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金色鼠


暫く翼を水に浸して休んでいた梟がトコトコとこちらに歩いてきた。その無警戒さはなんというか、控えめにいって可愛い。貴族がペットにしたがる理由もよくわかる。あんたらとはいい酒が飲めそうだよほんと。



まあ私未成年ですけどね……未成年飲酒ダメ絶対。喫煙も御法度だぞ!!



そんなこんな暫く《スネークバイトオウル》を眺めていたら、辺りはすっかり夜である。もうあの時の暮らしがずっと前だったかのように思える。ここ数日マトモに寝てないし、今日ぐらいはゆっくり休もう。


「クルルッ……。」


そかそか。梟は夜行性だもんな。蛇の方はすっかり鼾を掻きながらぐっすりであった。敵がここにいるというのに随分呑気だよなぁ……ただ本能に逆らえないってだけか。


ああ……そう考えると私も疲れた。明日生きてないかもしれないけど、とりあえずもふもふだけでも堪能させてくれ……。ゆっくりと梟の頭を撫でてやると、少しだけ気持ち良さそうにしているのがわかった。そういやお家でペットとか飼えなかったもんな……。友達がハムスター飼ってたけど、やっぱりこんな感じだったんだろうか?




どうでもいいや……ああもふもふしてる。……スヤア。



───そのままぐっすり眠ってしまい、気づけば空から太陽の光が差し込んでいた。どうやら寝首を欠かれるなんてことにならなくてよかったと心底安心している。飛んで逃げたのか?殺すのも躊躇ってたところだし、その選択は互いのためになる英断だと感じた。



さてと。ステータス稼ぎにいくか。辺りを見回して[デッドレコード]による索敵を行う。すると周囲の《キノボリトカゲ》に混じってひとつ、妙な反応をキャッチした。



《ゴルド=ラット》ランクE-

〈金を誤って摂取したことで身体が金色に輝いたネズミ。戦闘能力は皆無だが、色褪せない宝石のような価値のある身体を狙う冒険者から逃げるために洗練された脚は他の追随を許さない。〉



草むらごしにみてもわかる金色のまばゆい光を放つそれは、かのゲームでみられるお金稼ぎモンスターらしい。名前にある〈=〉は不鮮明な最終進化者を表すものらしく、ランクによる上限というよりは、何かが枷になっているものだとか。だから《汚物の鉄の処女(アイアンメイデン)》もなんらかの条件で進化を塞き止められていると考えられる。



進化条件わかっても、あんなのに進化する気はないからね。


「キュイ!!」


《ゴルド=ラット》がこちらに気づいたのか、全速力で駆け出した。ありゃ速いわ!素早さを稼ぐ良い相手になりそうだし、狩らせて貰うとするか。



普通に走っていても埒が開かないし《吐瀉攻撃》で牽制するか……当たるか?



ゲエエエエエエエエエエエッ!!



忌避していたけど、なんだかんだ有能なスキルなんだわこれが。牽制に持っていって物理で殴ったり、足りないリーチを補ったりするのに重宝している。勿論他に良いスキルができたら絶対そっち使うけど……。


「キュッ!?」


目前に現れた汚物に驚き、引き返して来たところで更に牽制の意味を込めて汚物を浴びせる。僅かながら脚が取られたようで、結構距離を詰められたんじゃないかと思う。



《ゴルド=ラット》を見逃すなんて愚行、犯すつもりないよ。てか速いだけで隠れるのに適してないし、生存戦争には間違いなく敗北するんだろうな……と考えながら、いく先々《ゴルド=ラット》目掛けて汚物を浴びせかけてみるも全部回避したってんだからすごいよな。ちっ……逃げ足の速い奴め。絶対逃がさねえ!!



私の脚の速さはあのネズミよりちょっと遅いくらいで、全速力で走っているのに詰められないからほんと参ったもんだよ。このまま離されるのもなんだし、惜しみなくゲロを吐いていこうか(白目)。



[《血のドーピング》を習得しました。]


突然スキル習得の通知が来たので思わずその場に止まってしまった。《ゴルド=ラット》には逃げられちゃうだろうが、スキルを得れたならまずは確認しないとな。


《血のドーピング》

〈全身を流れる血液を一部分に集中させることで飛躍的に身体能力を高めるスキル。使用時間が長すぎると様々なデメリットがあるが、不死者に対してはそのデメリットがないため、アンデッドはこのスキルを自然に行使している。



因みに酷使すると最悪血管が破裂する。〉



もおおおおお!だから最後ぉぉぉぉぉっ!!なんで一々余計なこと言うんだよクソが……ああ……そんなこと言ってたら逃げられちったなぁ。私は大きくため息をつきながら、見失った《ゴルド=ラット》を探すことにした。足跡が小さいもんだから探すのもほんと一苦労だぜ……。



そんで……《血のドーピング》か。要するに自分で血液活性化させるってやつかな。これに頼ってもステータスは稼げなさそうだし、もしもの時のための保険程度に済ましておこうかな。



「ホロウッ!!」



突然空から鳴き声と共に金色の鼠が投げられた。上を見上げると、なんと昨日出会った《スネークバイトオウル》がこちらをじっと見つめていたのだ。

総PV1000突破ありがとうございます(。・ω・。)

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