表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺に青春は向いていない  作者: 真面堂 九世
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/56

3

「はーい、クッソ長い始業式お疲れー。ったく、あの校長の野郎はいっつも話がなげーんだよ……」

「小林先生! 生徒たちの前ですよ。そんなこと言わないでください!!」


 スーツをだらしなく着崩した男性教師は、やる気のない表情と声音で生徒たちを労うと同時に校長への悪態を吐く。

 すると、ちょっとお堅い感じの若い女性教師から自重を求められる。


「色々説明しろって言われているんだが、お前らもう二年になったんだから自分たちで考えて行動しろよ。悪さすんなよ? 俺が責任取んなくちゃいけねーし、メンドクセーからな」


 後頭部をかきながら、本当に気だるそうな顔で生徒たちに釘を刺す。


「さてお前ら、もう知り合いがいると思うが、一応自己紹介してもらう。まぁ、まずは言い出しっぺの俺からな」


 そう言うと男性教師はホワイトボードに漢字で自分のフルネームを書き始めた。

「俺はこのクラスの担任になった小林 大樹、三十五歳だ。よろしくー。担当科目は生物で——」

「なぁ、明」


 担任の自己紹介の途中で陸斗が小声で話しかけてきた。


「なんだ?」

「お前とあの担任って少し似てないか?」

「どこが?」


 陸斗が唐突にわけのわからないことを言ってくる。


「いやまぁ、お前は髪が重めのマッシュカットで、身長は俺と同じくらいの百七十五センチ。陰キャのわりに体格はいい……」


 陸斗が俺の外見をあげていく。


「対してあの担任は短髪で無精ひげが生えていて、百七十センチくらいの中肉中背。パッと見似ていないけど、一か所似ているところがあるんだよ」

「どーせ目が似てるとかだろ?」

「いや、それもあるけど違う。担任の目は気だるそうな目ってだけで、お前は『眠そうな目』とか『死んだ魚の目』とか『殺し屋みたいな目』で、お前のはハイブリッドアイだ」

「いやなハイブリッドだな……。それで、どこが似てるんだ?」

「それは、ふいんきだ!」


 相変わらず陸斗の語彙力は、小学生レベルだ。


「『ふんいき』な」

「そうそう、それそれ。二人ともやる気のないオーラが出てんだよ。まぁでも、お前の場合は目つきの悪さも相まって『近寄るな! 近寄ったら殴るぞ!!』みたいな、不穏なオーラが出てんだよ」


 そんなもの出したおぼえないけどな。


「なんなのお前? バリアでも張ってんのか? ほら、言ってみ? 『A・Tフィールド、全開!』って言ってみ? アハハハ」


 チッ、うっぜー。

 確かにいつも誰からも怖がられるし、目が合っただけで睨んでると決めつけられ、不良もどきに絡まれることもしょっちゅうだ。

 今も、クラスに一人か二人くらいはいる不良もどきから、目をつけられて、睨まれているから反論できない。

 だが、やっぱりムカつく。

 これ以上このアホと話しても余計ムカつくだけだから無視して担任の話の続きを聞くふりをする。


「——趣味って言うか、今楽しいことは子育てだな。最近、子供が生まれたばかりなんだよ。ほーら、可愛いだろぉ? この動画なんてマジ天使なんだよ」


 担任がスマホを取り出して赤ちゃんの写真やら動画を見せてくるが、前の席の生徒たちしか見えない。

 ある一人の女子生徒は「本当に可愛いですねー」と微笑んでいる。

 さっきまでゾンビみたいな顔だったのに、動画を見せながら急に愛に満ちたパパの顔に変貌。

 温度差が凄すぎて教室が妙な空気になった。


「……ゴホン。次、先生お願いします」


 我に返った担任はわざとらしく咳払いをして、教室の扉付近で見るからに緊張した様子の女性教師を一瞥する。


「は、はい! こ、このクラスの副担任となりました。教師一年目の桜庭 小春です。二十三歳です。担当科目は現代文です。精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します」


 堅い……。

 ミディアムヘアの片耳にかけたような髪型。

 品のある顔立ちでスラっとした美人。

 ただ、緊張のせいか表情がやたら硬い。

 まだ新しいスーツと、きっちりとした動きが真面目さを際立たせていた。


「堅い。面接かよ……。もうちょっと肩の力を抜けよ。相手はガキなんだぞ? そうじゃないとこの仕事なんてやっていけねーぞ」

「すみません。頑張ります」

「はぁ……もういいや。そのうち慣れてくるだろ。はい、じゃあ次はお前らな。名前、趣味、特技……あとなんでもいいから一言な。阿部から出席番号順に始めろ」


 担任に促され順次自己紹介が始まっていった。

 今自己紹介なんかやったって、どうせ一人も覚えらんねえよ。時間の無駄だ。

 最初にした安住なる同級生の自己紹介から、さほど時間も経たずに、俺の前の席の陸斗へ順番が回り、席を立って意気揚々と自己紹介を始める。


「岡田 陸斗でーす。幼稚園の頃からバスケやってるんでバスケが趣味で、特技はダブルクラッチです。ちなみにコイツとは幼なじみで、コイツも中学の時にはバスケをやってました」


 俺たちの親同士が友達で、陸斗とは生まれたときからの付き合いらしい。

コイツはガキの頃からバスケ馬鹿で、今でも頭の中の九割はバスケとエロいことだけで埋まっている救いようのない変態だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