死闘アクセラレーションⅢ
12-3.死闘アクセラレーションⅢ
一瞬が長く感じられた。
西日に輝く足の金属プロテクターは、処刑台のギロチンそのもの。
重力の自由落下を加速した絶対不可避の一撃。
「ウオオオオオオオオッ!!」
脳天目がけて、稲妻のような踵落としが、地上8階から2階の六代へ―—!
「ヒラシューッ!!」
「・・・遅いなあ」
六代の唇がめくれた。平秀は、空中で動きを止めた。
その両腕の二の腕に、針の触手が深々と突き刺さっていた。
「なっ・・・!こんな——」
「おわりにしよっか」
六代が手を上げたその瞬間、桜香と鎌瀬が同時に動いた。
「放せええええええッ!!」
桜香がぶっ放す桜の奔流に、鎌瀬が火を加える。
炎は桜の花びらを喰らいぐんぐん勢いを増し、桜と炎、生と死を内包した美しくも凄まじい業炎が六代に襲い掛かる。
「アツぅい!あつい!」
六代、とっさに念動力の防壁で炎を防ぐが、たぎる熱量までは防ぎきれずあまりの熱さに地を転げ回る。
「並木!」
隙を見て桜香が風を使って平秀を救い出す。苦痛に顔を歪める平秀から血がドクドク流れ出す。
「桜香——」
「バカ!あんたなんかまた無期限謹慎処分食らってればいいのよ!」
と言うと立ち上がった桜香、燃え上がる炎より激しい熱を眼に込めて、六代針と対峙する。
「私が倒す」
「俺様のこと、二度とかませ犬と呼べないようにしてやる」
鎌瀬も進み出る。
「良かったな、いい隊長と同僚に恵まれてよ」
犬飼が銃を抜く。
「誰も死なせません!」
千々石の黒い手が全員を守るように大きく覆いかぶさる。
「いっちょやろうぜ」
スミスが巨大な機関銃を構える。
「みんな、みんな、ぼじいいいい!ごろずうううううッ!!」
我を失った六代が凶暴な触手を一斉に放つ。
「桜花閃風ッ!!」
暴風を1ミリ以下の線に圧縮、鋭い風の刃は桜吹雪を纏って唸りを上げると、黒々とした触手が滅多切りに寸断されていく。
「幻想力場を斬った!?」
「今だ!」
すかさず鎌瀬の炎の刃、機関銃の弾丸の群れがその間隙を縫って六代を狙い撃つ。
六代たまらず触手を壁の形に変形させ受け止める。が、力場が破られた動揺からか完全に防ぎきれず、よろけ、吹き飛ぶ。
「ここだッ!!」
犬飼が電子銃を構えた。
何の指示も合図も無かった。が、平秀は負傷した手で体を持ち上げ、犬飼に駆け寄り、その銃口の上下に人差し指と中指を添えた。
「行けええええ!!」
引き金を引く。
平秀の指を掠め、爆加速の加速力を受けた弾丸は音速の遥か彼方、一本の光の筋となり、六代の体を撃ち抜いた。
—Ⅳに続く―




