。
俺も立ち上がりたいのに、三半規管がいまいち言うことを聞かない。
うごうご、おれも虫。
いやアイン殿下放せばいいのか?。
俺に抱きかかえられたアイン殿下と眼が合う。
キューンと耳垂れた子犬が観てる。
放せない……!
横のバリエがため息をついて、マジックバックから槍を取り出し、ソレを支えに俺の腕を掴んだ。
俺とバリエの二人、立ち上がる。
済まん、バリエ。
飛び込んで来た衛兵は俺たちを誰何するわけでもなく無言で抜刀し、にじり寄る。
扉を守っていた衛兵はビビって横によけた!。
おおい俺らには槍を向けたくせに、そいつらも不審者だろう!
仕事しろ。
と
もしやこいつら側妃派か?
構えているとガンと後ろから体当たりしてきたものがいる。
コシガイタイ。
ちょっと待てよ! イキナリ抱き着くな!
ぎゅうぎゅう締め上げてくる敵意のない知り合い…。
「許して! ミネルバ卿にひっついていれば盾の範囲内だから! 」
俺を含めた護衛騎士3人とアイン殿下が眼を剥く。
俺の盾のスキルは滅多に使わない奥の手だ、アイン殿下とおもろい仲間達以外には秘密にしている、極秘案件だ。
前に使ったのは12人の刺客に襲われた4年前だというのに…何でこいつは知っている?
疑惑の元凶? 「猫! 喋ったのか」
マジ仲間の情報流すのヤメロ。
猫には冒険者時代にバレてるな。
「失礼にゃん! オレじゃないにゃ」
にゃんにゃんに腰が砕けそうになる、緊張感返せ。
「違う猫は関係ない、乙女ゲー…」
「口閉めろや」
殺意Maxでトビアス君を睨む。
今、非常事態、乙女ゲームの話はするな。
我ながらドスの聞いた低い声でついエリアス君の襟首をつかんでしまった。
「ワレ、それ以上口開けたらチャカブッコむぞ」
俺、今凶悪犯な顔してるぞ きっと。
非常事態だよ、気を使っている余裕なんかない!
乙女ゲーのイベントなのか知らんが後で聞く。
心の中で説明したが、自分以外ではわかるまい。
トビアス君が恐怖で真っ白になって固まる。
が、アイン殿下が状況も読まずに可愛らしく小首かしげて聞いてくる。
「チャカって何? 」
アイン殿下ぁ!
非常時なのに膝から砕け落ちそうなったその時、誰かが呟いた。
「王家の血筋に化け物は要らないのですよ」
低い、年寄りの声。
前方の衛兵達からか?
よく見ると衛兵達の眼付がおかしい。
アイン殿下と俺だけが顔を見合わせる。
他の連中には聞こえたか?
「今、ナニか言ったか? 」
「腹の音ですか? 」
「肉食べたいです」
「ミネルバ卿 恐いにゃん」
あわわ腰抜かしているトビアス君。
君なあ…。
口々に適当な事いいやがって。
「操ってるやつにゃん」
猫が顔洗いながら怖いこと言ってきた。
いや、お前なにやってんだ。
操られてる?
「会議場からここに俺たちを送って来たヤツか? 」
ロストテクノロジ―様か。
「全然違うにゃ 別モノにゃん」
ナニイッテンダと猫。
猫耳がピンと立っている 逆毛もたってる。
何故そこまでわかる? とういうか猫、珍しい警戒態勢。
こいつとは1年位冒険者パーティ組んだけど未だ謎!
「国王陛下に呪印を付けた者」
無表情に扉から入ってきたものたちを見つめるアイン殿下。
アイン殿下も怖いことブッ込んできた!
「殯宮で魔眼を使った時見えた紐。」
あの時。
「因縁とか執着とか色々絡まっていた中に呪印に繋がる紐があった」
一拍置くと息を吸い込む殿下。
「同じ紐が見える」
アイン殿下は前を見ながら目をつぶる。
「後方、3人」
俺も気配を探る。
後ろは玉座、居るのは多分宰相、陛下、公爵と…その後ろにもう3人。
こいつら?
