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優等生は顔を引きつらせて、男二人組に言い寄られていた。
ナンパか……。
まぁ、優等生ほどの可愛さやスタイルの良さを見れば、下心のある男たちが寄ってきてもおかしくないか。
「悪い、待たせたな」
俺が優等生に話しかけると、ナンパ野郎二人が、目一杯イキがってガンを飛ばしてくる。
「「あぁ? っ……!」」
俺と目が合ったナンパ野郎二人は一瞬怯んだが、負けじと俺を睨みつけてくる。
「知り合いか?」
聞かなくても分かることだが、念のため優等生に確認を取る。
「い、いえ。急に話しかけてこられて……」
「困っています」というような表情を浮かべた。
「悪いな、そいつは今日、俺と買い物に来ているんだ。ナンパなら他のやつにしてくれ」
「ナニイッテンダ、テメェ」
「テメェ」
「ドコチュウダァ、コラァ?」
「コラァ?」
ナンパ野郎二人は、真っ赤な顔で威嚇を続けるが、どう見てもガキの空威張りにしか見えない。
……どこちゅうだこらこら?
…………あぁ、「どこ中だ?」か。
って、まさかコイツら中学生か?
「中学? 中学なら、樽井中だけど?」
「えっ?」
正直に出身中学を答えると、優等生が「いや、高校生でしょ」と言わんばかりに少し驚く。
だが、中坊二人は俺に威嚇することと、優等生に対して、モテたいということしか頭にないみたいだ。
「ダル中かよ……。意気地なしばっかりの中学じゃねーかよ」
中坊二人が肩をすくめた。
「二年前は教師も生徒も全員締め上げて、学校を支配していた悪魔みたいな人がいたみてーだけど、今はもうカスしかいねー学校じゃねーか」
「だな、ゴミしかいねー」
「……」
「……」
え、そんな噂が広まっていたのか?
そう思っていると、優等生からなにかを察した視線を感じた。
たぶん、自己紹介の時に、陸斗が口を滑らせたことでも思い出したのだろう。
「おい、俺たちは今三年。お前は何年だ?」
「ナンネンダ?」
「俺? 今二年だけど?」
クソしょうもないマウントを取ろうとする二人に、俺はもう一度、事実を告げた。
「おい、年下じゃねーかよ! 敬語使えよ! お前、舐めてんのか!?」
「ナメテンノカァ?」
そこで、ずっと黙って見守っていた優等生が口を開く。
「もう。陰浦さん、遊んでいないで、本当のことをおっしゃってあげてください。ちょっとかわいそうになってきました」
「はぁ? どういうことだよ!?」
「ドウイウコトダヨ!?」
自分たちが遊ばれていたことに気づき、中坊二人は顔を真っ赤にして激昂した。
「いいですかお二人とも。この方は今、高校二年生で、出身中学は樽井中学だったのです」
「「えっ?」」
優等生から告げられた事実に、中坊二人が戸惑った。
「ほらぁ、陰浦さんが誤解されるようなことをおっしゃるから、戸惑っていらっしゃるではないですかぁ……」
優等生が呆れ果てた。
「いや、俺は事実を言っただけだ。遊ぶつもりなんてないぞ。めんどくせーしな」
「え……アンタ、この人の名前をなんて言った?」
中坊の一人が恐る恐る優等生に尋ねた。
「え? 陰浦さん……ですけど?」
「「かげ、うら……?」」
中坊二人は顔を見合わせて、俺の名前をゆっくり口に出す。
「「今は、高二……!!」」
優等生が口にした俺の情報で、中坊二人はなにかを察したようだ。
「「もしかして、あなたがあの陰浦 明様ですか!?」」
ショッピングモールの吹き抜けに、中坊二人の絶叫が響き渡った。
「そうだけど、急になんだよ」
「あの! 俺たち、あなたに憧れているんです!」
「へぇーそうか。じゃあ俺たちは行くから、またな……」
面倒ごとになりそうな予感がしたため、優等生が持っていた荷物を代わりに持ち、優等生と一緒にこの場を離れる。
すると、中坊の一人が俺の腕を掴んできた。




