死闘アクセラレーションⅡ
12-2.死闘アクセラレーションⅡ
「退却だ!」
スミスが叫んだ。
再び欲望が最高潮に達した六代はビルを崩壊させる勢いで力を解き放ち、コンクリートを砕き、平秀たちを貫かんとめくら滅法襲い掛かる。
「こうなるともう止められん!早く逃げ——」
「ホアアアアアアアアアッッ!!」
しかしそこはもう既に、六代針のテリトリーだった。
壁を、床を無数の触手が覆い尽くし、平秀たちの動きを封じる。
「みなごろし!みなごろしィ!みいいいなあああごおおおろおおしいいいいッ!」
絶叫乱舞。荒れ狂う針の海は逃げ遅れた平秀と桜香を取り籠める。
「並木!」
「俺が倒す」
「は!?あんた何言って——」
「いいから飛べ!」
刹那の判断。平秀が強引に押し、桜香が桜の翼で犬飼達のところへ飛び、針の触手は平秀へ。
間一髪。平秀は真上に飛び上がり崩れた天井のへりに右手一本でしがみつく。
「遅えよ」
と、次いで襲い掛かる触手を見切って反対側のへりへ飛び移る。
爆加速の衝撃が指先に激痛をもたらす。が、構う間は無い。
「ちょこまかちょこまかッ!」
激昂する六代が次々に黒光りする針を突き立てにかかる。平秀、かわしてさらに上階の天井のへりに飛び移る。
「あいつ、刺し違える気だ!」
平秀がやろうとしていることを察した犬飼が叫ぶ。
「さくちゃん!止めろ!」
「なみきいいい!!」
風で吸い戻そうとするが、届かない。平秀は、砕けて開け放たれたビルの屋上の、わずかに残った床に降り立った。
眼下に見下ろす灰色のえぐれた世界は、目に焼き付けた十年前の3月13日。惨劇の地下鉄事件の光景に似ていて。
「奴は・・・六代針は、あの3・13地下鉄テロに関わった男・・・!ヒラシュー君の両親を殺した奴らの一味だ!」
平秀は、飛んだ。
六代の遥か頭上、足を大きく振り上げ。
平秀の家族を、「世界」を奪った男へ。
「これ以上、俺の『世界』に手を出すなアアアァァァッ!!」
—Ⅲに続く―