「第一騎士団副長とその部下」
前方を向いたままアイン殿下は言いきった。
「陛下と公爵も金の散る魔眼持ちだよな」
ノイエクラッセ王家の血筋に現れるという、魔眼。
先王と王弟を人質に取られるとやばいな。
前方にアイン殿下暗殺団、たぶん。
後方に人質にされそうな先王陛下達と敵確定の第一騎士団。
俺は身体強化の為の魔力を溜める。
「俺が後ろに跳んだら宰相と陛下、公爵を巻き込んであの石を使ってください」
それは…と言いかけた殿下にたたみかける。
「ここで皆を守ってください」
一瞬目を見開いたアイン殿下がデフォルトの無表情に戻ってコクンと頷く。
「トビアス氏もこちらで守るから猫侍女、俺と一緒に跳べるか?」
猫侍女がうなずく、トビアス君がえっという顔をして猫侍女を見る。
猫侍女いい顔でご主人様にサムズアップ。
トビアス君、お前がソレ教えたのか(笑)
「タマ、お前なんで僕以外の命令を聞いている? 」
トビアス君、ちょっと情けない顔になってるが、この猫娘、タマっていうのか…。
ちょっと前世を思い出す。
トビアス君ちのタマ… まんまじゃねぇか。
「タマ貸せ」
ぎろりと睨んだわけじゃないのにビビられた。
コクコクと壊れたおもちゃのようにうなずく。
お前がビビるほど俺が何した、理不尽。
魔力が溜まった 仕事だ。
「タマ、ここから天井のシャンデリアを起点に俺は陛下達の後ろ、第一騎士団の前に出る、お前は陛下達の前に着地したら宰相は構わず陛下と公爵を拉致ってトビアス君の元へ走れ、出来るか? 」
こちらにもサムズアップするタマ。
よし!
宰相は常時俺らと行動を共にしているから拉致られる陛下方を見れば自力で判断して逃げるだろう。
俺はトビアス君の背中をバンと叩いた。
「しっかりしろ!」
へにょりんとするな! うきゃーとか叫ぶな。
「タマが二人を拉致って来たら即、バリエとバルトでかく乱、圧制、いいな」
OKとふたりが頷く。
「いざという時は殿下、盾をつかってください」
こくりと殿下もうなずく。
よし行くぞタマ!
タマって呼び名がちょっと可愛いけど仕方ない…。
第一騎士団副長から陛下方を奪取、騎士団も制圧。
玉座の横にニコライ陛下、オペル公爵 宰相がいる。
その後ろ、護衛が玉座の陛下を守る為に姿を潜ませる布の陰にそれはいた。
皮肉か。
第一騎士団の副長他、第一騎士団の数名。
会議場にいた第一騎士団全員ではない?
ニコライ陛下の眼が副長に向いている。
先ほどの呟きが聞こえたんだろう。
何か言い合っていたが、構うものか。
俺たち二人…一人はゴーレムだが、そのまま身体強化で天井のシャンデリアまで飛ぶ。 シャンデリアを起点にニコライ閣下の後ろに跳ぼうとしたら隣でガコン! と破壊音が…タマお前なに天井に刺さってるんだよ!
タマは天井に片手を刺してぶらんとしていた。
天井画の男神の丁度……リア充はもげた。
お前は普通に閣下たちの目前に跳べばよかったのに俺のまねをしようとしたのかにゃん?
天上に突き刺さったタマはブランブランを二回繰り返し、閣下らの前に落ち、イキナリ首ねっこ捕まえて二人を俵担ぎにして走った!。
…打ち合わせ通りだが早すぎて宰相が付いていけてない…。
頑張れ、宰相!
皆があっけに取られている間に俺も仕事しなければ。
トイッとシャンデリアを足場に第一騎士共の前面に立つ。
追いかけようとしていた所に俺が前に出現したために身構える第一騎士団。
追いかけて行かせるわけないじゃん。
ニヤリ。
来るか?
無言で剣を抜く第一騎士団モブ①。
殺意マシマシですな、敵認識でよろしいでしょうか?
ちらりと後ろを確認すると閣下方はアイン殿下と合流。
バリエの投擲雷攻撃で半数が沈んだ。
残りはバルトの特攻で片がつきそう。
あの体制ならもしもの時は盾の応用、バリアが効く。
アイルと合同研究で俺のスキルを丸めて石にして、誰でも魔力を流せば半径1メートルの半円形にバリアが作れるようになった。
石はアイン殿下とバルト、バリエ、宰相に渡した。
しかし問題もある、俺も含め盾として使用できるのは一人使用時に一回のみ、アイン殿下優先だと皆理解している。
因みに炎、爆風、水、風他物理攻撃には対応出来るが何故か氷だと凍る。
何故?
凍ってもバリアの役目は果たされるが中も凍り付くのが問題点。
しかし丸めて使える俺のスキルって…(笑)
などと愚考していたら攻撃された。
支給の騎士の剣とは違う幅広い刀身には多分ミスリルとかのお高い金属が配合されていそうな、魔力の通りの良さそうな装飾過多な剣、を力任せに上段から振りかぶってきたので…。
よけた。
避けたついでに足払いをかけ、振りかぶって来た勢いをそのまま利用して床にたたきつけた。
お貴族様仕様のお高い剣は俺が身体強化かけて踏みつぶしたらパキリと小気味いい音で折れた。
弱いな、大丈夫か第一騎士団!
