表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

◎不夜城 夜 国王というアイコン③

俺のターン!(かぼちゃパンツ談)

残念だな、俺たちの出番だ(マジックバッグ談)

くっ! 俺にも無限収納力があれば…。

ナニを収納するんた?

だからナニを……。


説明多いので短めにしました。 お楽しみ頂ければ幸いです。


 ◎マジックバッグの便利な使い方。


 アイルは真顔だった。

 「如何なさいますか? アイン ドンナー ノイエクラッセ殿下」

 

 「アンデット化する前にかぼちゃパンツ、履かせますか?」

 

 かぼちゃぱんつから離れてくれ。

 

 殿下、もそっと動く、俺と目が合う どうやらいち早く豆腐脳から脱出したらしい。

 頭に手をやって何かもそもそしてる?

 「私の眼帯外してくれ」

 

 「え?」

 今もそもそしてたのって眼帯外したかったのか。

 アイン殿下は不器用ではない、ボタン掛けも眼帯の金具を外すのも時間をかければちゃんと出来る。

 けど、その時間がない。

 子供が歩く速さより大人の歩く速さに合わせる為に抱えられ、子供の動作では遅い着替えも大人のスピードに合わせて着せ替えられ、本来子供にさせない判断を求められる。

 いい大人に。

 

 眼帯を外すと聞いて、ものすごい顔で殿下を見る宰相、まだ豆腐脳から脱却できていないらしい、宰相にしては動きが鈍い。

 宰相の代わりに確認する。

 「殿下、それは不味くないですか?」

 俺を上目遣いで下から見ている姿は可愛いけど

  殿下、その眼帯の下は

 

 魔眼

 

 ですよね?

 

 

 ノイエクラッセ王家の家系は眼に特徴が出る。

 

 《虹彩に金が散る》瞳

 

 王家の一族は時折、花びらのように虹彩部分に金色が散る瞳を継承している者が出る。 

 第二王子は弱視ということになっているが両目が銀で金が散る魔眼持ち、上位鑑定眼。第四王子は魔眼ではないが緑に金が散る虹彩 そして第一王子は左が赤に金、右が光彩のない銀の眼、王家の記録にある歴代の魔眼持ちの中でも最上位の能力だと云われる。

 

 が、本来なら敬われる処なのに阻害され邪険にされ、魔王の邪眼ともいわれている。

 

 アイン殿下の魔眼に係ると不幸になる、呪われる、邪な取引で手に入れた邪眼などと、ろくでもない噂が王宮内、貴族達に流されている。

 子供同士の交流もお茶会も参加したことない。

 離宮に監禁され、王宮図書館の執務室で仕事漬けの子供の何を見ている?

 10歳児童が(かかわ)る邪な取引って何すか?

 噂の根拠も何もアイン殿下は小さい頃から眼帯で魔眼を封じているのに。

 

 生まれて眼を開いたその時から否応もなく。

 

 因みに国王陛下、第三王子、第五王女にはこの《金が散る瞳》は継承しなかった。

 

 「あーバリエ、外の衛兵に伝達、これからアイン殿下の許可が出るまで誰も通すなと、皆も壁際まで下がってくれ、バリエとアイル魔装工兵は皆の護衛、俺と宰相は殿下の護衛に専念する」

 「誰も私の視界に入る位置に立つな これは命令だ」アイン殿下が皆を牽制する。

 視界に入った奴は自己責任で魔力酔いに対処してくれ、呪われはしないから。

 アイルがワクワク顔で他のメンバーを壁に押し付けている。

 いつのまにかアイルもアイン殿下の護衛の一部に入っていた。

 猫だから気まぐれに懐に潜り込むのが上手い。

 あ、こらああ! 全員壁に貼り付けたからってこっち来るな!

 「魔力酔いするぞ横に立つな」

 「…噂の魔眼を使われるのですよね?」

 神官、アイルを押し除けてなんかキラキラした眼で殿下を見てる…こいつヤバい奴か? 魔術師によくいる魔術オタクか!

 押し除けられたアイルが再度逆襲、壁に貼り付けている、が 魔術師のおっさんもこっち近づきたそうにしている…ヤメテ魔術オタク共め!

 オッサンはバリエが壁に貼り付けている。

 何度もふらふら殿下に近づこうと抵抗するのでバリエがうんざりした顔になってる。

 どんなに倒しても襲ってくるゾンビ映画のゾンビのようだ。

 「あんまり近づくと本当、魔力に当てられて魔眼どころじゃないすよ? 吐きますよ?」

 いや?

 魔力酔いになっても自業自得で良くないか?


 おっさん興奮気味でマジックバックをつきだす。

 「コレに入れるから大丈夫!」

 入れるんかい!

 モノじたい珍しいし高価なマジックバックを●ロ袋にしてでもアイン殿下の魔眼を見たいのか!

 アイルと神官も興奮気味にマジックバックを持ってるから大丈夫だと見せつけて来る。

 アイルもゾンビに汚染された!バリエ一人では対処できない…だめだこいつら。

 「雷魔法で沈めちまえ!」

 「もうやってます!」

 そういえば先程から青い小さな発雷が……それでも止まらないか!

