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レベリングの相手は

魔法を当てられそうな手頃な相手を探すため、周囲に気を配りつつ[デッドレコード]で策敵をする。



《クヌギネズミ》ランクF


《キノボリトカゲ》ランクE


《ペテンツリー》ランクF


結果、引っ掛かってくれたのはこの三匹だけだった。この周辺の森は低ランクのモンスターが多い印象で、D-ランクかそれ以下の奴等が住む場所みたいになってるみたいだ。そこで生き延びた強力な個体や流れ者がD+ランクになったりCランクに片足を突っ込むといった感じになるのかもしれない。



『ザザシャアァァァァァァ!!!』



それこそちょうど襲いかかってきた翼をもつ蜥蜴みたいな奴もこれまで見てきた中では強い方だってことになる。



《リザードフライ》ランクD

〈突然変異により好戦的な形態へ進化を遂げた《キノボリトカゲ》。翼を持っており空を飛ぶことができる。魔法はからっきしであるが、進化前の時代に食べた獲物の素質を含む酸を飛ばして攻撃する。〉



三メートル程の巨体が蝙蝠ほどの大きさしかない翼で飛んでいたのだ。周囲の木より明るい茶色の鱗を持つ蜥蜴であり、カッと見開かれた目がこちらを睨む。



『ザシッ!』


『ザザア!!』


『ザザシャ!』



辺りを見渡せば木の幹が不自然に剥がれたかのように、こちらに首を傾けて威嚇する《キノボリトカゲ》達が見えた。恐らくこの飛んでるヤツがリーダーで、その他の蜥蜴というのは威光を借りて自分を大きく見せているつもりのようだ。更に足元にはまた別の種の蜥蜴がいる。



《クロザンショウ》ランクD-

〈死体に群がり身体に血や油を溜め込む性質を持つ蜥蜴型モンスター。肥えた身体は見た目通り衝撃に滅法強く、様々な状態異常をばら蒔いては度々回収屋を困らせている。


その一方で養分を多く含んだ太い尻尾は薬や呪術など広い用途で利用されている。〉



私の足元で喉を鳴らして威嚇する《クロザンショウ》はすぐ横で飛んでる蜥蜴より大きく見える。体色は真っ黒で説明通りでっぷりと肥えた身体から黒い油のようなものが常に汗のように滴っている。


あと名前からして蜥蜴というかサンショウウオだな。《キノボリトカゲ》の進化体で奴らの盾役(タンク)として呼び出された感じだろうか。ランクは《リザードフライ》よりひとつ低いが説明文からしてこちらの方が脅威だ。



「ひっ……!?」


「おっ……落ち着いて!ランクが高いのはアレだけだから!」


「あっ……アレってどれなんですかぁ~!!?」



エニーは周囲の状況に酔ってあたふたしていた。アレだけ言われて《キノボリトカゲ》のことじゃないことは解ると思うんだけど……と私はため息をつき、首に巻いたマフラーを口に当てる。



『ザシャア!』



《リザードフライ》が飛びかかってくるのと同時に何十もの《キノボリトカゲ》も私達に覆い被さろうと襲ってきた。頭領をつけて粋がってる下っ端みたいなもんかと特に気に留めることなく《デモニア》の魔法を地面に叩きつける。



《デモニア》

〈臓物を模した爆弾を生み出す。爆弾は衝撃を与えると爆発し、周囲に呪縛を中心に様々な状態異常を振り撒く。



多く時間をかけて造ると威力、効能ともに強力なものになる。〉


この説明文を見てなんとなく《デスペル》と同じ系統の魔法であることは理解できた。《デモニア》によって生成された心臓のように脈打つ赤い爆弾は、地面につくと同時に破裂した。



『ザシャ───』



それはまるで水風船のように呆気なく、かつ大々的に呪いを振り撒いては《キノボリトカゲ》を無差別に吹っ飛ばしていった。



「……とりあえず《ハイドラ》で吹っ飛ばして!」


「わっ……わかりました!」



私の指示を聞いたエニーがあたふたしつつも両手を構えて巨大な水流、《ハイドラ》を放つ。かなり無茶苦茶な軌道だが今はヤツらを凪ぎ払えればいい為、今回は特になにも言うまい。




……今回はね。




『ザシィ……』



《キノボリトカゲ》は水流に吹っ飛ばされるか逃げ出す他なかったようだが、曲者なのは寧ろ微動だにしてない《クロザンショウ》だ。防御特化なヤツは何処ぞの犬で経験済みだが、恐らくそれとは違ってHPもかなり高い水準の筈だ。


あの《ハイドラ》を受けて全く効いてる素振りも見せず、かといって焦りも防御の動きもなかったのだ。もしかしたらサンショウウオだから水に強いってことなのかもしれない。



『ザザア……!?』



《クロザンショウ》に気をとられていた私の右腕に《リザードフライ》が噛みついた。だが痛覚がないのか全く痛くなく、寧ろ噛みついた本人(蜥蜴)が呪いに苦しんですぐに離したくらいだ。



「ザザ……!!」


《クロの鎧油》

〈自身の皮膚を脂でコーティングすることで防御力を上昇させるスキル。潤滑油となり、牙やナイフが身体に食い込むことを防ぐ。〉



ヌメヌメとした体液が分泌され、《クロザンショウ》の皮膚が太陽に照らされてテカりをみせる。コイツの弱点はやはり切断武器と乾燥だな。D-ランクは一癖あるがE+ランクと比べるとスキルのレパートリーも広く安定している。



《オイルネイル》

〈相手を引っ掻いて出来た傷に自身の油を流し込む。毒性を持つ者の場合、被弾すると状態異常を被る場合がある。〉



《クロザンショウ》が身体を大きく起こして踏み潰すかのごとく飛びかかってくる。こいつの油には死体から摂取した状態異常がぎっしりと詰まっているため、何を盛られるかわかったもんじゃないし絶対に被弾は避けたい。



『ザ……ザギャ!?』


身体を大きく広げると同時に隙を見せたヤツの下顎を切り裂くように右腕で掻き切った。衝撃には強い身体でも滑らかで柔らかい皮膚は私の爪でも十分に割ける。首を斬られたヤツは首の皮一枚、物理的に繋がった状態で力なく地面に伏して動かなくなった。

総合評価150ありがとうございます(。・ω・。)

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