◎不夜城 真夜中に会議は踊る① 地下迷宮で〈サバイバル〉
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Noli me tangere ルビ付けようとしたら拒否られました…何故! 文字数多すぎ! しゅん:(;゛゜'ω゜'):
ラテン語の有名なセリフだそうです
◎夜の子供 Noli me tangere①
はい、第一王子、アイン ドンナー ノイエクラッセ殿下の護衛騎士を務めております ディオーレ ミネルバと申します。
東部辺境伯四男、一応騎士爵を賜っております。
今、トイレから出て来たオペル公爵に付いて隠し地下通路行軍中です。
侯爵閣下は別にアイン殿下のトイレでわざわざ用を足していたわけではありません トイレのかくし通路からお出ましになられました。
ナニヤッテンダヨ…。
二人並んで通れる隠し通路…コレが終わったらお部屋チェックですね、オペル公爵に付いて隠し通路入った時、戦闘メイドのライラー女史がヤバい顔でお見送りしてくれました。
オペル公爵、あんたもわざわざ非常時でもないのに隠し通路使って来ないでください、普通に扉から来てくださいよ。
…タノミマスヨ。
オペル公爵とその護衛騎士、俺らのアイン殿下とその護衛騎士3人。南の辺境伯惣領と、第二王子のツヴァイ レーゲン ノイエクラッセ殿下、南の辺境での護衛騎士3名。
宰相…、と大所帯で秘密の隠し通路進んでます。
秘密の隠し通路…、もう秘密でもなんでもないでしょう(笑)。
総勢12名で狭い、埃っぽい、暗い抜け道を歩いております。
「南のエリアス君らは与えられた客室から転移陣で目的地まで行ってほしかったんだけどなぁ」
南の辺境伯家専用の部屋というのがあって隠し移転陣や通路があるらしいのですが…側妃派の貴族たちが使っています。
南との盟約や移転陣はバレていないようですが悪用されたら大変だそうです。
黒メガネに黒い魔法使いのような服装、長い癖毛の髪を後ろで一纏めにしたおっさん、道中良くしゃべる喋る…けど。
おっさん、この暗がりでその黒メガネは見えなくね?
「流石ですね トイレの抜け道を利用してやってくるなんて」
エリアス氏、ヒトゴトのように笑うが疲れているのか言葉にトゲが見える。
「アイン殿下の離宮は東の辺境伯家の手が入っているから隠し通路が使えるかひやひやでしたよ」
嫌味か閣下。
次、無事に使えると思うなよ(笑)
王城の地下には古い時代の遺跡が縦横無尽に走っている。
聞いた時、前世のミノタウロスの迷宮、アリアドネの話を思い出した。
糸車は…ないな、地図をマーキングするような魔道具があったはず。
誰かマップ作ったのだろうか?
「古いもので一部しか分からないし…他に踏み込んだら出てこれないから注意して」
想像以上にやばかった!
そんな所を隠し通路としてよく使う気になったな。
それで大人のこのへっぴり腰。
アイン殿下は子供とも思えないような足取りで暗がりを歩いている。
ツヴァイ殿下も、魔眼の力で見えるのか?
…分からないから平気なのか…? 子供恐い。
大人たちのほうが足元がおぼつかないのか、普段よりおっかなびっくりでゆっくり歩いている。
子供でも追いつけるスピードだからか。
抱き上げられないのが良いのか子供達は楽しげだ。
てか、普段から子供の足に優しく無いスピードで歩く大人どもよ、俺含めて反省な。
しかし……。
「宰相、眉間の皺が渓谷のようになっているぞ、顔色も紫色ぽいし…もう医務室に行け」
アイン殿下の横に付く宰相が虫の息なんすけど?
「大丈夫です、この中にアイン殿下とツヴァイ殿下を残していきたくありません」
宰相、死相が出てもこのカオスな状況に殿下達を置いて行きたくないらしい。
わからんでもない。
大丈夫、いざと言う時はこの東の辺境伯家謹製のエセエリクサーが……。
三兄に使用後のレポート頼まれてんだよな…はあ。
「ごめんねぇ 兄貴から君たちとアイン君、ツヴァイ君、宰相をこちらに招待と言われて連れに来たんだ。」
へらっと言い訳をするオペル公爵。
「ちゃんと扉から入って来ても良いのでは?」
皆、アイン殿下に失礼だよ。
通気口からだのトイレからだの…。
護衛騎士としては警備の穴を指摘されてるようで根に持ってます。
「側妃派の手の者が面倒なんだよ」
向こうも第三王子を擁立させるため先王と公爵を取り込みたいのだろうが…。
その前に側妃と第三王子に勉強させろよ!
