第四話
ハヤトは眠れぬ夜を過ごしていた。
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ね、眠れねえ……。
俺は、まるで遠足の前日のように興奮して眠れなかった。
同じ屋根の下にルシアが寝ているということをどうしても意識してしまう。
異世界に行ってたときは宿屋の同じ部屋で寝ていたはずなのに、おかしいな。
あのときは慣れない冒険の日々で疲れていたからだろうか。
それとも自分の家に年頃の女の子がいるという事実が興奮するのだろうか。
はぁ、何を考えてるんだろう俺、妹に殴られすぎておかしくなったのかな、ハハハ……。
とはいえ、もちろんルシアは俺とは別の部屋に寝ている。
俺としては同じ部屋で寝たいという気持ちはあったのだが、妹がそうはさせてくれないだろう。
いやいや、妹がいなくてもルシアが嫌がるだろう。
相手は異世界の王女様だし。うん、王女様だもんな。俺と釣り合わないなんてもんじゃないな。
それはそうとルシアはしばらく帰れなくなった、と言っていたな。
どのくらいの間、うちに泊まることになるのだろうか。
ルシアはもともと魔法が使えない。
帰ろうと思っても自分で帰ることはできないはずだ。
とすると、他に帰る方法があるとすれば異世界から召喚してもらう方法だ。
これは俺が実際に体験済みだから間違いなく可能だろう。
ただ、これだとルシアの状況がわからないのが難点だ。俺も何の前触れもなく召喚されたし。
異世界間の移動はできても連絡手段はないしな。
電話やメールのようなものがあれば便利なんだがなぁ。
それ以外の帰還方法があるかどうかはわからない。
異世界で移動系の魔法はよく目にしていたが、どういう仕組みかもさっぱりだ。
そういえば俺は勇者だったのに何一つ魔法が使えなかったな、ちょっと切ない。
今更だけどあの無口な魔法使いラグールに魔法の一つや二つでも習っておけばよかったか。
こっちの世界で魔法が使えたらあんなことやこんなことも……。
あ、本当に惜しいことをした気がする。
もう少し異世界にいてもよかったんだが、王様に王女との結婚を勧められたりして逃げるように帰ってきてしまったしな。
んー、でもあれは王様の冗談だよな?
さすがの俺もそれくらいはわかる。でもなぜあんなに慌てて帰ってきてしまったんだろうか。
もしかして俺……。
おっと、話がずれてきたな。えっと、ルシアが帰る方法のことを考えてたんだった。
召喚しか帰る方法がなかったとしたら、突然別れも言えずに帰ることになるのか。
しょうがない、明日は学校を休んでルシアの夢を叶えてあげることにするか。
そうすれば、いつ召喚されても悔いはないだろう。
俺みたいに後悔してほしくないし。
さて、もうこんな時間だ。明日は忙しくなりそうだしさっさと寝よう、そうしよう。
…………。
ね、眠れねえ……。よ、よーし、羊を数えるか、羊が一匹、羊が二匹、羊が…………。




