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第七話

 注目を浴びながらもなんとか職員室に入ることができたハヤトとルシア。

 そこに現れたのはハヤトの担任のサクマだった。



---



「どうした、ハヤトー! お前が職員室に来るなんて珍しいな? 悩みなら先生になんでも相談していいからな!」

「あ、はい。実はですね……」


 とりあえずは担任に話をしてみないとな。

 あまりこの先生を頼りたくなかったんだが今は手段を選んでられない。俺も必死なのだ。

 生徒からは『ネッケツ』と呼ばれているほどの熱血教師で、「もっと熱くなれよ」とリアルに言ってきそうなタイプだ。


「な、なんだとー! それはいかんいかんぞ、ハヤト。結婚はせめて高校を出てからだ!」


 まだ何もいってないんですけど。

 どうやらルシアが横にいるから勝手に勘違いされたようだ。


「あ、いや、違います。え、えーっと……」

「なんだ、ハヤト。恋の悩みか! いいぞいいぞ、先生も若いときはだな……」


 め、めんどくせえ。だからこの先生嫌いなんだよ。

 もう少し落ち着いて話を聞いてほしいものだ。

 とりあえず、ネッケツが勝手に話始めたので終わるまでに頭を整理する。

 うん、よしこれでいこう。


「先生、この子は記憶喪失なんです。それで家に帰れなくなったみたいです。高校に来れば何か思い出せそうだと言うので連れてきました」


 記憶喪失ってことにすれば、何かいわれてもごまかせると思ったのだ。

 でもさすがに無理があるか。こんなの誰も信じるわけないよな。

 帰れないってことだけは事実だけどさ。


「な、なんだと! それは大変だ。先生がなんとかしよう。うん、ハヤト、お前が人のためにそこまでするなんてな。先生うれしいぞ!」


 あれ、なんか信じてくれてる?

 なんだか心が痛む、先生ごめんよ。

 あまり関わらないようにしてたが、割といい先生なのかもしれないな。


「記憶喪失か、君も大変だったろう。記憶が戻るなら学校に通ってみるかい? なーに、心配はいらない、先生が責任を持つから」

「……あ、ありがとうございます」


 そういって、ネッケツはルシアの手を両手でがっしりと握っていた。

 ルシアが困惑しながらもお礼を言っている。

 話はあまり理解してなさそうだが、その熱意から力になってくれることは読み取れたのだろうか。

 いずれにせよルシアがおかしな発言しないで良かった。話がややこしくなるからな。


 しかし、俺がいうのもなんだけどこんな話を真に受けてるなんてお人好しすぎる。

 ネッケツだし、しょうがないか。熱くなると判断力が鈍るのだろう。


「よーし、そうと決まれば今日から転校生として受け入れるからな。学費も心配しなくていい。あ、それと、はいこれ制服ね」


 あ、また勝手に話進めてやがる。

 ちょっと感心してたらまたすぐこれだよ。

 でもいいか。これはこれで悪くない流れだ。


 それにしても、なんで女子の制服持ってるんだろうか。

 今、確かに自分の机から出したように見えたんだけど。

 ま、細かいことは気にしないでおこう。


 担任の許可が取れたので、とりあえず一安心だ。

~登場人物紹介~

名前:サクマ(ネッケツ)

職業:高校教師

年齢:35

ハヤトの担任。

熱血教師で生徒のことを一番に考えているが、熱すぎてうざがられている。本人はそのことに気付いてないらしい。

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