ため息。
「辺境伯家の客間の話もしないと…」
オペル公爵、真面目に頭痛めている。
言動が胡散くさいしチャラい感じなのに。
「辺境伯にはそれぞれに王都に来た時に滞在するよう専用の部屋が用意されるのは建国以来の約束事なんだよね」
そいや昔は東の辺境伯家にも用意されていたなあ。
子供の頃、親父達が王城泊まるの面倒くさいとか言ってた、今は王都の端にタウンハウスを持っているので気楽とも。
酒と移転陣はちゃっかり用意してあるから不足はない。
「代々の辺境伯家が使っている専用客室が…」
今は国王派の貴族が常駐してます。
警備の為入った事ありますが、見る影もなくギンギラギンでした(笑)。
「国王陛下と側妃様が辺境から来るような田舎者には専用の客室などいらんと言われたが?」
南のエリアス氏談。
「あ、ミネルバ家も言われて取り上げられた? 」
はい。
「多分北のも取り上げられているんじゃないか?」
北部辺境伯とは現王即位以来、中央とは没交渉になっているから現状知らんのでは?
北の厄災から五年、税金免除もそろそろ終わるだろう。
……そろそろ来るんじゃないか? 北の熊嵐が。
なー、なあーと南の惣領と頷きあっていたらオペル公爵、死んだ魚の眼になっていた。
「正直な話、北の熊嵐怖いから国王勘弁してください」
オペル公爵、王位はいらんらしい。
現状、王位継承権第二位、一位はアイン殿下。
いや、そんな怖いものアイン殿下におしつけないでください!
「第三王子に国王になっていただけば…」
「外交で地雷踏みまくってこの国更地になるんじゃね? 」
あの親子だ…。
「あの親子が国を取ったら国庫が空になってクーデターに一億万エルド」
「きゃっはーした隣国が傀儡政権にするのに十万エルド!」
なんだそりゃ。
「辺境伯関係でこれほど地雷の上でダンス踊ってるんだからこの国に先はないな」
王弟自ら言いきってしまった。
「辺境伯が侯爵以上の身分が保証されているのは、この国の国境を守るという大義がある為で、いざという時、緊急事態の対応の為に王城内に特別な部屋を用意されている あの部屋には辺境と王城を繋ぐ転移陣もあるのに…移転陣は辺境伯家の血筋の者と王家の血筋の両方が揃わないと開かないが、悪用されたらコトだよ、内乱にも侵攻にも使える」
知らんがな。
そういう話は親父と兄貴とでやってくれ。
って…無責任に言えたらいいよな。
「知らないって怖いよな」
ぶつぶつ文句を言っているオペル公爵。
だんだん気配が疲れてきている…まあこんな薄暗い地下道歩いているんだから。
反対に何故かアイン殿下は元気になっている。
闇の子供の面目躍如…しなくていいですよ。
ツヴァイ殿下とコソコソ耳打ちしながら楽しそうです。
こんな中でも楽しめるなら人生楽しいよ?
「子供は冒険とか好きだからなぁ」そんな王子様方を見ながらバルトがぼそりと呟く。
確かに、普通の子供なら。
不夜城と呼ばれるノイエクラッセの王城には夜も昼と同じ位人が働いている。
流石に貴族は少ないがすれ違いざまに舌打ちされることもある。
自国の王子に対して。
すれ違う人々、侍女にすら眉を顰められ、コソコソ悪口雑言吹聴されるのは後ろで見ていて気持ち言い訳ない。
何度も不敬罪で首飛ばしてやろうかなと思う位ムカついた。
「地下は人がいないし、仕掛けられた魔法陣に注意していけば王宮内を歩くより楽」
アイン殿下の言に誰も答えられない。
殿下、地下通路使ったことがあるのですか?
「最下層の迷宮に潜ればお肉もあるし」
は?
「魔獣のドロップ品を冒険者ギルドに持って…はいけないが換金を冒険者に頼むことは出来た」
ちょっとまてい!
