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反撃の末

《血のドーピング》のデメリットによって立ち眩む身体を必死に起こし、目の前で威嚇している《メガロルフ》を睨みつける。



「グルルルルッ……」



……改めて対峙するとかなり大きいな。あれだけ空を噛んだ筈の歯は欠けもせず、まだまだ殺る気だと真っ赤に充血した目で私をじっと捉えている。少々ワニ顔なこと以外は人の肩くらいの高さをした狼って感じなのにいざ対峙するとめちゃくちゃ怖いんですが。



(……ッ!!)



ふらっと一瞬大きな目眩に襲われその場に倒れそうになった。考える暇も与えさせてくれないほど、もう私の身体はボロボロだったようだ。



早いところケリをつけないと……死ぬ。




「……グオン!!」


《ダークタワー》



《メガロルフ》の咆哮と共に数ヶ所地面がぼこぼこと隆起する。さっきはまんまと喰らってしまったが、あれは《スカベシアン》がいたから避けられなかったってだけだし単体ではどうってことないよ!



私は地面から現れる黒い柱から必死に逃げつつ、《メガロルフ》との距離を徐々に詰めていく。次から次へと新しく柱が生えてくるもんでちょっと脚が震えてるが、喰らうよりは全然マシだ……止まってちゃいけないんだ私!!



「ギオオオオオッ!!」

 

《狂い裂き》



次に《狂い裂き》のスキル通知が届く。どうやらあいつは近づいてきた私の腕を噛み千切る気でいるらしい。勿論知ってしまった以上ただで腕を明け渡す程私だって伊達に人間辞めてねえんだよ。



「グルルルルッッッ!!!」


「ギアッ!!」(痛っ……!)


私の右腕に容赦なく噛みついては、ガチガチと何度も咀嚼を繰り返して肉を引き裂こうとする《メガロルフ》。初めて喰らったがその威力も持続性も半端ないスキルだな……格下とかこれ一つで戦闘不能になるぞマジで。



だが痛いのを耐えねば殺ってられないのが現状であり現実。こういった痛みにはもう慣れてるし、今更この程度で止まるほど私だって───




───ヤワじゃないんだよ!!



「グギイイイイイイイッ!?」


右腕を餌にして、《血のドーピング》でムキムキにした左拳を奴の鼻頭に喰らわせた。全くもって無警戒であっただろう《メガロルフ》の意表をつけたらしく、奴の巨体が大きく吹っ飛んでいった。



「ギオオオオオッ!ギオオオオオッ!!」



《メガロルフ》はすぐさま身体を起こし、少し離れたところで距離を保ちながら私の方を睨んでいた。確かに離れたのは嬉しいんだけど……追撃できなかったのがキツいかなぁ。絶対ここで帰ってくれないだろうし、私としては有効打が減ったも同然である。一見良いように見えてかえって不利になってしまった。



ふと噛まれていた右腕に視線を移すと、青い《ゲノムシーカー》の腐肉から真っ赤な肉が覗いていた。思ったより酷くダメージを受けていて、何とか動かせはするが動かすと結構痛い。まだ噛まれたような違和感がするんだよな。



「ギオオオオオッ!!」


私の視線が揺らいだのを感じたか、全速力でこちらに駆けてくる《メガロルフ》。スバルが応戦して空中から《ソニックショット》を放っていたが、全くもって意に介さず私に猛烈アタックしてきていた。ほんと私のこと大好きかよストーカーがよお!!


一回鏡みて出直してこいや……じゃなくてやっぱり丁寧にお断りさせて頂きますこのボケぇ!!




「グオッ……!!」




大きく口を開いた《メガロルフ》に噛まれながらも、奴の口を力ずくでこじ開ける。そのまま思い切り上下に引っ張り、物理的に顎を外してやった。



「オ……!?オガッ……!?ギギッ……!!」



あれまで隙を見せなかった奴が、ここに来て一番の隙を晒した。


焦ってる焦ってる。これが元人間様の知恵と知識とパワーの集大成よ思い知ったかクソ狼が!!追わないでくれてたらここまでするつもりもなかったけど、しつこく私に楯突いたのが運の尽きってやつよ。



「オッ……!!」


閉じない口からは涎を垂らしつつもその眼はしっかり生きているようで、「まだまだ」と言いたげに私を睨み付けていた。ホントさ……あの、君ホントしつこいよ?私だからあれだけど、そんなんじゃ女の子に嫌われるよ??ねえわかってる?うん?



「アガアァァ──────」


最後の足掻きだと言わんばかりに全力疾走してくる《メガロルフ》。正直小手先なしのワンパターン一直線で、牙もない今大した脅威ではない。


私のすぐ横でわざとらしく翼をはためかせていたスバルがこちらをちらっと見て、「追撃しようか」と言いたそうにしてたので軽く手を振って上空に避難させた。



スバルは本当に物わかりいいね。

何処かの狼と違ってさ!!



自分の左腕に思い切り力を込め、すれ違い様に《メガロルフ》を切り裂いた。不格好に開いた口から入ってあらゆる骨を砕き、そのままやつの上顎から肉を裂いて抜けていった。



《メガロルフ》の頭がワニのおもちゃにみたいになっており、頭が背中と物理的にくっついてるかのようにだらしなく垂れ下がっている。




……終わった。私はやっとの思いでC-ランクに勝てたのだが、そんな喜びより疲労と痛みがどっと襲いかかってきたのだった。

評価5/5.ブックマーク20突破ありがとうございます!!



あと初感想頂きました!!感想やブックマーク、評価をくれるとめちゃくちゃモチベが上がります!!

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