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DOG RUN  作者: 鮫島あーろん
七・一七争乱篇
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12/30

刹那サムライブレードⅠ

雨宮清輝(アマミヤ キヨテル)

新内閣総理大臣に就任した元ドッグス総司令官。キャッツを武力で排斥する強硬路線を推し進める。


能美野真蔵(ノミノ シンゾウ)

伊藤伊右衛門の部下。

自分と触れた非生物を自在に縮める大兼小<マグナガリバー>という想能力を駆使し、密偵や工作員として暗躍する。

8-1.刹那サムライブレードⅠ





大地を揺るがす爆発音とともに、黒煙がバックヤードから上がる。



聴衆の熱狂はベクトル転換、パニックに替わった。




「なんだ今のは・・・ってうわ!」




あっけにとられていた平秀と鎌瀬は、前から思いきり人にぶつかられてよろけた。


悲鳴が起こり、聴衆の一部はすでに我先にと会場外に逃げようとしていた。


恐怖はあっという間に伝播し、会場は大恐慌に陥った。




「こら、止まれ!落ち着いて隊員の指示に従え!」




ドッグス隊員の懸命の呼び掛けも、騒音にかき消され誰の耳にも届かない。




その時。




「静まれェェ!!」




大音声が響き渡り、会場の恐慌がにわかに収まる。




声の主は、総理大臣雨宮清輝。


彼はすでにこの時、総理大臣から百戦錬磨のドッグス総司令官へとその顔を変えていた。




「列を乱すな!ドッグス隊員の指示に従い慌てず落ち着いて避難を!隊員各位は指示系統の確認後速やかに行動を開始せよ!」




会場に雨宮の声が雷のように響き渡る。

誰も声を発さなかった。赤子ですら泣き止んだ。数秒の沈黙に次いでドッグス隊員の誘導の指示がめいめいに飛ぶ。

雨宮はシェパード隊員数人に守られて舞台袖に姿を消した。

そして、避難が始まった。





「・・・犬飼からだ」




平秀が持っていた無線機が鳴る。即座に応答した。




「こちら並木」




《犬飼だ。そっちはどうなってるんだ》




「分からない、避難担当の隊員が誘導を始めたがなにせ人が多すぎて・・・それより、何が起こったんだ?」




《敵襲だ。多分。一体どうやったのか分からんが本部中央のコンピュータや通信機が爆破されたらしい。無線があるから連絡はつくが・・・想天の女神(コスモクイーン)からの能力者探知情報は届かないかもな。マズい》




「状況は?」




《敵は数十人。銃火器で武装してるが、想能力者もいるようだ。ヒラシュー、そこから抜け出せるか?》




「人数は足りてるし誰も咎めないと思うが・・・そっちはどうする?」




《ヒラシュー、2人でいけるか?》




「は!?俺らだけで戦えって?」




《実はこちらは避難で少し混乱しててね、抜け出せそうにない。それにどうもクサい。ヤな予感がする。俺とさくちゃんはいったんこちらで様子を見て落ち着いたら応援に向かう。それと――》




犬飼はトーンを下げるとこう言った。




《――さっきはああ言ったが、状況が変わった。無茶はするな。警備の本営をあんな形で破られた以上、敵の手の内が分かるまでは慎重に動け。なんなら見てるだけでいい。何か起こったらすぐ連絡をくれ》




「了解、死ぬなよ」



《バカヤロー、お前らこそな。切るぞ》




ここで犬飼からの連絡は途絶えた。




「・・・行くのか?」




「ああ、でも『いのちだいじに』だそうだ。行くぞ、遅れるな」




平秀と鎌瀬は避難する雑踏を逆流し、一路戦場に向かった。





―Ⅱに続く―






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