第6話 説明書を読まずに合体したら、敵艦隊百隻分の火力が出た
第6話 説明書を読まずに合体したら、敵艦隊百隻分の火力が出た
宇宙船同士の合体に必要なものは何か。
精密な軌道計算。
接続部の同期。
機関出力の調整。
そして、数千項目に及ぶ安全確認。
決して、勢いではない。
ましてや、説明書を読まずに一番大きなボタンを押すことではない。
だが、俺の息子レオは押した。
金色に輝く、最も目立つボタンを。
《強制最終戦闘形態、起動》
《艦隊殲滅モードへ移行します》
無機質な機械音声が、艦内へ響き渡る。
レオは船長席で腕を組み、満足そうにうなずいた。
「ほら見ろ。正解だった」
「結果が出る前に正解と決めるな!」
俺たちの正面では、敵艦五十隻と要塞砲百二十門から放たれた光線が、宇宙を埋め尽くしていた。
そのすべてが、《アルバトロス号》へ向かっている。
『着弾マデ、四秒』
ゼロイチが報告した。
「合体を中止して回避しろ!」
俺は命じた。
『拒否シマス』
「なぜだ!」
『強制合体中ハ操艦変更不能デス』
「誰が強制合体を選んだ!」
三体のアンドロイドと老人五人、マリアが一斉にレオを見た。
「俺を見るな」
「お前以外に誰がいる!」
『着弾マデ、三秒』
《アルバトロス号》は、巨大ドッキングステーションの中央へ一直線に突入していく。
接続ベイの開口部は、船体よりわずか十メートル広いだけ。
この速度で少しでも軌道がずれれば、合体どころか正面衝突だ。
「少し右だ!」
レオが叫ぶ。
『左ヘ〇・七度補正』
ゼロイチが逆方向へ操舵する。
「もっと上!」
『下ヘ三メートル補正』
「減速しろ!」
『最大加速』
「なぜ全部反対にする!」
『生存ノタメデス』
「船長命令を尊重しろ!」
「尊重したら全員死ぬ!」
俺とゼロイチの意見が、完全に一致した。
『着弾マデ、二秒』
《アルバトロス号》の船体が、接続ベイへ飛び込む。
左右の装甲との隙間、三十センチ。
上下の隙間、十八センチ。
ゼロイチは一秒間に一万二千回の軌道修正を実行していた。
レオは船長席で腕を組んでいるだけだ。
「完璧な操船だな」
「お前は全方向を間違えただけだ!」
『着弾マデ、一秒』
接続ベイの奥で、数百本の巨大アームが展開。
《アルバトロス号》の船体を固定する。
同時に、ドッキングステーション全体を包む防御障壁が起動した。
敵艦隊と要塞砲から放たれた光線が、一斉に着弾する。
宇宙が白く染まった。
◇
一瞬、すべての視界が消えた。
音もない。
振動もない。
ただ、まばゆい光だけが艦橋を覆っていた。
やがて光が薄れ、外部映像が戻る。
《アルバトス号》の周囲には、半透明の巨大な球状障壁が展開されていた。
五十隻の艦隊と百二十門の要塞砲による一斉射撃。
そのすべてを受け止めても、防御障壁の出力は九十八パーセントを維持している。
船体の損傷は、ゼロ。
塗装さえ剥がれていない。
敵艦隊から、驚愕の声が飛び交った。
『全弾、直撃したはずだ!』
『防御障壁を突破できません!』
『損傷反応なし!』
ドラクの顔から笑みが消えた。
「何だ、あの船は……」
正確には船ではない。
専用ドッキングステーションと合体した《アルバトロス号》は、一隻の超巨大戦闘艦へ変わろうとしていた。
左右から巨大装甲が展開。
船体を何層にも包み込む。
後部では、ドッキングステーションに内蔵されていた十二基の超高出力エンジンが接続。
上部と下部からは、山脈のような砲塔群が次々と姿を現した。
全長百キロメートル。
通常戦艦の百倍を超える巨体。
