考え事
「それじゃあ……私が彼女を案内します。」
【少々酷なことは分かっているが、我らも時間がないのでな。】
簡素でありながらも葬儀を済ませたところで、私達は移動することになった。エニーの言葉からしてどうやら、次の行き先は彼女の中で決まっているようだ。
まあこういうときは地理に慣れているであろう先輩に従っておくのが一番だろう。色々言いたいことはあったものの、私は特に口を出すことはしなかった。
手に持つ杖と僅かな荷物が入った鞄を背負い、軽々しい荷物と対照に重々しい足取りで歩くエニーに足を合わせて着いていく。彼女も思うところがあるのだろうとこれもまた特に口を開くこと無く心に留めておくことにする。
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獣道同然の不安定な足場に取られぬように、二人して慎重に森を進む。その間私達は殆ど会話を重ねることはなかった。エニーがやや先行しているというのもあるが、その空気は重々しくて妙に嫌な感じがする。
とりあえずステータスでも見て違うことを考えながら時間を潰そう。
[現在のステータスを表示します。]
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名称.《レン》
種族.《アインベル》
ランクC
状態.《通常》
Hexagram.《6》
ATK.84
DEF.95
BMP.75
SPD.69
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──スキル──
物理スキル
《噛みつき》
《ヘッドバット》
《カースクロウ》
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魔法スキル
《ポイズンマーカー》
《ハイダーク》
《血のドーピング》
《吐血攻撃》
《デモニア》
《呪縛の風》
《デスペル》
《ダークスピア》
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固有スキル
《忍び足》
《気配感知》
《変色》
《暗視》
《邪眼》
《解呪》
《鎌の舞踏》
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言語スキル
《セラ言語理解》
《セラ言語》
《呪術言語》
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称号
《吐瀉の姫》
《不動なる不死者》
《涅闇を歩くもの》
《呪いの使い手》
《疎まれし血筋》
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私の視界に私の細かいステータスがずらりと並んでいた。その羅列の多さにちょっと読むのを躊躇してしまう。このまま進化したらスキルの多さでそのうち読み疲れてしまいそうだ。
とりあえずステータスの数値はしっかり上がっていて、魔法攻撃力が目に見えて大きく上昇しているのが分かった。そして防御力がそろそろ百に乗りそうだったのだが、それについては正直素直に喜べない。
ステータスの上昇具合というのは私がいかに攻撃し、攻撃を受け、走り回ったかという言わば努力値みたいなもので、防御力が高いイコール痛い思いをしているという証拠なのである。
自分からするとあまり誉められるようなものではないが、それでも痛みがちゃんとステータスに現れてると思えば多少は報われているのかな……。
次にスキルの方に視界を移す。何故か固有スキルにある《鎌の舞踏》、更にいつの間にか《疎まれし血筋》というものが称号にあった。これには心当たりがあるもなにも、恐らく私の現在の姿である《アインベル》についてのものであろう。
あの蜥蜴達は《アインベル》を知っているようだったし、中立的な立場だったから多少教えてほしかったなと思う。
後は……進化先ね。この前は見る気も起きなかったけど《アビスワーム》の説明と進化条件も見た方がいいかな。この前ちらりと見たときには強調表示になってたし、恐らく条件は解放されている。何かの弾みで進化しちゃいました☆とか勘弁してほしい。
《アビスワーム》ランクC+
〈深淵の地に住まう大ミミズで、時折人間の住まう地を跨げばあらゆるものを喰らい去っていく。その様はまるで災害であり、毎年どこかの街か村が《アビスワーム》によって滅ぼされているという。〉
[進化条件:★DEF85以上.《呪術変化》の行使による変化]
《呪術変化》
〈人を魔物に、魔物をより深い魔族へ変貌させる儀式の魔法。対象のステータスと周囲の魔力を融合させた最も近しい者へと変化させる。〉
なるほどね。既にステータスの条件は満たしていて、《呪術変化》というよくわかんないスキルで変化すると今のところ《アビスワーム》になるってことか。
なんかやだ、というか絶対やだ。多分強調表示されてるのは《呪術変化》の強制力が働いているからで、私が意思表示すれば今からでもなれるにはなれるんだろうが……なる気は毛頭ない。だってこれ絶対化け物ルートじゃん。
意志疎通とかそういう次元じゃなくて、明らかに人類と対話不可能じゃん。
最早人類の敵じゃん。対話どころか遠目で見掛けでもしたらもう国を上げて討伐しますみたいな扱いされるヤツじゃないですか。
こいつには絶対なりたくない。だけど今回の進化先はこいつに限らず最早みんな災厄みたいな感じなんだよなぁ。
絶望の表情を好むという基地外な性格とステータスを持つという、どっからどうみてもラスボスルートであり、人外じみた今回の進化先の中でも一番ランクが高い《ペイン=プリンセス》。
Bランクのステータスもさることながら、魔物を使役して街ひとつぶっ飛ばすという人の皮を被った化け物、《ハーメルン》。
前述二匹よりかは劣るが、その類い稀な戦闘能力と変形自在な武器で相手を圧倒するアンデッド騎士、《ダークロード》。
近くにいるだけで呪いをばら蒔く《邪眼》を持つ魅了の花、《イビルアルラウネ》。
そして見た目が完全アウトな災害ミミズ、《アビスワーム》。
あの……この中から進化先を選んでくださいとか正気ですか?あれですよね……なんだろ。可愛らしい人形みたいなヤツを選んだ筈なのに、変な蛹になった挙げ句蜘蛛に進化したと思えばいつの間にかラスボスになってたアレみたいだ。極めつけは最終的に裏ボスの邪神みたいなヤツにでも進化するんだろ!?なあ!?
どうせ何選んだって事故るんだよなぁ!?おい聞いてんのか[デッドレコード]……何とか言えよ!!言ってみたらどうなんだよおい!
「っ……!?大丈夫ですかレンさん……?」
おっと……取り乱したようだ。エニーが心配そうに振り返り、私の見つめていた。私が進化先のことで悩んでるとは思わないだろうが、適当に口ごもりながら「大丈夫」と伝える。本当に「あっ……あっ……」となっていて、自分でも滑稽に見えた。
寧ろこれで逆に心配されたのは言うまでもない。
《ダークアロー》→《ダークスピア》への変更
63.64話における《サンクチュアリザード》の総称を白蜥蜴→長蜥蜴へと変更致しました。
↓以下理由
理由.《サンクチュアリザード》を白蜥蜴と表現していましたが実際に鱗が白かったのは進化直後、即ち脱皮直後であり、その後は黄緑色と表現していて矛盾していたためです。




