第五話
結局、ハヤトは満足に眠れぬまま朝を迎えるのだった。
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「おはよう、ルシア」
「あ、おはようございます。勇者様」
あれ、なんかデジャブだ。
そういえば、異世界にいったときも同じようなやり取りしてたな。
あのときとは全く逆で、今度は王女様がこっちの世界にきてるわけか。
ほんと事実は小説より奇なりとはよくいったもんだ。
さて、とりあえず今日どうするかを決めとかないとな。
「今日はルシアのやりたいことをやろう。異世界に帰るまでにやっておきたいことはあるかい?」
「え? やりたいこと……ですか。うーん……」
あ、あれれ?言葉を詰まらせちゃった。
なぜだ。この世界に来たからには何か目的があると思ったんだが。
あー、そうか。知らないことだらけの世界だもんな。具体的に何かをしたいってわけじゃないのかもな。
「ちょっと、お兄ちゃん! 今日学校でしょ? 一ヶ月前も一週間休んだのにまた休む気なの?」
「あ……。いやでも、ほらルシアがせっかく遠くから来てくれてるわけだし……」
あー、そういえばそうだった。突然異世界に召喚された俺は一週間学校を無断欠席してる。
妹が怒るのも無理はない。といっても何もなくても怒ってる気がするけど。
だが、ルシアを置いて平々凡々と学校にいくわけにもいかないだろう。
異世界の王女様を放置プレイなどできるはずもないのだ。
「あ、あの……でしたら私もそのガッコウというところにいってみたいです」
妹が今にも俺に殴りかかろうかというところで、ルシアがまたとんでもないことを言い出した。
さすがに学校はいろいろとまずい。
異世界人がいるなんてことが知れたら騒ぎになるよ、大騒ぎだよ。マスコミとか押し寄せてくるよ。
研究所とかに連れてかれてあんなことやこんなことされてしまうかもしれないよ。
でもやりたいことをやろうといってしまった手前断るのも気が引ける。どうしたものか。
「うん、いいねそれ。お兄ちゃんが学校でちゃんと勉強してるか見てきてよ。最近成績も落ちてきてるし怠けてるんじゃないかなぁ……」
おい、他人事だと思って無責任なことをいうな妹よ。
いや、成績落ちてるのは事実だけどさ。勉強も大事だけど他に大事なこともあるってもんだ。
「楽しみです。勇者様の話を聞いてガッコウというものがどういうところなのかすごく興味があったんです」
まずい。もうすっかり行く気満々だ。
そもそも学校に入れるのだろうか、異世界の王女だし身元不明みたいなもんだぞ。
不審者として捕まったら大変なことになる。
俺の親戚ってことにして授業参観みたいな形で後ろから見てもらうだけにするか?
いやいや、参観日でもないのに不自然極まりないな。突っ込まれたらフォローできる自信がない。
あーもう俺はどうしたらいいんだー!




