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一段落

ふう……あと残ってるのは戦意喪失してるエニーだけだが、私としても戦わなくて済むならこれ以上戦いたくない。


今の自分からすれば彼らは他人であり敵ではあるんだが、さっきまで普通に喋ってた人をまさか自分の手で葬らなくてはならないなんて……澄ました風に振る舞ってはいるけど心底疲れてる。これ以上手を汚させないで……お願いだから。



「あ……あああ……」



目や口を見開いて呆然と立ち尽くすエニー。その手には杖をがしっと握っているが、もはや振るえるだけの力も覚悟も彼女には残っていないのだろう。



「アノ……ス……マ……コレ……」(あのすみませんこれ返しに来ました盗むつもりは全くなかったんです本当にごめんなさい)



私は何故かすぐ近くに転がっていた彼女の魔術書を卒業証書を手渡す校長か、ラブレターを直接渡す女の子みたいな格好で手渡した。当然ながらエニーは困惑し、「えっ?えっ?」といった感じであせあせしていた。



「ホロウ……」


すぐ近くを飛んでいたスバルも呆れた感じで横に着き一鳴きする。私と彼女の様子を見て敵じゃないと判断してくれたのか、突然エニーを鷲掴みにするような事態にならなくて安堵している。


「グァァァッ!!」(ごめんなさい──!!)



私は魔術書を彼女に押し付けた後、静寂に包まれた微妙な空気感に耐えられず全力疾走でその場から逃げ出した。もしかしたらさっきルーパに追われてるときより速かったかもしれないが、そんなことより一刻も早くこの空気から脱したいという一心で頭がいっぱいだった。




・・・・


「ホロウッ!!ホロウホロウッ!!」


あれから日が暮れるまでひたすら走り回った結果、私がスバルに頭を鷲掴みにされ叱られてしまいました。疲れを感じないというのはアンデッドの特権だな……まあ必ずしもメリットになり得る訳じゃないが。一先ず「すんません」と謝っておいて、それぞれのステータスでも見ておこうかな。



────────

名称.《レン》

種族.《ゲノムシーカー》

ランクD+

状態.《通常》

Hexagram.《6》

ATK.53

DEF.66

BMP.42

SPD.50

────────


確か《ワルト=ガ》の進化条件がオール八十だっけ?キツくね?防御力は《ゼプラコーン》やルーパとの戦闘以前からも高い上昇率を誇っているが、魔法攻撃力は相当低く上手いことステータスを稼げてないってことになる。



……まあ言い換えれば痛い思いしまくってるってことなんだけどさ。それは置いといてスバルのも見せてくれ。



───────

名称.《スバル》

種族.《スネークバイトオウル》

Lv16

ランクD

状態.《平常》

HP68/68

MP27/56

Hexagram.《3》

ATK.39

DEF.33

BMP.45

SPD.64

───────


お……よくみると最初に会った時よりレベルとステータスが上がってるみたいだ。《ゼプラコーン》との戦闘やルーパ、グラッドを倒したときの経験値がちゃんと行き渡っている証拠だな、よかったよかった。



まあ確かによかったのだが、それでも徐々にスバルとの差が開きつつあるように感じていた。D+と単なるDランクでは伸び代に差があるのか、それとも私とスバルのステータスの上げかたの違いが差を生んでいるのか定かではないが、スバルが勝っていた素早さに徐々に私が追い付いている中、防御力等元々私が勝っていたステータスは、スバルが遅れてどんどん引き離されてしまっているように思える。



スバルは元々ステータス差を度外視できる程のアドバンテージを持っているDランクであり、魔法も汎用性のある風属性で毒スキル持ち、おまけに回復技を備えているなど文句なしの高性能モンスターだ。まず同格、格下相手には負けないし、前に戦った《ゼプラコーン》などの地上戦特化な相手であれば格上でも完封できるほど強い。


その為固定砲台として魔法を放ってもらい、一緒にレベルアップする方法でこれからも基本問題ない筈だ。スバルがどのタイミングで進化できるのかわからないけど、今のままでも十分頼れる味方であることに違いはない。進化してくれれば百人力だな!!



そういえばさっきの戦いでちょっと気になるスキルがあったな。丁度タイミングもいいし解説してもらおう。



《ポイズンマーカー》

〈毒状態のモンスターが残す痕跡を可視化することができるスキル。また、直接標的に触れることで微弱な毒を流し込み、同上の効果を得る。〉



さっきの戦いというのも、ルーパが使っていた《マーカー》のスキルとの違いが少し気になったというだけだ。サポート特化の《マーカー》とは似てるようで全く違った効果らしいな……見た限り相手にペイントボールを貼り付けるイメージで、その恩恵に預かれるのは自分だけって感じだ。《マーカー》と違って仲間に存在をアピールとはならないのが惜しいところか。



使い方としてはスバルの《ポイズンレイン》に乗じてマーカーを付与し、片っ端から経験値にしていく方法が丸いのかもしれない……まだまだ考察の余地ありだな。

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