新スキルに混じって
「はあ……はあ?」
ありったけの魔力をぶちこんだ反動からか、一瞬足元を掬われるような浮遊感が襲ってきた。アンデッド故にMP無制限かと期待はしていたが、そんな都合の良い話はどうやらないらしい。
ここ暫く感じなかった疲労感に身体が持っていかれそうになるのをなんとか留め、ゆっくりと呼吸を整えた後自分の意思で地面に座ることにしたのだが……
「最早災害じゃないか……」
私は冷静に周囲を見渡し、率直な感想を意味もなく述べる。大百足が走ったことで地面は擦りきれ木々は折れ、件の百足は角を山肌深くに突き刺した状態で息絶えている。一歩間違えれば串刺しになっていたのは私の方かと思うと、高温の角を前に思わず背筋は凍りつく。
だが百足の身体はまるでうっかり玩具かなにかが指に嵌まって抜けなくなり、そのまま抜くことを諦めてしまった子供のように地面にだらしなく延びきっていた。
この状況で突然動き出すなんてことはないだろう。多分大丈夫だ。
……で、ある程度ステータスは上がったかな。入念にまたチェックしてみよう。
[現在のステータスを表示します。]
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名称.《レン》
種族.《アインベル》
ランクC
状態.《通常》
Hexagram.《6》
ATK.90
DEF.97
BMP.90
SPD.83
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──スキル──
物理スキル
《噛みつき》
《ヘッドバット》
《カースクロウ》
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魔法スキル
《ポイズンマーカー》
《ハイダーク》
《バーチカルダーク》
《ダークネス》
《ダークスピア》
《シャドウビーコン》
《血のドーピング》
《吐血攻撃》
《デモニア》
《呪縛の風》
《デスペル》
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固有スキル
《忍び足》
《気配感知》
《変色》
《暗視》
《邪眼》
《解呪》
《鎌の舞踏》
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言語スキル
《セラ言語理解》
《セラ言語》
《呪術言語》
──────
称号
《吐瀉の姫》
《不動なる不死者》
《涅闇を歩くもの》
《呪いの使い手》
《疎まれし血筋》
《災厄の根元》
──────
ステータスは完全に魔法と物理の二刀流、剣と魔法のふぁんたじいになったな。足腰使って逃げ回った分素早さが上昇してるし、今回は攻撃を全く受けていないから防御力は全く上がってないのも納得ではある。
とはいえ防御力の数値なんてあって無いようなものだから格上に殴りかからないと更に上げるのも難しいか。痛いのは嫌だよぉ……ほんと痛いのは勘弁。
だけどまあここまでは良いんだここまでは。問題は一番下でチラチラ顔を出している称号《災厄の根元》テメエだよ。なにしれっとこんなえげつない称号を引っ提げてきてるんですかね?あの大百足と戦う前には絶対なかったよ。神に誓って絶対こんな称号持ってなかったって言えるよ。
いやまあ神なんてものは居やしないことは百も承知だけどあれだよ。オーマイゴットってやつだよ。ひとまず他にもちょくちょくスキルが増えてるみたいだから先にそっちの説明をしてもらおうかな。
[今回習得したスキルの解説を致します。]
[デッドレコード]さんのやけに丁寧な説明口調が挟み、次に獲得したスキルの説明が入る。今回習得したスキルは《バーチカルダーク》、《ダークネス》、《シャドウビーコン》の三つだ。ひとつ目のスキル以外は完全に初見である。
《バーチカルダーク》
〈複数の《ダーク》を纏めて放つ上級の魔法。汎用的な《涅闇》の魔法であるが、それ故広い用途があり牽制のみならず誘爆し連鎖爆発を起こすこともできる。〉
前にスキルを確認した時よりも詳しく書いてある気がするが、多分気のせいかもしれないな。物量勝負の《バーチカルダーク》とぶっぱする《ハイダーク》で使い分けが出来るし、純粋な強化に入るだろう。
《ダークネス》
〈周囲を漂う《涅闇》の気質を凝縮し、魔力で相手を強引にねじ伏せるスキル。《気質》の量と使用者、相手の魔力量によって効果が大きく左右される。〉
どうやら説明文からして《ダーク》の純粋強化って訳でも無さそうだ。そりゃ《ダーク》の上位スキルが《ハイダーク》って話したばっかだもんな、うん。
内容からしてねじ伏せるとかかなり物騒なことを書いているが、もしかして精神的にぬっ殺すベーヤーなスキルということなのだろうか?きっと相手の魔力に左右されるあたり多分心に語りかける感じなのだろう。そうに違いない、ハイ次次!
《シャドウビーコン》
〈周囲の《涅闇》の気質を自身に集め、自身と味方の魔力を大きく向上させるスキル。〉
ああ、単純にバフスキルだこれ。簡単に言えば属性攻撃強化(闇)で、《ダーク》系統の魔法の威力を高めるフィールドを作るという認識で合ってる筈だ。
それ故、《シャドウビーコン》発動中にちゃんと《ハイダーク》やら魔法が使えるかが問題だが。《シャドウビーコン》に集中して他のスキルが使えませんでは現状お荷物の死にスキルでしかない。ここら辺も要検証だな。
...。
私は一通りスキルを確認し終えたことで時間潰しが出来る後ろ楯を失い、ステータスウィンドウの下端に相変わらず綴られた《災厄の根元》という不名誉極まりない称号に目を向けた。
習得してしまったものは仕方ないと割り切るしかないのは分かっているが、内容によっては人格をボロクソに否定されかねないこともあって確認しようとする意思を思い留め躊躇してしまう。だが結局こいつの存在を否定したことで尾が切れることがないことも理解している。
私は一度大きく深呼吸をし、[デッドレコード]に解説を頼んだ。




