衝撃の食虫喰物
私は周囲に警戒しながら[デッドレコード]が感知した方角に向かう。下の隅々まで探し当てるが、マウスらしきものは見当たらない。あるのはでっかい食虫植物みたいな歯の生えた《口》だけだ。そう……
これが《プレデターマウス》なのである。
「ギシャアァァァァァァァァァァ!」
全長三メートル程の赤黒い血の色をした食虫植物が咆哮をあげた。なんで植物が鳴くのか甚だ疑問だけどこの世界に来た時からある程度何が起こっても納得できると思った次第。このくらいではあんまり驚かないし、軽く仰け反って木に背中をおもいっきりぶつけたくらいだ。
……痛い。急に出てこないでよびっくりするじゃないか。《プレデターマウス》は牙の生えた赤黒いハエトリグサのような姿をしており、人間一人そのまま入ってしまいそうな程大きな口をこちらに向ける。文字通り〈捕食者〉を彷彿とさせる立ち振舞いだ。
《溶解液》
〈耐性の無いものの肉を溶かす程強力な、酸性の液体を飛ばす攻撃。おぞましい程の悪臭を放つ。〉
《プレデターマウス》が口から緑色の液体を吐き出す。よくある作品だと食らった相手が何事もなく済んでいることの多いスキルだが、どうみてもヤバい気しかしないあれ。当たったら即死だなありゃ……。
私は敢えて奴に近づき、《引っ掻き》と蹴りを入れて必死に牽制する。あぁいう生物は首から上(茎から上)しか動かせないのが定石だ。だったら《溶解液》の範囲から抜けて隙をついてヒットアンドウェイを仕掛ければいい。
最悪どれだけ時間が掛かったとしてもいつかは倒れるだろうし、時間を掛ければ掛けるほどこちらが有利になる。
……はずだった。
「グオ?」(……は?)
「ギシャア……」
なんと《プレデターマウス》の根っこにあたるが地面から飛び出してきたのだ。
それもなんというか……本体を支えられるくらい強靭さを持つ、
さつまいも色をした巨大な土竜みたいな姿をしているのが何よりの問題だった。
ソイツは意思を持っているかのように、地面を掻き分けながらこちらに迫ってきたのだ。
(ひ……ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!)
「グァァァァァァァァァァァ!?」
こんな異様な光景にすっとんきょうな叫び声を上げることになってしまった。あれ絶対寄生されてるじゃん……植物に乗っ取られたパラセ○ト状態じゃんあんなの……えっ?(ドン引き)
……あれで動いてるんだよな。あの土竜を脚にして各地を転々としてるのだろうな。しかし[デッドレコード]さんよぉ……そういうことは書いていて欲しかったんだけど!?
《ビッグイモータル》ランクC-
〈地中に潜伏してじっと待ち、鋭い爪で蟻地獄のように獲物を追い詰めて捕食する土竜型モンスター。昆虫から小動物まで何でも食べる。〉
……がっつり寄生されてるじゃないですかやだー!!
どうやらあの土竜は元々別のモンスターらしく、何かの弾みで《プレデターマウス》に乗っ取られてしまったらしい。[デッドレコード]の策敵に引っ掛からなかったのは地中にいたからか。理由は不明だがこの個体は特別らしい。てか格下相手になに寄生されてるんですかね。初めて目にするCランクとまさかこんな形で対面するとは……まぁ、不憫だな。ファンタジー世界といっても弱肉強食的な一面があるということを知れてまたひとつ成長できたなぁ(白目)。
「ギシャア!」
「・・・・。」
《ビッグイモータル》が《プレデターマウス》を乗せて地面を泳ぐように私を追ってきた。どうもその絵面は子供を上に乗せて電車ごっこをする親子にしかみえない。あの土竜は特に気にすることなく、外敵たる私の排除をしようと近づいてきやがった。正しくは《プレデターマウス》が敵なのだが、《ビッグイモータル》の素早さによってはD-じゃすまない次元の話になる。
取り敢えず逃げよっか。
「ガアぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
(畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!)
ほんとなんて地雷を持ってきてるんだあの植物野郎!残念ながらCランクに勝てるスピードは持ってないんだよ!!どうして格上ってヤバい奴しかいないの?おこだよ?オコテル私。