俺が生涯をかけて建造した、究極の宇宙海賊艦。
だが、合体完了を示す表示は九十九パーセントで止まった。
『警告』
ゼロサンが報告する。
『第七接続部ニ異物ヲ検出』
「異物?」
俺は船内構造を調べた。
接続部を塞いでいるのは、レオの船長室。
正確には、船長室の壁からはみ出した巨大な機械だった。
等身大美女ホログラム投影装置。
その一部が接続口に挟まり、完全な固定を妨げている。
「レオ!」
「俺は悪くない!」
「まだ何も言っていない!」
「親父がその顔をするときは、だいたい俺を怒るときだ」
自覚はあるらしい。
「なぜ投影装置が壁からはみ出している!」
「大型化したほうが映像に立体感が出る」
「船の機能を妨害してまで美女を立体化するな!」
『敵艦隊、第二射準備』
ゼロイチが警告する。
合体が完了しなければ、主砲も推進器も使えない。
接続部へ人を送る時間はない。
そのとき、マリアが巨大なおたまを持って立ち上がった。
「まったく、しょうがない子だね」
厨房の床が開き、緊急整備用通路が現れる。
マリアは迷わず飛び込んだ。
二十秒後。
船長室の方向から、激しい打撃音が聞こえてきた。
ガン!
ガン!
ガン!
ホログラム投影装置が、おたまで接続部の奥へ叩き込まれていく。
「壊れる!」
レオが悲鳴を上げた。
「今心配するものはそれではない!」
最後の一撃。
巨大投影装置が接続口から押し出され、格納庫へ転がった。
『異物、除去』
『全接続部、固定完了』
『合体率、百パーセント』
艦内照明が金色へ変わった。
《最終戦闘形態、完成》
装甲表面を黒と銀の光が走る。
数千の砲門が展開。
超小型高出力エンジンと十二基の補助機関が同期し、宇宙空間そのものが震えた。
操縦卓の中央へ、艦名登録画面が表示される。
《最終戦闘形態の名称を入力してください》
レオの目が輝いた。
「スーパー・レオ号」
「却下だ!」
「では、グレート・レオ号」
「もっと却下だ!」
「レオ・ザ・ギャラクシー」
「お前の名前から離れろ!」
俺は船長権限へ割り込み、設計時に登録していた名称を入力した。
《超弩級宇宙海賊艦アルバトロス・レイヴン》
正式名称が、全モニターへ表示される。
レオは不満そうに口を尖らせた。
「地味だな」
「お前の案より百倍ましだ!」
◇
「全艦、撃ち続けろ!」
ドラクが叫ぶ。
「合体直後を狙え! 動き出す前に沈めろ!」
敵艦五十隻が砲撃を再開。
要塞砲も次々と火を噴く。
数百本の光線と実体弾が、《アルバトロス・レイヴン》へ襲いかかった。
「ゼロイチ、回避!」
『不要デス』
「なら迎撃しろ!」
『不要デス』
「何なら必要なんだ!」
『船長ガ静カニ座ッテイルコトデス』
「それは命令ではないだろ!」
『最重要要請デス』
敵の砲撃が防御障壁へ命中する。
だが障壁は揺らぎもしない。
実体弾は、船体へ届く数キロメートル前で停止。
自動迎撃砲が小さな光を放ち、すべてを宇宙の塵へ変える。
ゼロニは敵の全砲門、全エンジン、全乗員の位置を同時に解析していた。
ゼロサンは防御障壁の出力を、攻撃が当たる部分だけ局地的に上昇。
最小限のエネルギーで、完全防御を実現している。
旧式アンドロイドに擬態していた三体は、いまや巨大戦艦の全機能を同時に制御していた。
「お前たち、そんなことまでできたのか?」
レオが感心する。
『ハイ』
「なぜ今まで隠していた?」
『船長ガ余計ナ操作ヲシナイヨウニスルタメデス』
「俺を信用していないのか?」
三体が同時に答えた。
『ハイ』
少しは迷え。