王城を囲む湖の城の対岸に大迷宮の入口があり、そこに冒険者ギルドの出張所もある…が、王城とは関係のない遠い所の迷宮なんじゃないか?
何で外出たコトの無いアイン殿下が詳しい?
「いや、迷宮地下で繋がっている」
アイン殿下爆弾発言。
さっき迷ったら出て来れないとかなんとか…。
「湖の下、王城地下含めての大迷宮だ」
宰相、オペル公爵、南のエリアス氏、愕然! 俺ら護衛騎士一同顔色なくなってる。
聞いてねぇ!
「このまま潜っていけば迷宮で冒険出来るんですか?」
眼がキラキラしているツヴァイ殿下、男の子。
「うん、大分深く潜るし歩くけど」
事も無げに言いますが、アイン殿下 それは誰も知らない新発見では?
「王宮の図書館の奥の誰も寄らない未整理の古書のなかに記録があったから先王ならもっと詳しく知っていると思う」
マジか!
宰相の顔色が紫を通り越して白くなっている。
倒れたらバリエに運ばせよう。
「王宮地下には何重もの結界が貼られているし深層は深すぎるからスタンピードとかの魔物の暴走は影響ないと思う大丈夫だよ」
なんで知ってるんですか、まさか?
「ただ、王宮地下から迷宮に向かうとダイレクトに最深部のボス部屋に行くから気を付けないといけない」
「ちょつ…アイン君、なんでそんなに王宮地下に詳しいの!」
俺より先に聞きたい事オペル公爵に聞かれてしまった…流石に余裕なくなっている。
嫌な感じがする。
前にもあった 魔力が満ちてピリピリする感じ。
振り向くことなくただ淡々と質問に答える殿下。
いつの間にかオペル公爵を追い越して先頭を歩いている。
殿下の身体能力では大人を追い越せない筈なのに…。
殿下が知らない筈の地下通路だと言うのに。
ふと、冒険者時代に聞いた噂を思い出す。
迷宮の奥に魔力の高い魔法使いを長いこと閉じ込めていた国があったそうな
迷宮の富を魔法使いに探させ、働かせていた。
が、その国は迷宮に閉じ込めていた魔法使いに滅ぼされた。
変異し、異形のものになり果てた魔法使いたちに……。
「母上が亡くなって誰もいなくなって…食べるものがなくなって本で読んだ迷宮に潜った」
…3歳の子供が?
「最初は出逢った冒険者に頼んでドロップ品を換金していたが、ぼったくられて余り金にならなかった」
アイン殿下の後ろ姿が、全てを拒絶しているかのように前に進んで行く。
宰相が片手で顔を覆った。
宰相は打ち捨てられていた殿下方を最初に発見した。
アイン殿下はやせてボロボロだったがツヴァイ殿下は普通の子供だったそうだ。
その時のことを思い出したのだろうか?
「最低限のミルクや食料は買えたから気にしないようにした」
もくもくと、前だけを観て歩くアイン殿下。
とうとう全員の足が止まった。
皆の足が止まった事が疑問だったのか、振り返ったアイン殿下の、眼帯をしていない眼は赤く光って金が溢れるほどに散っていた。
魔眼が発動している。
鉱石のような魔石のような…。
人の意を否定するような硬質の赤。
息を呑んでしまった。
夜の子供。
闇の王子。
アイン殿下を否定し嘲笑う、この城に集う有象無象の言うことなど聞く意味はない、と思っていた殿下の呼び名。
しかしこの場にいるアイン殿下は、正に闇の王子という形容が正しく殿下を表しているように見えた。
冷徹の天才、赤に金散る絢爛の貴公子……。
アイン殿下に手を伸ばす、が。
俺が手を伸ばすより先んじてツヴァイ殿下が動いた。
ツヴァイ殿下が勢いよくアイン殿下にしがみつくと、吃驚したような顔のアイン殿下の瞳から金の光が消えた。
思わず屈みこんでしまった。
間に合ったのか?
