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道外れ毒梟


そっか、と私は自分の浅はかさを嘆き納得していた。そうだわ。梟って肉食なんだわ。普通に鋭い爪でネズミ捕らえてる写真とかあったもん、そりゃあ肉食だわ。蛇の尻尾に気をとられ過ぎてたけどありゃあ本体もDランクとして遜色ないわ。



(くっそおおおおおおおっ!!!)


あの爪を喰らうまいと、私は必死こいて全速力で逃げ回る。D-ランクの《プレデターマウス》や《バンパンジー》、強いてはC-ランクの《ビッグイモータル》から生き延びたことに安堵してDランクをなめていたことは認めざるを得ない。追撃せず隠れてたらやり過ごせていたかもしれないしね。


どれもこれも今の自分に比べて格上であることは間違いないし、腕が折れているとはいえここまで無事だったのは奇跡に近いのかもしれない。それを実力だなんて馬鹿馬鹿しいもんだな。



そんなことよりえっと……スキルスキル……。


──スキル───


物理スキル《頭突き》《噛みつき》《引っ掻き》《切り裂き》


魔法スキル《吐瀉攻撃》


────────


いつの間にか《切り裂き》を習得していたらしい。記憶には何となくあるが、あのときは本気も本気で周りのことの気が回ってなかったからなぁ……仕方ない仕方ない。



というかさぁ……。こうやって改めて見るとスキルと呼べるかも怪しい近接攻撃かゲロしかねえじゃんか。


確かにスキルに《体当たり》とか《ショルダータックル》とか《突進》とかあるよ?そりゃあるけどさ……身も蓋もない《引っ掻き》とかさぁ……もしかして足技極めたら《蹴り》とか追加されるの?ネタギレなの?馬鹿なの?死ぬの?言っとくけど私の必殺技は《普通のパンチ》でもないんだよ?なんでもスキル判定にすりゃあいいってもんじゃないんだよ。もっといいの寄越せよ……それこそあの猿みたく《ソニックショット》でもなんでもいいからさ。



[その項目は[ステータスロックD]により表示できません。]



あーはいそうですか。Dランクになれってことですねわかりましたわかりました!!どうすりゃいいんだよ!《グール》にでもなればいいってか!?



「ホウ!!」


私のすぐ真横を梟が掠めていったと同時に、奴の蛇に肉を噛みつかれていた。すれ違い様に噛みつけるだけあって思った以上に強い。




[ステータスを表示します。]


────────


名称.《レン》

種族.《ゾンビ》

ランクE+

状態.《冷静》

Hexagram.《─》

ATK.33

DEF.38

SPD.36

───────



どうやら毒はもらっていないようだな。これを《吐瀉の姫》のお陰だと考えるつもりはないけど一応感謝しておくよ。



……とはいってもこのまま噛みつき食らってたらジリ貧だよな。いつ毒もらうかもわからないし、多少強引にでも退散させるのが一番かもしれない。



「……ホウ!!」


《スネークバイトオウル》が再び旋回して距離を詰めてくる。狙うは奴の尻尾だ。そのまますれ違い様に伸びてくる尻尾を掴んで……。




「ホアッ!?」


思いっきり叩きつける!!


「クエエエエエエッ!?」


梟の柔らかそうな身体が木の幹に強く打ち付けられる。普通こんな強打したら即死……って思ったがそれはそれはモンスターを名乗るだけあってかピンピンしてやがる。あれかな、もふもふな身体で物理的な衝撃を緩和したってことかな……だとしたら万にひとつも勝機ないじゃん。



「クルルルルルッ!!」


《スネークバイトオウル》は先程と全く違った鳴き声を上げて威嚇する。ピンピンしてるとはいっても多少堪えたかはわからないが、空を飛ぶことなくその場に鎮座している。ただ翼を広げようとする速度が遅く、どうにも伸びきってないように見えた。



ああ成る程。ケガして飛べなくなったのか。このまま殺すのは楽なんだけど、結構可愛いしステータス稼ぎにも使えないこの子を……もふもふを殺すだなんて人道どころか畜生道を外すことになるだろう。


「シャア!!!」


「グオン!!」



おっと蛇は例外な。爬虫類は私も嫌いではないけど好きじゃない。噛みついてくるんなら容赦なく切らせてもらうからね。


「ギィヤァァァァァッ!?」


首を掴まれたショックに一鳴きした蛇の頭が、気絶したかのように動かなくなった。



死んでないよね?

・・・・・・・



私は梟を抱き抱え、右手で奴の尻尾(蛇の頭)を掴んで川にたどり着き、上手く伸びない梟の翼を水に浸して冷やしてやることにした。雑菌がどうたらとか言われてるけど、飲んでるような連中なら大丈夫でしょ。


私はというと、動かない左腕を庇いつつも周囲に[デッドレコード]さんを当てていたが特に反応はなく、水の流れる音以外の物音は全く聞こえなかった。



「グルル!!」(飛べるようになったら何処にでも行きな。懲りずに襲ってきたら今度は殺すから。)



勝てる見込みなど万にひとつなかった癖に、言葉だけは一丁前なんだから、と私は自分にどこか嫌気が差していた。

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