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私の相棒


《ファンブルドッグ》の不気味な面から顔を背けつつ、相棒の《スバル》を肩に乗せて森を歩いていた。


因みに《スバル》というのは私がたった今、《スネークバイトオウル》につけた名前でありその由来というのも種族名から雑にとったものだ。まあちょっと安直過ぎるかもしれないがシンプルだし属性も風なので、不気味なくらいマッチングしていると思う。流石にずっと《スネークバイトオウル》って種族名で呼ぶのもね……。



───────

名称.《スバル》

種族.《スネークバイトオウル》

Lv14

ランクD

状態.《平常》

HP63/63

MP45/55

Hexagram.《3》

ATK.35

DEF.29

BMP.38

SPD.60

───────


ステータスを見ると、名称の部分がちゃんと《スバル》になっていた。肝心の本人(鳥)は「それでいい」と言いたげにもふもふを堪能させてくれていた。可愛い。



「クルルッ!!」


突然なにかを感じ取ったのか、肩に乗っていたスバルが羽をバサバサさせて警戒を促してきた。私は少し姿勢を低くして、ゆっくりと歩きつつ周りを観察してみる。



森の中には縞模様の身体を持ち、頭に鋭い角が付いた三メートルくらいのシマウマとユニコーンの融合体みたいな奴がいた。白黒のストライプがなんとも既視感を感じさせるのだが、頭に生えた金色の角が非現実を演出してくれる。




……やっぱあれもモンスターなのか。



《ゼプラコーン》ランクD+

〈雷が落ちた場所に現れ、そのまま住み着くとされる傍迷惑な馬型モンスター。ユニコーンを見たと言う者の八割はこのモンスターとの見間違えである。


雷の魔法を操り、鋭い角と脚力で近接戦もこなす。


学者によると、そのあまりに似通った姿は幻獣ユニコーンが自らの身を護るために産んだ影武者であるという説が浮上している。〉




……ユニコーンの子供は子供なんだし、普通にユニコーンってことでいいじゃん。確かにシマウマなんだけどさ……その……なんていうか……見間違えで済まされるのはあまりにも酷くない?




『ゼプウウウウウッ!!!』


《ゼプラコーン》がこちらの存在を認識し、蹄で地面を踏み鳴らしながら威嚇してきた。人が乗る馬より二回りくらい大きいからか、かなりの迫力がある。


そしてランクはD+。私と同じで、スバルの一個上だ。寄生されてた《ビッグイモータル》を除けば、これまで戦った敵のどれよりもランクが高いことになる。不安はあるがやるしかないか。



「ホロウッ!!」


私は腕を伸ばしスバルを飛ばすと、姿勢を低くして構え戦闘態勢をとる。相手の武器は角なのだろうが、角云々の前にあのガタイで突っ込まれたら致命傷は避けられないだろう。だとすれば魔法で仕掛けるのが一番か。



私は牽制の意を込めて《ダーク》を放った。スキルの準備をしていたらしい《ゼプラコーン》の横腹に紫電を纏う黒い球体が当たり、弾けた。



「プウッ!?」


確かに効いているようだが、スキルを放つ姿勢は崩せなかったらしく、怯んだり臆したりすることなく、バチバチと変わらず電気を纏っているようだ。



《放電》

〈身体から電気を放出する範囲攻撃。360度死角はないが、持続時間含めて本体のMPと電荷に依存する。〉


「プウウウウウウウッ!!」



バチリバチリと火花を散らしながら、《ゼプラコーン》の周囲に青い稲妻が駆け回った。結構上まで届くみたいだが、スバルは機転を効かして私の方まで来てくれたようだ。私も《放電》の範囲からなんとか抜けられた。



「ア……ウ……バル!!」


私の掠れた声を命令と受け取ったらしいスバルが、《ゼプラコーン》の放電から避けながら接近し、《ソニックショット》を放っていた。肉体を取り戻しつつあることで、身体的な機関が少しずつ動くようになってきている。話せるようになるのも時間の問題……か。



《ホーリースピア》

〈光のエネルギーを槍のようにして放つ魔法攻撃。近~遠距離までオールラウンドに対応することができるため、基本的なスキルとして多くのものが好んで扱う。〉



《ゼプラコーン》の角が不自然に光を放ち、長さは倍近くに伸びていた。これで突貫してくるってことですねわかります!!奴の蹄の音を聞いた瞬間、大きく後ろに飛んで距離を取って見せる。


私のすぐ横を、光の槍が通り抜けていった。



危ねぇ……けどやっぱ軽いよな。《ゲノムシーカー》になってからというもの、ゾンビの時にあった重力感……妙な気だるさをほとんど感じないのだ。なんにせよ調子はいいし、この要領で相手のスキルを見切って仕留めるとしようか。



《アースクエイク》

〈自身の足元の地面に魔力を注ぐことで硬化、軟化した地面を砕き、それによって発生した衝撃波でダメージを与える。〉


次のスキルは《アースクエイク》か。こいつのスキルは今のところ全体に満遍なく圧をかけるのに適したものが多い。やっぱ狙われるだけあって複数人を一網打尽にできるスキルがあったほうがなんとなく都合がいいのかな。


「プヒィィィィィィィッ!!」


ドンッ―と蹄で地を鳴らす度、《ゼプラコーン》を中心とした円形の衝撃波がまるで凪ぎ払うかのように襲いかかってくる。これさ、《アースクエイク》ってより《衝撃波》じゃないん?予測できるだけあって避けるのは全く問題ないけど、実をいうとあまり《アースクエイク》要素が見つからないんだよね。



「クルルルッ!!」


「シャアッ!!」



既にはるか上空を飛んでいたらしいスバルの尻尾の蛇から毒霧が放たれると、まるで雲になるかのように広がっていくのがわかる。そういえばいくつか毒関連のスキルは持っていたような気がするが、これは確か……



《ポイズンレイン》

〈毒素を含む雨を降らせるスキルであり、その一粒が猛毒を持っている。当たれば生物を死に至らしめる程の病をもたらすとされ、遠方の地では酷く神格化されることがある。〉



ああら文字通りの毒の雨ってことですかはい。確かにこんな雨が降ってたら作物どころか人間も死にかねんよな。



──ふと私の頭に雨粒が当たった。考えてみればこれ、無差別攻撃だよね。私だけ避けてくれるなんてことあり得ないもんね、うん。今結構ヤバい状況だよね。



(スバル!!ストップストップストッ!?イヤァァァァァァァァァッ!!当たってるってばぁぁぁぁ!!)


「プギャァァァァァァァァァッ!?」




毒の雨が蝕む森の中で、私はあろうことか敵であるはずの《ゼプラコーン》と一緒にあたふたしながら逃げ回っていた。



……これさ、スバルの方が絶対ランク高いんじゃない??

10ブクマ達成ありがとうございます!

思ったより多くの人が読んでくれているようで感謝しかないっす!!


それとまた5/5評価いただきましたありがとうございます!!!

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