表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/66

第十九話

 帰宅して着替えを済ませた二人。

 それから一時間くらいが経過していた。

 

---


「ええ、いきなりこんなの無理ですよー!」

「大丈夫、俺がしっかりとリードするから。最初はみんな不慣れなもんさ、徐々に慣れていくよ」


 部屋で二人きりとなった俺はルシアとあることをしていた。

 年頃の男女が部屋でやることといえば……。


 そうオンラインゲームである。


 最初は真面目に話をするつもりで部屋に招いたのだが、どうしてこんなことになってしまったのか。

 ルシアが昨日ユズのいっていた「オンラインゲーム」に興味を持ったのがきっかけだった。

 沈黙して気まずくなるのを避けるためにやりはじめたのだが、ルシアは意外に楽しんでいた。


「もっと肩の力を抜いてリラックスするんだ、そうそういい感じ」

「こ、こうですか……? 私、こういうの初めてなので……」


 異世界にはオンラインゲームなんてものは存在していないらしくルシアの操作はたどたどしい。

 慣れない操作のせいかものすごく肩に力が入っている。

 物心ついたころからゲームをしてる俺からしたらものすごく面白い光景だった。


「初めてにしては上手だよ、あ、左手だけじゃなく右手ももっと使わないと。それから下向いてないでもっと前をよく見て!」

「そ、そんなあ。もっと優しく教えてくれないとわからないですよお!」


 ルシアは画面とキーボードとを交互に見るように慌ただしくプレイしている。

 そんなに難しいゲームではないんだが、初めてだとやはり大変なのだろうか。

 必死にやっているその姿はなんとも微笑ましい。


「よーし、練習はこのくらいでいいだろう。そろそろ本番いくぞ」

「えー、待ってください。まだ心の準備が……」


 練習モードを終えて通常ステージに切り替えた。

 習うより慣れろっていうし、こういうのは実際にやってみるに限る。


「なーに、大丈夫だって! 実際やってみれば案外いけるもんだぜ?」

「いやあ、無理です無理ですー、やめてえええ!」


 慌ただしく操作しているルシアは、モンスターに襲われてかなりテンパっている様子だった。

 と、そこで部屋の扉が急に開いた。


「お兄ちゃん、何やってん――あ、あれ?」


 ユズがまた勢いよく部屋に飛び込んできた。

 いつの間にか帰ってきてたらしい。


「どうしたユズ。もう帰ってたのか」

「え、あ、うん……お兄ちゃんこそ今日は早かったんだね」


 オンラインゲームに夢中でユズが帰ってることに気が付かなかったようだ。

 にしてもユズの様子が変だな、顔を真っ赤にして今にも殴ってきそうだった。

 まあ、ユズが殴りかかってくるのはいつものことだが。


「それより慌てて飛び込んできたけど何か用か?」

「え! あ、ううん。なんでもない、なんでもないの!」


 そういってまたユズは扉を閉めてどこかへいってしまった。

 なんだったんだろうか?

 まあ妹の行動がおかしいのは今に始まったことじゃないし気にしないでおこう。


 そして俺たちは再びゲームをやり始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