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DOG RUN  作者: 鮫島あーろん
七・一七争乱篇
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刹那サムライブレードⅢ

8-3.刹那サムライブレードⅢ




世界が切り裂かれた。



征介ですら、身をよじりかわすだけで精一杯だった。



伊右衛門から放たれた水流カッターはどんな名刀より鋭く、陣営バリケードはおろか、鋼鉄の車両すら真っ二つ。




「覆水術(ウォペレート)!?」




『覆水を盆に還す』水流操作系想能力。能力自体はありふれたものだ。



だがその術の切れ味は、征介が知識として持っていた「覆水術」のそれを、遥かに凌駕していた。




「こんな使い手が・・・?」




しかも一人ではない。



少なくとも十人の水流カッターの使い手達が、戦国の決死隊のごとく八方から銀の剣戟を飛ばす。



征介、今度は対応する。




二の太刀、三の太刀を電気分解でさばき、横合いから襲い掛かる弾丸の群れを地面に弾き落としつつ、檄を飛ばす。




「押し込まれるな!敵は多くない」




バチバチと紫電をまとわせ、一歩前へ出る。




「反乱者は全て“征”圧する」



左右から斬りかかる反乱軍二人に、眉一つ動かさない。




「動くな」




一瞬。一撃。




世鬼征介が若くして実力者揃いの「第七中隊(セブンスブラック)」でエースと呼ばれるのは、高圧電流を扱うことができるためではない。


1アンペアにも満たない小さな電流。


これを征介は一瞬にして敵の神経系に直接流し込み、動きを止めるばかりか、まるでマリオネットを動かすように敵を操る。




『紫電を以て鬼を征す“鬼”』――第七中隊の「征電鬼(ボルトルーラー)」。




電気の糸を握る征介がクイッと腕を動かすと、瞬きさえ許されない哀れな被征服者は、武器を投げ捨てさせられ、地に叩き伏せられる。





「・・・連行しろ」




糸が切れた人形のような反乱者二人を、隊員が抱えて連行する。





「想天の女神(コスモクイーン)との連絡の復旧はまだか?」




「臨時の通信機が稼働しています!間もなく特定できるかと――」



そう言うか言わないかのうちに、隊員が持っていたタブレットの画面がパッと更新される。


通信が復旧したようだ。




「・・・これは!?」



そこに灯されたのは「Error」の文字。




「敵はなんらかの電波妨害を行っているのか?」





「いえ、そのような兆候はありません・・・我々の想能力データサーチは正常に作動します」





「何故だ、奴らが使っているのは明らかに想能力。奴らとて開発を受けたならどうあってもコスモクイーンに脳波のデータが残っているはず――」




「『活水刀・キクイチ』ィィィ!」




紙一重。




唸りを上げて相手を叩き斬らんと飛んでくる水流カッターを征介と隊員はすんでのところでかわす。





「仲間を返してもらおうか」





刃の主、熊のような大男が刃の無い刀を構え水しぶきの中から表れる。





「フン・・・貴様を捕らえれば少しはこの奇怪な水の刃の秘密が分かるやもしれんな」




征介の右手が青き雷火で満ち満ちていく。




「伊藤党、静岡清水雄(シズオカシズオ)、推して参る」





「悪党の名など知らぬ。悪は征服するのみ」




同時。



征介の雷が振るい、静岡と名乗る男の体が奔流に乗り征介に襲いかかる。






-Ⅳに続く-

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