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初星  作者: 音音


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2/7

2025 梅雨明け

 

「あ……」


 そのざわめきに身体が強張った。


 いつもと同じ騒がしさだと思うわたしと。

 本当に? と疑問を投げかけるわたし。



 教室に入ると、給食の配膳は終わりかけていた。


 四時間目が体育だったので、後片付けで遅れる体育係りの四人の机には、いつも通り既に給食がセットされている。


「あ、係りお疲れ〜。給食は準備しといたよー」

「ありがとう! 毎回感謝感謝!!」


「俺の給食だれー? ありがとな! あー 教室めっちゃ涼しい。生き返るぅ」

「あ、オレも誰だかわかんねーけどサンキュ」

「おれらだよ、毎回わかってんだろ〜」

「いつメンに感謝」

「お約束。次回もやるからよろしく」


「あ、まだ少し時間あるなら、俺、汗ふきシート使っていい? 汗だらだらでさ」

「廊下でやってよ。給食の匂いと混ざるのヤダ」

「無香料でーす。文句は地球温暖化へお願いしまーす」


「そこー。地球温暖化だけが理由じゃないぞ〜。

 先生が後でクラスルームにリンク貼っておくから個々に確認するように」


 先週だって、似たような状況で、似たような会話をしていた。



「えー? どうした?」

 前の席の子が振り返って聞いてくる。


「大丈夫。ハードル重かったから腕痛いなぁって。それより給食ありがとう」

 上手に笑えてるかな?


「あぁ、今日は私じゃないよ。志望校の紙出すの忘れてて教室に戻る前に職員室で書いていってくれって呼び出されてた。なので、私のも誰かが準備してくれたんだよね。

 誰だかわかんないけど、私たちの給食準備してくれた人ありがとー」

 彼女の言葉に おー と返事が何処かから返ってくる。



「酢の物みんなが得意じゃないのはわかったが、居ない隙に先生の皿に山盛りによそうなよ」

 笑い声混じりの担任の先生の言葉が聞こえる。

 そういえば、わたしたちが階段を上りきったときに教室に入って行く先生の姿を見た。


「先生にはいつまでも健康でいてもらいたいという善意でーす」

「疲労回復にお酢が効果あるって聞きましたぁ」

「先生、いつもありがとー」

「先生の血糖値を心配した生徒からの気遣いです」


「おー。先生、血糖値は健康診断で引っかかったことないから大丈夫だし、まだまだ若いから疲労回復にも問題ないから、次からは山盛りにするなよ。

 日直ー。 みんな準備できたみたいだから挨拶」


「はい! みなさん両手を合わせて。先生の健康を維持してくれる酢の物に感謝を込めて」

「おーい。感謝するとこが違うぞ〜」

 先生のツッコミにみんなの笑い声があがる。

「もちろん。給食に関わる全ての人に感謝して、いただきます!」

 いつもなら日直の「いただきます」の声に、繰り返していた「いただきます」の言葉は、喉の奥に引っかかったように出せなかった。




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