勝つためには
「クルルッ!」
スバルが《エイルドラゴン》をなんとか惹き付けようと必死に周囲を飛び、《ソニックショット》や《毒吐き》で牽制していた。
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名称.《スバル》
種族.《スネークバイトオウル》
Lv18
ランクD
状態.《通常》
HP74/74
MP35/63
Hexagram.《3》
ATK.45
DEF.39
BMP.52
SPD.70
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見た感じ状態異常も貰ってなさそうで良かった。どうやらあのスキルの範囲は地上だけのようだ。
「ギアァァァァァァアッ!!!」
「クルッ……!!」
《エイルドラゴン》が大きくジャンプし、スバルに噛みつこうと口を開いた。その様子はまるでサメが水面からジャンプして鳥を食べようとする構図にそっくりである。
スバルはすぐに高度を上げて事なきを得たようだが、DランクのスバルではC+ランクの《エイルドラゴン》の相手にもならないし、このまま殺られるのも時間の問題だろう。MPを全て費やしたところでどれ程削れているか……。
ここは私がやるしかない……とはいえ私でさえD+の《ゲノムシーカー》だ。そのランクもステータスも《エイルドラゴン》に大きく劣っている。
悩んでる暇はないがどうする……すぐにでもナギアを叩き殺して《ポイズンスワンプ》に進化するべきか?それでも厳しいかもしれない。例え進化したところでCランク……これまでの戦いのようには恐らくいかない。
「ガラァァァァァァァァァァァァァ!!!」
それだけ状況も規模も違うってことだ。明らかに格下が戦っていい相手じゃない。
ならば二人を置いて逃げるか?いや……それもノーだな。こいつが野放しになったら近くの村は間違いなく潰される。元よりその村を助けるためにやった事だ。ここで見捨てて意味がありませんでしたなんて自分がみっともなくて許せなくなる。
でも……ナギアを殺したところで本当にステータスが上がるのか?一発殴ったらすぐに死んじゃいそうなのに、本当に大丈夫なのか?
考えた結果私は握っていた拳を開き、力なく地に向かって伸ばした。
こんな屑でも無駄死にはさせたくないというエゴに負け、私が《ポイズンスワンプ》への進化を諦めた瞬間だった。
そうなるとやはり《血のドーピング》で撃退して落ち着かせるしかないという発想に至った。なんだかんだ言って必要なものはやっぱりパワーなのだ。
これまでの格上狩りに《血のドーピング》は欠かせなかったし、それは《エイルドラゴン》相手でも変わらないはずだった。
───撃退するだけでいい。聞こえは単純でも難しいけどね。
だがやることは単純だ。簡単にいえば気が済むまで殴ればいいってこと。現状それしか出来ないならやるしかないでしょ?
《血のドーピング》により、私の両腕両脚の筋肉が隆起し、血が巡り廻って呼吸が荒くなる。これまでにない強敵を前にして、血の気が引いていくのを感じた。
……多分《血のドーピング》のせいだよな。うん。
私は特に気にも留めず、《エイルドラゴン》に向かって駆け出した。正直あの謎のスキル以外は今のところ全部問題ない、見切れてる。
「ギアァァァァァァアッ!!」
《エイルドラゴン》の身体が稲妻を纏い、大きく口を開ける。言うまでもなく《ノヴァブレス》だ。禍々しい光線が六属性を纏い周囲を凪ぎ払う。動きを強制的に止められる謎スキルと《ノヴァブレス》は当たったらダメだな……それ以外の攻撃も多分直撃したら死ぬ。
「グギイイイイイイイッ!!!」
「グガァァァッ!」
《ノヴァブレス》をすんでのところで回避し、ありったけの力で《エイルドラゴン》の横腹を殴った。
《エイルドラゴン》の身体は仰け反り、忌々しそうに私を睨み付けている。
ヤツの攻撃は殆どが遠距離のものであり、恐らくは近接戦があまり得意な部類ではない。それにスリーランク格下の攻撃が通っている時点でC+ランクにしては弱い部類だろう。
無論それでもヤツの一撃がこちらの致命傷になることに変わりはないし、これまでにみてきたC-ランクの連中とは比べ物にならないほど強いと見積もって戦うしかないのはわかりきっている。
「ギャオオオオオオオオッ!!」
噛みつきや飛びかかりのひとつひとつをしっかり見て回避し、《血のドーピング》を切らさないようにしないといけないのはキツい。《エイルドラゴン》の目線はこちらに向いていて、もう歯止めが効かない戦闘態勢になってしまっていた。
どれだけ攻撃を回避して、ありったけの攻撃を叩き込めるか……私の勝機はそこしかない。