色は違えど同じ騎士団なんだけどなぁ 一応。
第一騎士団は国王を守る盾、騎士の頂点…ではないのでしょうか先輩方?
〈王家の血筋に化け物は要らない〉とか? いや。
王家を守る騎士が何いってんだよ。
ノイエクラッセの金の散る魔眼は王族の証のようなものなのに。
第一騎士団のお前らが否定してどうするよ?
おまけに矜持だけで膨れた風船のように弱体化しやがって。
他の騎士団の憧れ、強さと守るものへの矜持をかける白色騎士団は何処行った!
ガッカリだよ。
俺の憧れを返せー!
二人目はムカついたので剣を合わせる間もなく掌底で沈めた。
ふっざけんなよぉお!
側妃の一党に食い荒らされやがって。
金の髪、青い目 白い肌。
北にあるその国は伝承にあった国が砂漠に呑まれた時、国土の半分を道連れにされた。
そのせいか、自国より歴史が長く、厄災時無傷で魔法や魔道具が発展しているこの国への当たりは強い…。
なのに。
貧しい自国より魔道具が発展しているこの国の方が住みやすいからか、この国の貴族との婚姻するものは多いと言う。
いいとこどりで自国に取り込みたい為の足場作り為なのか。
プライドの高い貴族や王族が幅を利かせ、税金が高く平民には生きにくい国と、冒険者や商人たち、移動できる平民からは嫌われている。
国土は貧相な上、選民思想なのか魔力を持ったものは狩られ殺される。
王族に魔力があるものが出ない為、魔力という力は忌み嫌われる。
なんだかなぁ。
だったら魔女狩りなんてしないで自国で魔道具開発すればいいのにと思うが。
第一騎士団副長は金の髪に青い目、白い肌と某国の特徴を備えている。
選民思想や魔術師嫌いも同じ。
剣の強さや魔力は不明。
確か側妃の家繋がりで国王陛下が雇用したんだっけ?。
まさかその筋肉も矜持と同じハリボテではあるまい?
そして金の散る魔眼を持つアイン殿下、ツヴァイ殿下を忌み嫌っている。
ので、ぶっとばす!
「かかってこいや ワレぇ」
掌を上に、コイコイと振ってみる。
あしらわれて真っ赤になった第一騎士団副長が剣を掲げて突っ込んで来る。
ワキが、がらあきだぜ!
猪のように猪突猛進してくる第一の副長、ブンブン刀を振り回してくるが太刀筋は大したことないようで右に左に避けながら横手に回って腹に蹴り入れて横倒しにする。
蹴り一発で横倒しにされるなよ!
そのまま剣を蹴り上げ、顔面に蹴りを入れて終わり! と思いきやまだ突っかかってこようとするのでここは騎士の正しい心の折り方、多分私物のお高い装飾過多な剣を蹴り上げ勢いで叩き折った。
騎士はいろんなもん剣に捧げるから、コレやられると心折れる。
ざまぁ!
とりあえず呆然とする第一の副長の意識を絞めて狩る。
俺の脳内に前世で抗争に出る方々のBGMが流れている。
「テッペンとったで」と、俺の中の人が叫ぶ。
「リーダー最低」
はい?
「騎士の魂をへし折って高笑いとは鬼畜の所業」
はいい?
「小鬼かな鬼かな? 」
いや、なんで…。
「テッペンって何?」
「一番位の高い地位でしょうか…」
「王様? 王様になりたいの?」
いえ? そんな気毛頭ありません。
「そうだ、僕らの代わりに王様になってよー」
マジ待って!
きゅう●いがいるよ、にっこり天使の微笑みで、魔法少女じゃなくて王様になれって誘ってくるよ!
気が付くとこの部屋にいる全員の視線を集めていた。
味方にドン引きされてる…。
扉前の衛兵、まだそこで震えているのか! 役に立たないな。
そして大分疲れの目立つ二兄と一兄とその一党が出入り口付近で呆然としている。
「よんは王様になりたかったのかい? 」
優し気な一兄の言葉の棘がぐさぐさ刺さる。
「それはノイエクラッセ王家から我がミネルバ家に王位継承権が移ると言うことだぞ?」
二兄がわけわからないことを言いだした。
「古の盟約により我が叡智と森の女神ミネルバとノイエクラッセの女神、正義と公平の女神ジャスティスとの王権の交代を進言するか? 」
兄貴?! 何言ってんだ!
ふと疑問。
この世界、乙女ゲーム寄りだっだよな…?
王権が交代したら俺が乙女ゲームの攻略対象?
はっ! いつの間にか乙女ゲームから逸脱しておりました。
でも、ミネルバ卿が楽しそうだからいっかー!
最難関攻略対象からテッペン取っちゃった護衛騎士に王様交代か! 次回、何ゲーになってるだろう?




