第二十話
夜遅くまでオンラインゲームをやっていたハヤトとルシア。
翌朝、案の定ハヤトは風邪を引いてしまうのだった。
---
「は、ハヤト、大丈夫ですか?」
「うー、頭がクラクラする。昨日は調子に乗りすぎたかな……ハハハ」
ついゲームに没頭していたからだろう俺は風邪を引いてしまったようだ。
はあ、情けねえ……。
でも同じ状況だったはずのルシアはなんともなさそうだった。
まあルシアが元気そうで何よりだ。
「もー、お兄ちゃんももう少し大人になってよね! 雨に濡れて早退してきたのにゲームで遊んでるなんて信じられない!」
「面目ない……」
妹があきれた様子でこっちを見ている。
あれ? 雨に濡れて早退してきたことを何で知ってるんだろう?
ルシアが言ったのだろうか。
「さーて、あたしはそろそろ学校行くから、ルシアちゃんお兄ちゃんのことお願いね!」
「はい、わかりました」
何やってるんだろう、俺。
結局、ルシアに告白できてないし、こんな情けない姿を見れらるなんて……。
「悪いな、ルシア。せっかく異世界から遊びに来てるのにどこも連れてってやれなくて……」
「いえ、いいんです。私はハヤトと一緒にいられたらそれだけで……」
ん、空耳だろうか。
なんか今嬉しいことを言ってくれたような?
風邪で頭がぼーっとするせいか幻聴でも聞こえたのかなあ。
どのくらいの時間が経っただろうか、突然誰かが部屋に入ってくる気配を感じて飛び起きた。
「よお! ハヤト! 風邪は大丈夫か?」
「あ、ユウジか、わざわざ見舞いにきてくれたのか」
なんだかんだいいやつだな。
俺のことを心配してきてくれ……。
「ハーヤートー! 昨日、私言ったよね? 放課後待ってるって言ったよね!?」
「げ、アカネ……どうしてここに……」
ユウジだけでなく何故かアカネまで一緒に来ていた。
あ、しまった……。
そういえばアカネと会う約束してたんだった……。
ものすごく怒ってるみたいだ。
「って、ルシアさんもいるじゃない。どういうことなのよこれ! ハヤト? ねえちょっと!」
「あ、いや……これはだな……」
よく見るとベッドで横になっている俺の手を握りながらルシアはすやすやと眠りこけていた。
慌てて手を振りほどいて弁解するも、もう時すでに遅し。
「あちゃー、やっぱりアカネを連れてきたのはまずかったか? ハヤトすまん……」
「すまんじゃねえよ、何しに来たんだよ!」
ユウジのやつ、まさか俺に嫉妬してわざとアカネを連れてきたんじゃないだろうな?
「いやあ、アカネがどうしてもっていうからさ。あとハヤトの妹にも会いたかったし!」
「だって、私心配だったんだもん。昨日も昼休みのあと早退しちゃうし、私のせいだったのかなって……」
ユウジの狙いは俺の妹か……。
だがユズはおまえなんかにはやれん、やれんからな!
あー、そういえば昼に学食でアカネとルシアがもめたあとに帰った感じになってるのか。
なんか変な風に誤解されてるような?
「ん、うん……? あ、あれ? どうしたんですか、みなさんお揃いで……」
「あ、起こしちゃったか、悪い。俺が風邪引いたから見舞いにきてくれたんだよ」
……見舞いに来たんだよな?
なんかとんでもない修羅場って感じがするんだが。
「ちょっとルシアさん? なんでそんなハヤトにくっついてるんです? ハヤトの彼女じゃないんでしょう? ハヤトの看病なら私がやるんでルシアさんは向こうで寝てていいですよ?」
「え、でもハヤトがこうなったのも私のせいなんで私が看病します。アカネさんのほうこそもう帰っていただいて結構ですよ」
ちょ、ええええ、なんでこうなるの!?
俺は悪くない……はず。
ユウジのほうを見てももうお手上げだって表情で傍観している。
くそう、今日は助けてくれない気か。
こうして俺は布団を頭からかぶり現実逃避するのだった。