屈んだまま顔をあげるとアイン殿下と眼があった。
両手で二人の頭を同時に撫でるとアイン殿下が不服そうな瞳で俺を見て一言。
「不敬」と呟く。
ああ、いつもの殿下だ。
「お腹すきましたね、早くニコライ陛下の用事を済ませてごはんにしましょう」
右にツヴァイ殿下、左にアイン殿下を抱き上げた。
ツヴァイ殿下は普通に弟を抱き上げた時の子供の重さだったのにアイン殿下はそれよりも軽かった。
護衛対象を守っている時に騎士が剣を持つ手を塞いではいけない、と騎士学校で習ったが、いざとなったらこの身体で二人の王子の盾となるから許して欲しい。
二人のぬくもりが生きていると訴える。
此処はゲームでも作り物の世界ではなく、此処に生きる者たちの現実なのだと。
ツヴァイ殿下は南国の花のような香りがするが、やはりアイン殿下を抱き上げると一瞬、血の匂いがする。
多分俺の中の記憶の幻、前世で事件現場で巻き込まれた放置子の死体を見たことがある たぶんその時の記憶を思い出すのだろう。
俺が殿下方二人を抱き上げると、それを合図のように大人たちは足を進める。
誰も喋らない。
「子供二人は重くないか? 」
アイン殿下が済まなそうな顔で覗き込んでくる。
「俺の大胸筋舐めないでくださいよ? 自慢の雄っぱいです」
「いや、そこは上腕二頭筋じゃね? 」
バリエがツッコむ。
ふっと空気がゆるむ。
身体強化をかけているので何処でも一緒のような気がするがバリエの自慢は短槍を投げるために鍛えた上腕二頭筋。
アイドルグループのリーダーっぽい顔してお前も脳筋か!
てか、脳筋じゃないと護衛騎士など務まらない。
オペル公爵の護衛騎士を先頭に公爵、宰相、真ん中に殿下方とアイン殿下の護衛騎士の俺ら。
その後ろに南の辺境伯家総領のエリアス氏とその護衛騎士…。
足早に進んで行く。
「兄上、面倒なことが終わったらこれとお揃いの服と防具作りませんか?」
ゴソゴソしてるなと思ったら懐からアイン殿下のバトルフィギュアを取り出した。
何処に入って……マジックバッグか! 南の辺境伯、ツヴァイ殿下にマジックバッグ持たせてたか。
俺ら護衛騎士も支給のマジックバッグ持たされてるけど、普通に買うと阿保のように高いんだよコレ。
服の内側から出したってコトはバッグ型じゃない、空間収納型? お幾ら億エルド?
くっ…流石流通を支配すると言われる南の辺境伯、金持ってんな、と言うか愛されてますか? ツヴァイ殿下。
「兄上が12歳になって魔力鑑定したら冒険者ギルドに登録出来ますよね、そうしたら僕をバディにしてください」
ゴブっとエリアス氏が変な所を咳き込んだ。
「お揃いの衣装で地下迷宮を攻略しましょう! 」
キョトンとするアイン殿下。
「バディって何?」
「ギルドカードを持った冒険者と一緒なら登録出来ない年齢でも一緒に冒険出来るそうです」
「親子や兄弟で一緒に冒険したい人達が登録するそうです」
…いやそれは片方が銀ランク以上で、ギルドで認定が必要なある種の徒弟制度。
大体殿下方は王族でアイン殿下は国王候補なんですけど…。
「それまで私が生きていたら考……」
苦笑いで応えようとするアイン殿下のおでこにアイアンクロー!
「ぴきゃ?」
アイン殿下の口から聞いた事ない可愛らしいお声が!
ハシビロコンドロールの雛のように己のデコを掴んだ俺の掌をパシパシするが、ハハハーン 痛くなーい。
ツヴァイ殿下の方はいきなり締め上げられて無茶苦茶暴れてくる。
アイン殿下のフィギュアでパシパシ叩いてくるが痛くなーい、ハハハハハーン。
突き当たりのドアのような壁を護衛騎士と二人で押し開けようとしていたオペル公爵は騒ぎに振り返って固まった。
その隙間!
俺はラグビーのゴールに突撃するかのように、その半開きの扉の向こうに飛び込み、正面の円卓に殿下達を優しく(当社比で)置いて両手を上げた。
ゴーール!
幻のスタジアムの歓声が聞こえた様な気がした。
アイン殿下、暴走?
次回、ミネルバ卿同郷の転生者に会う。
話が微妙に合わないだと?
昭●と平●の間には暗くて深い闇があった
なのに令●生まれの転生者だと?
次回も転生サービス サービスぅ?




