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同格者達の抗争

二体は互いにかち合うかの如くまっすぐこちらに全力疾走してくる。見たこともないモンスターだったので、すぐさま《デッドレコード》を当てて解説を頼むことにした。まずは橙色の鳥の被り物をしたような、筋肉質な上半身を露出した奇妙な民族染みた不気味な赤褐色の人……らしきものからだ。この時点で嫌な予感しかしないけどね。



《コカトリモンス》ランクC-

〈鳥の頭を持つ人型のモンスターであり、元は人間だったもの。かつての理性はとうに失せ、激情に任せて疫災を振り撒く魔物と化した。


タガが外れているせいか高い身体能力を持ち、スタミナやスピードは常人を凌駕している。〉



ああ……(察し)。こいつただの鳥人間だわ。変態だわ。明らか話通じない魔物じゃねえか。もしかしたら着ぐるみか被り物をした普通の人間なのかもしれない……なんて淡い期待は儚くも崩れることになったようだ。


まあこんな外で不気味なフェイク被って全力疾走してる時点で普通という概念は無いんだけどさ、昔私がやってたゲームの頭装備にこんなようなのがあったんだよね。単体で機能するけど完全にネタ枠の防具がさ。


だからもしかしたらそういう類いのものなんじゃないかと思ったんだけど普通に魔物でしたわ、はい。



取り敢えずあれは放置しておくとして、もう一匹の方も説明を頼むことにする。冷静さを欠くんじゃない、大丈夫だ私。


《ジャイアントメルトピード》ランクC-

〈高熱を放つ角を持つ大ムカデ。角を巧みに利用し、獲物である《カイライムシ》の殻を溶かして食べる。高温の身体を活かして冬場でも活発に動き回り、手当たり次第に休息をとっている獲物に襲いかかるといった非常に獰猛な性格である。〉


背後から虫特有の不快音を鳴らして近づいてくるのは、ガルゼンから倒してくるよう頼まれたモンスターの一匹、《ジャイアントメルトピード》のようだ。


振り返って距離感を測ると共にその素性を探ってみると、まるで打たれた鉄のように輝く角を全面に押し出していゆ黒い体表をした大百足がカサカサと大量の脚を忙しなく動かしながらこちらに向かって来ているのが見えてそれどころではなくなった。キメエよマジあれ……衝撃的すぎて一瞬言葉失ったわ。



体長数メートルの巨大百足が気色悪い音を鳴らしながら高温の角を前にして迫ってくるのって普通に恐怖だよな。



「うっ……まだ準備できてないのにっ!!」



ケイトが重い腰をあげて二匹の魔物から大きく距離を取り、私とケイトでそれぞれ別の方向へ跳んだことで二体を挟むような状態になった。



『コケエエエエエエエエエ!!』

『ヂヂヂヂヂヂヂ……!!』



《コカトリモンス》の手に持つ鉄槍と《ジャイアントメルトピード》の角が激しくぶつかり、互いに一歩も退かぬ鍔迫り合いへと発展していた。


全長数メートルの巨大虫と大柄な人間の皮を被った鳥頭(直喩)というさながらモ○ハ○のプレイ動画をVRで見ている不思議な気分だ。


このまま見ていたい気持ちは確かにあるけど、正直あの戦闘に巻き込まれたくないしなんなら逃げるのも一つあるよね、ね。そうだよね!



一旦気持ちを抑えてよく考えるんだ私。あの二体はどっちもC-ランクだから今の私の実力と差は殆どないだろうし、ましてやこれまで戦ってきた中でも普通に上位レベルの相手だ。てかこんなにポンポンCランクが飛び出してくる光景怖すぎんだよな……。ほんとここ魔境かよ。


まあそんな奴等を引き合いに出して行ってこいとか抜かすうちのリーダーも、マリーナさんも、隣にいるケイトも冒険者として魔境でやっていけるだけの力があるんだろうけど。



「……さっきので殆ど使いました。流石に無理ですよ。」


「だよね。そしたら一旦帰ろうか。」



私の視線に気づいたケイトは「え、まだやる気なんですか」とでも言いたげに無理だと突っぱねた。そうだよな、明らかに勝てない相手だったり労力が見合ってない奴に喧嘩を売る程私もケイトも殺伐とした性格じゃない。ステータスを稼ぐチャンスではあるけど、同格との異種格闘大乱闘はこちらとしても勘弁願いたいところだ。


互いに意見が合致し、この場を後にして一先ず街に帰還することにした。後ろでボカスカやりあってる連中は放置するとして、ガルゼンからの依頼も期限はないからゆっくりこなせばいいだろう。



「……あの?なんか着いてきてるような気がするんですけど?」


「ん……流石にそんな訳はないと思うんだけど。」



暫く走り続けた所だったか、突然ケイトがそんな不穏なことを言い出した。二匹に気づかれぬよう音を最小限に止めた駆け足でこの場から離れたつもりだったのだが。



「……え。」


『ヂヂヂヂヂヂヂ!!!!』


まさかという不安を背に振り返ったところ、灼熱の角に鳥人間を刺した《ジャイアントメルトピード》がこちらに向けて威嚇音を鳴らしている姿がバッチリと視界に映ったのだった。

9月の一本目!久しぶりの投稿でも読んでくださる方が多くて感謝……!!一段落着いたら加筆や修正も行っていきたいのでこれからもブクマや評価、感想で応援くださると励みになります!


新作の方もよろしかったら是非読んでいただけたら幸いです!

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