暴虐サイコキネシスⅡ
9-2.暴虐サイコキネシスⅡ
息詰まる攻防。
世鬼征介と伊藤党幹部静岡清水雄の戦いは、常人には眼で追うことすら難しいだろう。
静岡が右に左に水の刃を放てば征介はそれを瞬時に電気で消し飛ばす。
転じて放つ征介の雷光を、静岡は足から吹き出すジェット水流を驚くほど緻密にコントロールし、狙いをかわし、返し太刀を浴びせんと懐に斬りこむ。
「征電鬼」の秘術を使うことに見切りをつけた征介は一気に出力を上昇。触れれば命の保証は無い高圧電流が青い刃と化して静岡の水刃を迎え撃つ。
撃ち合いでは分が悪いと悟った静岡は操る水を瞬時に数百に分断凝縮。コンクリートを穿つ即席散弾銃を煙幕代わりに飛ばし、退がって間合いを広げる。
「やはりただの想能力者ではないな・・・覆水術をそのように扱う術者は知らない。出力はえらく小さいが異様に訓練されてシャープに用いる。それにその怪しげな器具・・・非合法に能力を得る術があると考えるのが自然か」
征介の手中でバチバチと爆ぜる雷火が勢いを増す。
「生かして、と思ったが、脳を残して研究所に持ち込めば秘密が分かるか」
「やれるものなら、やってみろ」
両者、同時に動き出す。
「『雷拳征裁』ッ!」
「『活水刀・二ノ太刀要ラズ』ッ!」
前へ駆け出す征介最大出力を込めた雷拳を放つと、反動を抑える後方へのジェット水流と共に前方へ、一際鋭く研ぎ澄まされた水の刃が刃の無い刀の鍔から放たれる。
が、水と雷。相性の差は歴然。
電流攻撃より速く切り裂けと放たれた必殺の一撃だったが、両者同時に動く。
雷拳が水刃を吞み、勝負あったとばかりに征介の拳が静岡の体に突き刺さらんとした、その時。
「ぬあっ!?」
静岡の体が横から急に飛び出した水流に絡めとられ、攻撃の範囲外、10メートルほど押し流した。
「・・・『共をしろ』と申したはずだが」
水煙の彼方から、横槍の主が姿を現す。
「静岡。命を捨てろと命じてはいない」
はためく長い鉢巻。凛とした眼差し。
“キャッツ”伊藤水平党党首、伊藤伊右衛門その人だった。
「何者だ」
「下郎に名乗る名は無い」
「テロリスト風情が。吐かすか」
「大志を持たぬ使い走りの犬共に用は無い。静岡、我らの本丸は大将犬の首だ。先を急ぐぞ――」
加減容赦ない紫電が伊右衛門に襲い掛かる。眉根一つ動かさず伊右衛門、銀の飛沫を振るう。
電流の軌道が捻じ曲げられ、弧を描く紫電は大地のアスファルトにアースされた。
「・・・邪魔立てするか?」
「金属粉でも混ぜ込んだか、悪党。用意のいい奴」
「・・・邪魔立てするなら容赦はせぬ。伊藤伊右衛門の絶技、冥土の土産とするがよい」
伊右衛門が刃の無い刀「活水刀」を構えた、瞬間。
けたたましいサイレンが、戦場に響き渡る。
「注進!」
伊右衛門の横。体を自在に縮める「大兼小」の使い手、能美野真蔵が姿を現す。
「何事だ」
「我らと別の武力集団、市民を強襲!!」
―次章に続く―