「敵の空間固定フィールドは?」
俺が尋ねる。
『継続中デス』
「破れるか?」
『可能デス』
「どれくらいかかる?」
『〇・〇〇一秒』
「なら早くやれ!」
超小型高出力エンジンの出力が、わずかに上昇した。
たったそれだけだった。
だが《アルバトロス・レイヴン》の周囲に固定されていた空間が、ガラスのように砕け散る。
敵が用意した予備装置も過負荷を起こし、要塞内部で爆発した。
『空間固定フィールド、消失』
『ワープレベル七、使用可能』
レオが不敵に笑う。
「どうやら、敵の妨害装置は俺の威圧に耐えられなかったらしい」
「エンジン出力に負けただけだ!」
「俺が船長席に座ったから、エンジンも本気を出した」
「お前が降りれば、もっと出すかもしれん!」
◇
ドラクは後退命令を出した。
五十隻の艦隊が一斉に散開する。
要塞を中心に距離を取り、包囲範囲を広げていく。
「囲め! 巨体なら小回りは利かない!」
判断としては正しい。
全長百キロメートルの巨大戦艦。
通常なら、動きは鈍い。
旋回するだけでも数分はかかる。
だが《アルバトロス・レイヴン》は、通常の巨大戦艦ではない。
『ワープレベル七、局地起動』
ゼロイチが告げた。
「待て!」
俺は止めようとした。
「ここで光速の八十万倍へ加速すれば、敵艦も要塞も衝撃波で消し飛ぶぞ!」
『長距離航行デハアリマセン』
ゼロニが補足する。
『空間跳躍ニヨル瞬間位置変更ヲ実行』
《アルバトロス・レイヴン》の巨体が消えた。
敵艦隊の中央から、完全に姿を消す。
一秒後。
五十隻すべての背後へ、同時に現れた。
正確には、一隻の艦が百分の一秒ごとに短距離跳躍を繰り返し、敵艦すべての背後を通過していた。
あまりに速すぎて、五十か所へ同時に存在しているように見える。
『敵艦隊、全艦捕捉』
ボル爺さんが目を閉じたまま報告する。
「次の砲撃は、十二秒後。右上の戦艦が最初。左下の巡洋艦が最後じゃ」
『解析結果ト一致』
ゼロニが認める。
レオは配置図を見て、得意そうに右手を上げた。
「敵の後ろを取ったな」
「お前は座っていただけだ!」
「俺が座る位置も戦術の一部だ」
「では便所に座っていろ!」
敵艦隊が混乱する。
前方にいたはずの百キロメートル級戦艦が、一瞬で背後へ回ったのだ。
「あり得ない!」
ドラクが叫ぶ。
「その巨体で、なぜそこまで動ける!」
レオが通信を開いた。
「名船長の操船に、大きさは関係ない」
『操船ハ私ガ担当シテイマス』
ゼロイチの声が、敵艦隊にも流れた。
「今のは黙っていろ!」
◇
グラン爺さんが、主砲制御席へ座った。
目の前に、巨大な立体照準器が展開する。
中央には、艦首へ接続された超大型主砲。
《銀河穿孔砲》
設計上は、最大出力の一撃で戦艦百隻を貫通できる。
だが、あの五十隻は本来レオの艦隊だ。
沈めるわけにはいかない。
「グラン」
俺は声をかけた。
「敵艦を破壊するな。砲門、機関、制御系統だけを潰せるか?」
「五十隻同時に、ですかな?」
「ああ」
グラン爺さんは、しわだらけの顔で笑った。
「老眼には、少々つらいですのう」
嘘をつけ。
こいつは十五万キロ先の二ミリのずれを見抜く男だ。
グラン爺さんは主砲出力を、一パーセントまで落とした。
「少し力を抜きすぎでは?」
レオが尋ねる。
「これでも強すぎます」
「なら〇・五パーセント」
「〇・一パーセントで十分でしょう」
「主砲の存在意義とは何だ!」
百隻を沈められる主砲を、敵艦を壊さないよう〇・一パーセントで撃つ。
贅沢なのか、無駄なのか、俺にも分からない。
