第十五話
先に教室に戻ったハヤトが次の準備をしていると、一人で教室に戻ってきたユウジ。
それを見てハヤトがユウジに話しかけるのだった。
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「あれ? ルシアはどうした?」
「なんだ、ハヤト。教室に戻ってたのか。ルシアちゃんならいきなり用事を思い出したってどっかいっちまったぜ?」
どういうことだ?
ルシアに用事?
この世界に知り合いなどいないはずだが……。
まさか――。
「どうしたハヤト、おいどこいくんだー? もう授業始まるぞー?」
ユウジの呼びかけも無視して俺は走り出していた。
もしかして、もしかしてルシアは異世界に帰ってしまったんじゃないか……。
そんな胸騒ぎがしていた。
中庭に着いたが誰もいない。
すると、雨がぽつぽつと降り始めた。
「ルシアーーー!? どこだー! いたら返事してくれー!」
ルシア……、ルシア…………ルシアッ……!
俺が、俺が悪かった。
せっかく異世界から来てくれたのに、ルシアのことをないがしろにしてた。
ユウジと一緒のほうがいいと思ってた。
頼む、まだ行かないでくれ……!
帰らないでくれ……!
まだ、まだ俺は何もルシアに伝えていない……!
――好きだってことを伝えてないのに!!
そうだ、俺……ルシアのことが好きなんだ。
もうこれ以上自分を騙すことはできない。
俺はルシアのことを好きになっていた。
それなのに――。
俺は何をやってたんだ……。
雨が激しく振りそそぐ。
まるで俺の心の叫びを表わしてるかのように――。
濡れるのも構わず俺はルシアの名前を叫び続けた。
「ちくしょう……こんな、こんなことって……」
俺は馬鹿だ。大馬鹿だ。
ルシアが好きだと気付いてたのに気付かない振りをしてた。
ユウジのほうがお似合いだからとかそんな理由で逃げていた。
告白するのが怖かった……。
アカネのときのように、振られるのが怖かった。
ケイコのときのように、話せなくなるのが怖かった。
でも、でも……俺はもっとルシアと一緒にいたい。
もっと、もっといろいろな話をしたり、いろんな場所にいきたい。
――でももう遅い。
俺がルシアに何も伝えなかったから。
俺を置いて異世界に帰ってしまった。
もう、戻れない。
失った時間は帰ってこない。
一人悲しみに打ちひしがれていた。
「たのむ、もう一度だけでいい、一目ルシアに会わせてくれ!」
心から叫んだその声は激しく降り注ぐ雨にかき消され、俺は静かにその場に倒れこんだ。




