死闘アクセラレーションⅣ
12-4.死闘アクセラレーションⅣ
電子銃の鈍い銃声が響いた。
「ち、血、血、血うわあああああああッ!!」
弾丸はその銃声が耳に届くより速く、六代の腹部をあやまたず貫いた。
溢れ出すその血は、自分が殺めた者の返り血より紅く、床面を濡らす。
「いやああッ!血!血!血が出てるよおおお!」
パニックに陥った六代、膝から崩れ落ち絶叫。
「痛えか」
その前に仁王立ちする、平秀。
「俺も痛えよ」
その両腕は刺された怪我で未だ血が止まらず、左手は最早動かすこともままならない。
が、一歩ずつ前へ歩を進めるその眼は一片の曇りなき戦意に満ちていた。
怯える六代、尻餅をついて後退。
「スプラッタ野郎、聞け。俺達の体に流れてるのは血だけじゃねえ。『意志』が流れてんだ。流れてるから、血が出ようが骨が折れようが戦う。衝動や本能じゃねえ、意志で戦うんだ。人間は。そいつがねえ奴は・・・ケダモノだ」
平秀が立ち止まる。足元で震える六代を見下ろす。
「てめえの血に、1ミリでも意志は流れていたか?」
と六代、狂ったように高笑い。
「ヒャヒャヒャヒャヒャ!いし!知らねえよ!欲しいんだよ!だからぶち殺すんだよおぉ!悪いぃ?」
「謝れ」
「ひょ?」
「詫びろ。死んで。テメエみてーなケダモノから、何か守るために意志貫いて流れた血に、魂に、外道!死んで詫びろおおおおッ!!」
振りかぶった右腕は、音速の推進力を得、怒号とともに振り下ろされる。
「やれやれ、暴走が過ぎたか」
平秀がつんのめり倒れる。
その拳を撃ちつけるべき六代針の体が、次の瞬間跡形もなく消えたのだ。
「ヒラシュー!?」
「何だ!?」
「上だ!」
スミスが指差す。
屋上の崩れかけの床。そこには負傷し血を流す六代を抱きかかえ佇む、一人の男がいた。
初老ほどと思われる、金髪の異人の男。
「尖兵として働いてもらおうと思ったが、ここまでぶち壊されてしかも負けるとは」
「誰だ!」
犬飼が言ったその時スミスが動いた。
機関銃を構えると、轟音を上げて何百もの銃弾を放った。
「物騒ですね」
男は眉根一つ動かさなかった。不思議な事が起こった。
男に飛んだ銃弾が男の1メートルほど前で消えたかと思うと、壁に、床に、方向違いのところへ次々突き刺さっていった。
「空間転移術者だ!」
「ってことは・・・こいつか!」
まさしく、テレポート。
それも高速で飛ぶ弾丸をいともたやすく捉えて、正確に転移させてみせていた。
「おっと」
足元で跳ねた一発の銃弾を避けると、男の顔が急に険しくなった。
「こちらこそお聞かせ願いたい。あなたは何者だ」
「こっちが先に聞いた・・・先に答えな」
男は一つため息をつくと、こう答えた。
「『両界調停者』、サイ=オーガホース」
—Ⅴに続く―




