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ひとまずの休息は

エニーのことは一旦置いといて、再度進化先について考える。これまでみたいに進化先の進化を見るのもありっちゃありだ。


ありではあるが、正直こんな災害振り撒くような集団の進化先を見たいという好奇心よりも、絶対に開いちゃいけない扉だという私の中の第六感が警鐘をビンビンと鳴らしているのだ。


化け物同然なこいつらの進化先が、何一つ良いものである筈がない。もし都合の良いことしか書いてなかったとしたらそれは私を陥れる罠であるとしか思えなかった。だからこそ今回は、今回こそは未来視せずにあくまでも自分の判断で進化先を決めたい。




そうだな……まずは単純に呪い枠と否呪い枠に分けるとしよう。


そうすると呪い枠が《イビルアルラウネ》、否呪い枠は《ダークロード》で確定する。因みにどっちに属するか判らないのが《ハーメルン》と《ペイン=プリンセス》……



……って結局わかんないし駄目じゃん!!こんなんで決められるかいい加減にしろ!!



「れ、レンさん……?やっぱり休息もないと落ち着かないですよね。もし辛かったら少し休みます?」


「あっ……いや大丈夫だよ。ごめん。」



心配そうにしていたエニーに謝り、休息を渋ってでも考え事に耽ることにする。内容は変わらず次の進化のことについてだ。さっきは呪い云々で判断しようとしたせいで失敗したがもう同じ轍は踏むまい。



よし、次は進化先の姿を予測するとしよう。まず《ペイン=プリンセス》と《ハーメルン》は説明文からして間違いなく人間の姿をとっている。



多少常人と比べて差異はあるだろうが、人型から大きくかけ離れている訳ではなさそうだ。少なくとも《アビスワーム》のような見た目が終わってるという事態になることはない筈だ。


そして人外予備軍になるのが《ダークロード》と《イビルアルラウネ》の二体だ。


《ダークロード》はこの中では比較的平凡でまだマシな部類に入るが、説明文にあった「騎士の成れの果て」という部分に引っ掛かりを感じる。


要するに《スケルトン》時代から続くアンデッド部分を色濃く受け継いでいるのがこいつなのだ。実は骸骨で顔がスケルトンですと言われても不思議ではない。折角人間としての姿を取り戻した矢先に逆戻りというのは個人的にはやだ。



次に《イビルアルラウネ》。人花という表現からして人間の身体に花がくっついているという見た目が想像できる。もしくは下半身が花のそれで上半身が人間なのかもしれない。


考えたくない一例としては、人面犬という言葉があるように人の顔だけを持つ花という可能性もなくはない。そして上三体と比べて移動が難しそうなこの進化先は少々選びづらい。



……因みに《アビスワーム》についてはなにも言うまい。毛嫌いとかじゃなくてこの進化先の中で最早なる意味がよくわからない。


その結論に至ったのは、私が《アビスワーム》という文面を初めて見たときからで、その考えは今になって変わるわけがなかった。



……はあ、と大きく息を吐く。なんだかんだいって結局進化先を決められていないでいる。やっぱり状況に応じて進化を選ぶか、新たな進化先の追加を待ってみるしかないかもしれない。



「やっぱり休みましょう。何処かよさそうな所は……」


「だだだ大丈夫だから進もっ?大丈夫だよr」


「大丈夫じゃないですよね……さっきからずっと苦しそうにしてました。そんな状態で歩かせるなんて私には申し訳なくて出来ません。」



どうやら彼女は私の表情を見て、ずっと苦しんでると思い込んでいたらしい。まあ実際……進化先をどれにしようかある意味苦悩はしてた。だけど疲れてる訳じゃないし、まだ多少傷が痛むといっても全然歩ける。



それにあまり長居していられない現状、エニーが疲れてなければそもそも休むという選択をするつもりはなかったのだが……



──結局エニーの好意を無下にはできず、私達は森を掻き分けた先に見えた洞窟で一度休息をとることにした。



「全く見えないです……足元気をつけてくださいっ!!」



エニーが危なっかしく先導しながら私を気遣ってくれるが、正直私より彼女の方が危険に付き纏われているのは言うまでもない。固有スキルの《暗視》によってある程度視界は確保できているため、暗闇は全くもって問題ないのだ。



「と……とりあえずあまり奥には……きゃあっ!!」



僅かな段差に引っ掛かって転びそうになる彼女の身体をすぐさま支える。私のことより自分の身を大切にしてほしいところではあるが、彼女の性質上それは不可能なのだろうと結論付けることにした。



「ううっ……よく歩けますね。」


「まあ暗闇には慣れてるから……」



エニーの言葉に素っ気なく返すと、そのまま互いの足元を安定させる。その後は手を繋ぎ私が先導しながら歩くことにした。


それから何事もなく洞窟の最奥へとたどり着いた。天井に差し込む木漏れ日ならぬ岩漏れ日のお陰で、私も彼女も安心して休めそうだった。周囲を見渡すと、炉のような仕切られた床に楕円形の黒い何かが一つ置かれていた。



《黒竜卵》希少度E-

〈漆黒の皮膚を持つ《涅闇》のドラゴンが産み落とした希少な卵。人間からは高級食材として価値ある存在になり、また儀式的な用途を含め利用方法は様々。〉



視界(スクリーン)の説明文では読み取りづらいが、希少度を表すことからR(レア)の上に位置するE(エピック)であると思われる。そしてこの卵の造形は何処か見覚えがあった。



間違いない……あの馬鹿貴族が盗んでいた《エイルドラゴン》の卵だ。腐食していないあたりまだ中の子供は無事なようだが……



「レンさん!上です!」


「わかってる!」



言われなくても私の《気配感知》にバッチリと引っ掛かってるよエニー!私は天井にぶら下がっていたモンスターの方を睨み付け、[デッドレコード]に解説を頼む。

総合評価250ありがとうございます!

読んでくれている人が日に日に多くなっていく感覚が嬉しいです!

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