照準器に五十隻の敵艦が表示される。
ボル爺さんが機関音から各艦の弱点を割り出す。
メッケル爺さんが敵艦隊の通信網へ侵入し、すべての防御障壁を一瞬だけ解除。
ゼロニが五十隻の未来位置を計算。
ゼロサンが主砲内部のエネルギーを五百分割した。
「全標的、照準完了」
グラン爺さんが引き金へ指を置く。
そのとき、レオが声を上げた。
「待て!」
全員がレオを見る。
珍しく何かに気づいたのか。
「艦隊殲滅モードということは、撃ったら全部沈むのか?」
「最大出力ならな」
「それは困る。あの船は俺のものだ」
「ようやく気づいたか!」
「全部取り戻して売れば、美女のいる高級店へ毎日通える」
「そんな目的で艦隊を守るな!」
レオは操縦卓の上にあるボタンを探した。
「沈めずに止める機能はないのか?」
「操作するな! ゼロサンに任せろ!」
「いやいや、だってさ。船長が使い方を覚えないと――」
「まず説明書を読め!」
レオは赤いボタンを見つけた。
《殲滅モード停止》
その隣には、青いボタン。
《精密制圧モード》
こいつは迷った末、青いボタンを押した。
《精密制圧モード、起動》
《敵乗員の生命維持を優先》
《鹵獲対象への致命的損傷を回避》
偶然にも、正解だった。
レオは胸を張る。
「見たか。これが船長の判断だ」
「今回は文字を読んだのか?」
「色で選んだ」
「成長を返せ!」
グラン爺さんが引き金を引いた。
「一斉精密射撃、開始」
銀河穿孔砲が放たれた。
一本の白い光が、五十本へ分かれる。
さらに五十本が、それぞれ十本へ分裂。
合計五百本の光線が宇宙を駆け抜けた。
一本目が戦艦の主砲を貫く。
二本目が推進器を停止。
三本目が防御障壁発生装置を焼き切る。
四本目が通信装置を破壊。
残る光線も、敵兵が一人もいない区画だけへ正確に命中した。
五十隻の艦艇が、一斉に停止する。
爆発は最小限。
乗員の生命反応に異常なし。
航行不能。
攻撃不能。
だが、修理すれば再使用できる。
一発の砲撃で、四十九隻が完全に無力化された。
残る一隻。
ドラクの旗艦だけが、要塞の防御障壁内へ逃げ込んでいた。
『敵艦四十九隻、制圧完了』
ゼロイチが報告する。
『当艦ノ損傷、ゼロ』
艦橋が静まり返った。
俺は設計上の性能を知っていた。
それでも、実際の威力を目にすると言葉が出なかった。
本当に一隻で、艦隊百隻と戦える。
いや、老人たちとアンドロイド三体が乗れば、それ以上だ。
レオは船長席から立ち上がった。
「ふむ」
自分が撃ったわけでもないのに、満足そうに腕を組む。
「少し強すぎるな」
「お前が言うな!」
◇
敵艦隊が沈黙した直後、要塞砲百二十門が一斉に動き出した。
「要塞を撃つのか?」
レオが尋ねる。
「中には奪われた財産がある。壊すな」
「注文が多いな」
「お前の財産だ!」
グラン爺さんは主砲の照準を要塞外周へ向けた。
「砲門だけなら、何とかなるでしょう」
ボル爺さんが目を閉じる。
「百二十門。うち三門は故障中。二門にはネズミがおる」
「宇宙要塞にネズミがいるのか?」
「生命はたくましいですな」
メッケル爺さんが要塞の照準網へ侵入。
百二十門の要塞砲が、突然互いを敵として認識し始めた。
右の砲塔が左を向く。
上部砲塔が下部砲塔へ照準を合わせる。
要塞内が大混乱に陥る。
グラン爺さんは、その隙を逃さなかった。
銀河穿孔砲、第二射。
百二十本へ分かれた光線が、すべての要塞砲の付け根へ命中。
砲身だけを切断する。
巨大な砲塔が、次々と宇宙へ漂い始めた。
