第十六話
雨が降り注ぐなか悲しみに包まれるハヤト。
時間だけが無情にも過ぎていくのだった。
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俺は逃げていただけなのかもしれない。
自分の気持ちからも他人の気持ちからも。
異世界の経験を活かして少しでも積極的になるって、そう決めていたのに。
アカネに告白したのだって、行動することの大切さを学んだからだ。
結果的には振られてしまったが、告白したことは今はもう後悔していない。
言葉にすることで初めて伝わることもある。
失敗から学ぶこともたくさんある、それがわかったのだから。
ただ振られた直後は本当につらかった。
もう何も考えられないくらいに落ち込んだ。
そんなときにルシアがきてくれた。
すごく嬉しかった。
俺は一人じゃないんだ、そんな気がした。
振られことを忘れさせるかのようにルシアの笑顔が俺を包み込んでくれた。
ルシアのことがいつの間にか好きになっていた。
けれど、告白する勇気はなかった。
また振られたら、そんな風に思うと何も言えなかった。
そんなことしたら、もう二度と会えなくなるような、そんな気がした。
ルシアもひょっとしたら俺のことを好きなんじゃないかって、そう思ったりもした。
でも自分に自信が持てなかった。
俺なんかを好きになってくれるわけがない、そう自分に言い聞かせた。
自分が傷つかないために――。
俺は、好きになった子に話しかけることもできなかった弱い男だ。
告白した相手がいざ振り向いてくれたらそっぽを向くようなひどい男だ。
だから俺は自分の気持ちに気付いていながら、ごまかし続けた。
他人の気持ちに気付きながらも、自分を偽り続けた。
ユウジのほうがお似合いだとか、そんな身勝手な理由で自分を納得させようとしていた。
もう、会えないのかな……。
あの笑顔をもう二度と見ることもできないのかな……。
なんで、なんでもっと早く行動しなかったんだろう。
俺は異世界で勇者として一体何を学んできたんだ?
ルシアに後悔してほしくないなんていいながら、自分は――。
俺はいったい何をやってたんだろう。
他人を言い訳に逃げ続けてただけじゃないか。
俺は、俺は……。
溢れ出す涙を押し流すかのように雨がより強く降り注ぐ。
そんな俺をあざ笑うかのように、強くそして冷たく俺の心を打ち砕いていく。
もう一度、もう一度だけ会いたい。
俺はただそれだけを願い続けていた。
どれくらいの時間が経っただろう。
雨に打たれ意識が遠のいていく。
「ハヤト……、ごめんなさい、私……」
「え……?」
俺は幻でも見てるのだろうか。
そこにいたのは間違いなくルシアだった。
願いが聞き入れられたのか、良かった……。
「良かった、ルシアにまた会えて……良かった…………」
俺はそう告げると降りしきる雨の中、意識を失ったのだった。




