第三話
王女ルシアの「しばらく泊めてほしい」発言に完全に頭の中が真っ白になっていたハヤト。
完全に思考停止していたハヤトの前に、ハヤトの妹ユズが勢いよく飛び掛かってきたのだった。
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「ちょっと、お兄ちゃん、どういうことよ」
いつものように右ストレートで殴られた俺は、ハッと我に返る。
そうだ、さっきルシアがとんでもないことを言っていたような……?
俺がルシアの顔に視線をやると、なんだか驚いた様子でぽかーんとしている。
いきなりユズが飛び込んできてしかも迷うことなく殴りかかってきたから当然だろう。
ってか、ユズめまた盗み聞きしてやがったな、コイツ。
とりあえずユズが再び殴り掛かってきそうなので誤解を解くのが先決だ。
「えー、えっと誤解だ、誤解。だよねルシア?」
「え、あ、あの私はただしばらく帰れなくなったので勇者様の家に泊めていただこうかと……」
ルシアに助け舟を出してもらおうとしたのだが、うん、あまりいいフォローになってない。
王女様は相変わらず天然というか空気が読めていないというか。
そしてユズは、俺をキッと睨み付けたまま右の拳を握り続けている。
「帰れなくなったってどういうことだ? てかどうやってこっちの世界にきたんだよ」
「えっと、その話せば長くなるのですが……」
そういうとルシアは今までのいきさつを話し始めた。
どうやら、ロギに手伝ってもらってこっちの世界にきたものの、帰ることを想定しないまま来てしまったらしい。相変わらずそそっかしい王女様だ。
それで、帰れるまでの間泊めてもらいたいとのことだ。
当然のことながら俺と一緒に暮らしたいってことではなかったようだ。
まぁ、そんなことは万に一つないとは思っていたがちょっとドキドキしていた自分が恥ずかしい。
あれ、でも何故こっちに来たかを言ってないな。ま、いっか。
どうせ異世界に興味を持った、とかそんなことだろうし。
こっちの世界のことを話したりしたこともあったし一度見てみたかったんだろうな。
ユズはさきほどのような怒りに満ちた顔から狐につままれたような顔になっている。
異世界のことは妹にも話したことあったのだが、やっぱり信じてなかったのか。
そりゃそうだよな、俺でさえいまだに信じられないくらいだ。
「話が全く見えないんだけど、お兄ちゃん、この人誰、彼女? てか勇者って何?」
「あ、いや、彼女……ではないよ。ほら前に話しただろ、異世界の王女ルシアだ」
うん、やっぱり俺が異世界で勇者だったこととか信じてなかったみたい。
どうやって信じてもらえばいいんだろうか。
嘘をついても殴られるだけだろうし。なんでこんなに暴力的な妹になってしまったんだ、全く。
俺は、一から異世界のことをまた妹に言い聞かせると、途中まで怪訝そうにしていたが徐々に納得した表情を見せた。
「つまり、オンラインゲームの知り合いってことね、ルシアってのはキャラクターの名前か何か?」
だめだこの妹、全然理解してねえええ。




