↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/79

    キミの笑顔のためだけに(中編)

 そうか……変身魔法で警察官の姿になって、結界魔法で見えないバリアを張る。そういう手があったのか……。勉強になるな〜!


 俺は店内の席についてストロベリーミルクティーをずずっと一口すすり、そんなことを考えた。アユは抹茶ラテ、アミはミルクティー、哲太(てった)くんはホットコーヒー、そして月出(ひたち)さんは俺と同じストロベリーミルクティーを注文した。


「ねえ、哲(てっ)ちゃんとフジキくんは知り合いなの?」

「藤巻(ふじまき)くんね」

哲太くんが苦笑してそう訂正する。月出(ひたち)さんは、まだ俺のことがピンと来ていないらしい。


「俺と零治(れいじ)くんは高校がおんなじで、バレー部でも一緒なの」

哲太くんはそう言うと、アユとアミに向かって笑顔で会釈(えしゃく)した。

「あ、いつも零治くんにはお世話になってます! 俺は和泉(いずみ)哲太(てった)です!」

「あ、どうも! 零治の友達で、美結(みゆ)ちゃんとは中学が同じだった、入江(いりえ)愛友香(あゆか)と」

「亜美華(あみか)です」

二人が自己紹介する。


「哲(てっ)ちゃんが来る前、大変だったんだよ? 変な人に絡まれて。藤巻くんが助けてくれたんだけど」

「そうなんだ。大丈夫だった?」

哲太くんが月出(ひたち)さんの顔を心配そうに覗き込む。月出さんは、うん、と頷いた。


 ぐぅぅぅ……!

 俺は一人で悶絶する。

 言いたい! さっき助けてくれた警察官は、魔法で変身した哲太くんなんだよって月出さんに言いたいっ!


「けど、手で払い落とされて、スマホにキズ入っちゃった」

「見して?」

哲太くんが月出さんのスマホを受け取る。俺も哲太くんの隣から覗き込んでみると、たしかに液晶画面には大きくキズが入ってしまっていた。哲太くんがパーカーの袖口で、軽く液晶を擦(こす)る。


「ん、擦(こす)ったら取れたよ。だいぶ浅いキズだったんじゃない?」

「えーうそ? そんなんで取れるようなのじゃなかったよー」

月出さんはスマホを返してもらうと、不思議そうにまじまじとキズのあったところを見つめた。

「最近のスマホは結構頑丈だから意外と大丈夫なんだって」

哲太くんがにこにこして言う。


 はぅぁぁ……!

 言いたい! 哲太くんが今、修復魔法で直してくれたんだよって月出さんに言いたいっ!


「大丈夫? 気分悪かったら、今日はもう初詣(はつもうで)はやめて帰るのでもいいよ? 俺送ってくから」

哲太くんが言う。

「うん、これ飲んでたらだいぶ落ち着いてきたから大丈夫。初詣は行こ」

月出さんは、にこにこと微笑んで哲太くんに言った。

「アユとアミは? だいじょぶ?」

俺が尋ねると、二人も、うん、と頷いた。そして、アユが言う。

「ねえ、美結ちゃんたちもこれから初詣行くんならさ、もしよかったら一緒に行かない?」

「うん! 行こ! いいでしょ哲ちゃん?」

「え、あ、うん!」

月出さんに言われ、哲太くんが頷く。

 こうして、俺たちは五人で初詣へと向かうことになったのだった。


   *


「美結ちゃんのこのコートかわいいね」

「ネイルもコートとおんなじピンクでかわいい〜」

「えへへ、ありがと〜。二人のコートも、アユちゃんがちょっと大人っぽくて、アミちゃんがかわいい系なの良いね。イメージに合ってる」

 神社へと向かう道中、前を歩く三人が女子トークに花を咲かせている隙に、俺は哲太くんにこっそりと話しかけた。


「ごめん、月出さんと二人っきりがよかったよな」

「だいじょぶだいじょぶ! 美結ちゃんが友達と行きたいならその方がいいよ!」

「そ? まあ、お参りしたらすぐ解散にしよ。あとは二人でごゆっくり」

「ありがとー!」

 こんな作戦会議が行われているとは知らずに、前の三人はとても楽しそうに会話を続けている。


「あと、さっきは助けてくれてありがと! 月出さんだけじゃなくて、俺もアユとアミもマジで助かった!」

俺が声をひそめてそう言うと、哲太くんはちょっといたずらっぽくにやっと笑って、親指をぐっと立てた。


 神社に到着後は、少し並びはしたものの、無事にお参りすることができた。

 神さま、今年もよろしくお願いします! 幸せな一年になりますように! あと、出来れば哲太くんの片想いが成就(じょうじゅ)しますように! お願いします!

 心の中でそうお願いしてから顔を上げると、ちょうど隣のアミも顔を上げたところだった。


「ね、おみくじ引こ〜」

アミが言って、哲太くんと月出さんも一緒に、おみくじを引く。

「あ、小吉……」

「ショボ〜!」

俺の小吉を覗き込んでアユが笑う。

「うるさいな〜。そういうアユはどうなんだよ?」

「私は〜……あ、小吉……」

「アユもショボ~!」

俺とアユがやいやい言い合っている間に、アミも自分のおみくじを確認する。

「あ、私大吉!」

「「うそー!」」


 一方の哲太くんと月出さんも、おみくじを開いた。

「あ、私も大吉だ」

「スゲーじゃん! おめでとー!」

「ふふふ、ありがと。哲ちゃんは?」

「俺は中吉。でも恋愛は『一途(いちず)に想い続ければ実る。』って!」

「ふーん。哲ちゃんも恋愛運とか気にするんだ」

「ふふふ、まあね」

「ふーん」

 その時、月出さんは、少しだけ難しそうな顔をして頷いた。


「じゃあ、これで解散にしよっか! 今日はありがとね! 哲太くんも月出さんも!」

「うん! また部活でね、零治くん! アユちゃんアミちゃんもありがと〜!」

 神社を出ると、日頃バレーで磨いた見事な連携プレーで、俺たちは女子チームには有無を言わせず、さっさとお開きに持ち込んだ。

 あとは頑張れ、哲太くん! こっそりと拳を哲太くんに向けて見せると、哲太くんが力強く頷いた。


「ねえ、なんでそんな急いでんの?」

異様に忙(せわ)しない解散に、アユが眉をひそめて俺に聞いてくる。

「私はわかった! 気利(き)かせたってことでしょ? もしかしてあの二人、いい感じなの?」

アミがにやにやして言った。……う、バレてる。

「教えない! 守秘義務があるので!」

「それほぼ言っちゃってるようなもんじゃない?」

「言っちゃってない!」


 俺は大きな声で追及を振り切り、二人を家まで送り届けて帰宅した。その日の夕方ごろ、哲太くんから俺と平介(へいすけ)くん宛てに、『失恋した……』というメッセージが届いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。