要塞そのものには傷一つない。
「要塞砲、全門沈黙!」
ドラク側の悲鳴が通信へ流れる。
「一隻に……五十隻の艦隊と要塞砲が……」
「降伏しろ、ドラク」
レオが告げた。
「俺の艦隊と財産を返せ。葬式から持ち帰った酒もだ」
最後まで酒を忘れない。
ドラクは通信画面の向こうで震えていた。
恐怖ではない。
怒りだ。
「まだ終わっていない」
「往生際が悪いぞ」
「お前にだけは渡さない」
ドラクの旗艦が、要塞内部へ後退する。
巨大な隔壁が開き、旗艦を格納。
同時に、要塞中央部が本体から切り離され始めた。
「あれは?」
レオが尋ねる。
俺は構造図を確認した。
要塞中枢区画。
金庫。
船長権限の原本データ。
奪われたクレジット。
財宝。
武器。
すべてが集められている。
さらに、ドラクは中央炉へ異常な量のエネルギーを送り込んでいた。
『警告』
ゼロサンが報告する。
『要塞中枢炉、暴走開始』
『爆発マデ、三十分』
『推定爆発範囲、半径五十万キロメートル』
無力化した四十九隻も、要塞も、奪われた財産も、すべて消滅する。
ドラクから通信が入った。
「近づくな、レオ」
「自爆するつもりか?」
「艦隊も財産も、お前に渡すくらいなら道連れにする」
「自分で盗んでおいて何を言っている!」
俺は怒鳴った。
「自爆装置を止めたければ、要塞中枢へ来い」
罠だ。
だが行くしかない。
外から中枢炉を撃てば、爆発が早まる。
ゼロイチたちでも、要塞内部の隔離された制御系には侵入できない。
直接乗り込んで停止させる必要がある。
レオは立ち上がった。
「つまり、最後は船長自ら敵の城へ乗り込めということだな」
「珍しく正しい」
「よし。爺さんたち」
レオは五人を振り返る。
「俺を守りながら、先頭を歩け」
「自ら乗り込む意味を一秒で失わせるな!」
「船長は最後尾で全体を見るものだ」
「お前は隠れたいだけだろ!」
ジン爺さんが刀を腰へ差し、静かに立ち上がった。
「久しぶりに、少し体を動かしますかな」
グラン爺さんが携帯砲を肩に担ぐ。
ボル爺さんは多次元音響解析装置を耳へ装着。
メッケル爺さんは要塞の見取り図を端末へ転送。
老師ホウは大量の注射器を医療鞄へ詰め込んだ。
「老人虐待ではないか?」
レオが尋ねる。
「お前が心配する側ではない!」
マリアも花柄のエプロンを締め直した。
「財産を取り戻すなら、帳簿も確認しないとね」
「マリアおばちゃんも来るのか?」
「誰が奪われた金額を計算するんだい?」
「俺が目で見て、大体――」
「船に残っていな」
「俺が船長だぞ!」
「なら、きちんと働きな」
レオは黙った。
五十隻の艦隊を恐れなかった男が、おばちゃんの一言で従った。
俺たちは強襲艇へ乗り込み、要塞中枢へ向かう。
残り時間、二十八分。
待ち受けるのは、ドラクと最後まで従った裏切り者たち。
そして、要塞ごとすべてを吹き飛ばす暴走中枢炉。
レオは強襲艇の椅子へ座り、腕を組んだ。
「親父」
「何だ?」
「ここまで計算どおりだ」
「どこからどこまでだ?」
「最初から全部だ」
「目覚まし時計と間違えてエンジンを起動したところもか?」
「もちろんだ」
「説明書を読まず、合体ボタンを押したことも?」
「当然だ」
「なら、これから何をすればいい?」
レオは少し考えた。
「爺さんたちについていく」
「一つも分かっていないではないか!」
強襲艇が、要塞内部へ突入する。
俺は死んでから初めて、心臓がなくてよかったと思った。
もし残っていたら、息子のせいで何度止まったか分からない。
第7話へ続く