 

 アイン殿下、赤い顔して鼻膨らませてマジックバックを突き出す大人たちにげんなりしている…すみませんダメな大人ばかりで。

 仕方ないので宰相と二人で壁になり、アイン殿下を隠す。

 なんかブーイングが聞こえてくる…。

 俺が抱えて宰相が慣れた手つきで眼帯の金具を外す。

 眼帯を取ったアイン殿下の右目には銀に金の魔法陣が浮き、それが幾つも重なり書き換えられ目まぐるしく変化している。

 魔法陣の図が対象である国王陛下を潜水艦のソナーのようにサーチしている。

 自然に作られた眼ではない、何か意図があって作られて精工なからくりの義眼のような瞳。

 水面に落ちた水滴の波紋のように何度かこちらにも魔力の波が来たので俺の固有スキル《結界》を張ってしのいだ。

 俺の結界は不可侵にして魔力、物理、精神攻撃さえ遮断する。

 固有スキルらしく自分しか使えないし誰も原理がわからない魔法、では何なんだろう。

 その上、自分の周り三センチ位を覆うようにしか張れない、が俺と接触さえしていれば結界の効力が移り対象も保護される、護衛するには便利な()

 あーボーナス特典みたいなモノかな?

 ということで、隣の宰相閣下に結界を使うには足を犠牲にしてもらおう。

 俺は隣の宰相の足を踏みつけて宰相にも結界を張った 踏みたくて踏んでる訳じゃないよ? ぐりぐり。

 足踏んだら宰相めっちゃ睨んできたけど、魔力酔いでべろべろになるより良いでしょう、俺 偉い!

 暫くして、殿下がカクンと首を垂れる サーチの魔力が止んだ。

 「大丈夫ですか? 殿下」

 偉いぞー、よく頑張ったなぁ。

 言葉の裏を感じたのか、俺の言葉かけに不服そうな顔を向けてくる。

 ちょっと眠そう。

 魔力切れは起こしてなさそうだ、疲れただけか? 体力ないもんなぁ、10歳だもんなあ。

 アイン殿下は10歳にしては小さい、離宮に放置されていた時期に碌な栄養が取れなかったらしい、弟に少ない食事のほとんどを渡していたとか…何処の飢饉の現場だよ。

 ぐりぐり殿下の頭をなでるとぼそりと口を尖らせ「不敬」と不服そうに呟いた。

 あー、弟の小さい時みたいだ、可愛いなあ。ぐーりぐりぐり。

 後ろが静か。

 振り向くとホントにマジックバックを●ロ袋代わりにして魔術オタク共が果てていた…。

 何度も高濃度の魔力がソナーの様に飛んで来たんだ俺たちの真後ろか壁まで後退しないとそうなるよなあ。

 バリエとアイルは壁に張り付いていて大丈夫そうだ。

 宰相にぐったりした殿下を渡し、肩にかけていた風呂敷…じゃないマントをアイン殿下にかける。

 はぎ取られた国王陛下の布も元通り首までかけた、ちょ! 陛下の身体の模様増えてるよ。

 俺は何も見なかった、気がついてもどうしようもないから。

 そして扉の向こう側、微かに揉めている気配がする。

 「扉の外に衛兵以外7人いる」殿下が簡素に伝えてきた。ソナーの余韻で扉の外までスキャンしたか。

 7人かぁ 嫌だなあ側妃じゃなきゃいいけど…。

 壁に張り付いて避難していたバリエに合図を送り俺たちは扉の前に。

 アイルは殿下の側、マジックバックからポーションを出して渡している……?

 ちょっと待て! お前そのマジックバック●ロ袋にしてなかったか? してたよな?


 マジックバッグにも色々ある。

 ただ容量が多いもの。

 旅行カバン一個から家一軒収納可能なもの。

 状態維持が出来るもの。

 分別機能付きのもの。

 そこまで出来るモノは値段が国家予算クラスなんだが…。

 持ってるのか? アイル、昔から思ってたけど得体が知れない()


 よそ見してたらバリエが定位置についた。

 「野朗と手繋ぎは嫌だなぁ」

 俺も可愛い娘と手繋ぎしたい。

 だか、手を繋いで結界を張った方が肉壁になる。

 何度も思うが、所詮護衛騎士なんざお偉い方々の肉壁なんだよ! ちょっとやさぐれてるのは先程の幻聴のせい。

 扉越しに衛兵に確認、アポ無しだが身元確認完了。


 え?

 騎士が五人、車椅子の老人が一人、それを押す男性が、一人 執事や使用人ではない貴族。

  扉が開く。

 さて、問題です。

 法律では継承権第一位のアイン殿下、継承権放棄した元王弟、前国王陛下、誰が一番身分が高いでしょうか?


「王子サマ、三半規管が弱いのストレスじゃない?」

「10歳児童のストレス……」

「たまには自由に遊ばせてアゲなよー」

「自由時間は読書か第二王子の何処…」

「ノイエクラッセ七不思議、図書館の子供の幽霊…」

「あ、図書館館長(猫)とたまに遊んで昼寝してる」

 その姿に周りの大人もほっこり。

「もしかして館長(猫)が一番子供に優しい大人か?」

 何人か膝から崩れ落ちた。

 

 次回、三半規管に優しいない大人、来襲。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